それでも
暫くの間、お満は茫然として生きていた。
墓を訪ねてきた人々には、妻として役割を果たすためきちんと案内をして、
相楽に恥をかかさぬようにと、しゃんとして、礼儀作法も知る程度はきちんと実践した。
それでも一人になれば何もやる気が起きずに茫然としてしまう。
それでも、生きていられるのは、有難いことに。
婆様が身の回りの世話をしてくれるからだ。
お満も子の為にと、食べたくもない食事を取り、体は冷やさぬようにと、
よく小言を言っていた相楽の言いつけを守った。
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