おミツは相楽が起きぬ間、ずっと相楽の床の傍らに控え、

意識がなくとも水を少しばかり飲ませ、汗をかけば衣を代え、体が冷たければ抱きしめて背を摩った。


途中おミツを心配して婆様がちょくちょく訪ねて来て、

食事を差し入れてくれ、家に一度帰るよう言った。


どうしても帰れないと泣きながら訴えると、

老体で病を貰ったらたまらないと言うに、それでも食事や必要な物を届けてくれる。




何度も婆様に、

「移ったら危ねぇから帰ってくんろ。」

と言ったが、婆様は、

「お前さが先にあの世に行っちゃなんねぇ。そんにお前さはおらの言う事聞がねんだ。

おらも好きにさしてもらうさね。」

と言っておミツを気遣ってくれた。


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