峠
おミツは相楽が起きぬ間、ずっと相楽の床の傍らに控え、
意識がなくとも水を少しばかり飲ませ、汗をかけば衣を代え、体が冷たければ抱きしめて背を摩った。
途中おミツを心配して婆様がちょくちょく訪ねて来て、
食事を差し入れてくれ、家に一度帰るよう言った。
どうしても帰れないと泣きながら訴えると、
老体で病を貰ったらたまらないと言うに、それでも食事や必要な物を届けてくれる。
何度も婆様に、
「移ったら危ねぇから帰ってくんろ。」
と言ったが、婆様は、
「お前さが先にあの世に行っちゃなんねぇ。そんにお前さはおらの言う事聞がねんだ。
おらも好きにさしてもらうさね。」
と言っておミツを気遣ってくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます