伝える

息が苦しい。


浅ましくなんてない。


相楽の願うものは、生きていれば普通の男が普通に手に入れられる幸せだ。


生きていれば欲などいくらでも出てくる。


きちんと声を出して伝えたいのに嗚咽を上げてしまいそうで、

伝えたいことが声に出せない。


「恨んでない。愛しています。」


お満の答えがこの場に会っていないこと等わかっていたが、

どうしても何か相楽が今生で背負い続けた咎を外してやりたかった。


自分とお腹の子が重荷となって縛り付けたくなかった。




相楽は暫く驚いたように茫然としたが、またふっと笑うと、

「お前が妻となってくれてよかった。」

とそう言って、相楽は気絶するように眠った。

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