第41話 リリアの日常とタツヤの新たな旅
私の変身後に猫耳冒険者チームのシアトルオレイユの4人組との冒険を再開させた。
変身前と大きな違いはないが私の体が大きくなったせいで力がついたので、攻撃力は上がったが小回りが利かなくなったので正直微妙な所だ。
だけど、仲間と同じ目線で会話したりいろんな事が出来るので大人になって良かった。
変身から10日経ったある日、私達は冒険から帰って来て街の食堂で食事をしていた。
「ねぇリリア最近ため息多くない?」
食事をしているとトットがそんな事を聞いてきた。
「そうかな?でも、ちょっと悩みがあるんだよね」
私が答えるとトットそしてルアンまでが何故か目をキラキラさせて詰め寄って来た。
「おとこ、おとこでしょ!」
トットが詰め寄って来る。
冒険者仲間のシンとアックの男性陣も目の前に居るのにその言葉はないんじゃないかと思い、チラリとシン達を見るが彼らもどうも興味津々で耳を立てていた。
「違うとも言えなけど詳しく話すね」
私は最近ギルド内であった事を話し始めた。
「実はね変身してからギルド内で男性の冒険者から毎日しつこいように声がかかるのよ。最初は挨拶程度だったんだけど、最近は私の目の前に現れて言葉を掛けてきたり、時には腕を掴まれてギルドの奥の食堂に連れて行こうとするの。それでどう対処したらいいのかと悩んでいたの」
私は話終えると順に皆の顔を見る。
シンとアックは少しニヤニヤしながら私を見ていたが、トットとルアンは目を
「なぁ~んだ心配して損した。ただのリリアの自慢話じゃない」
「そうよ、私達なんて声すら掛けてもらえないし~。声を掛けて来るのは目の前でニヤ突いてる奴だけだよ」
トットとルアンがトゲのある言葉を言い放つ。
「おいおい、ルアン。俺達は仲間だから声を掛けているだけであって、お前を口説いている訳じゃないんだから数にいれるなよ」
シンが苦笑まじりにルアンに言葉を掛ける。
「あ~なんかシンがムカつく事言ってる~」
ルアンが言いながらトットへ抱き着く。
「お~よしよし、お姉さんが優しくしてあげるよ」
トットがルアンの頭を撫でながら優しい声を掛ける。
私は皆の行動と話を聞いてコイツら魔物に脳みそかじられたのか?と少し心配になった。
『コホン』とシンが軽い咳をして皆を注目させる。
「まあ、冗談はこの変にしといてだな。リリアお前も損をしないいい手があるぞ。聞くか?」
シンから怪しげな提案が来たが一応頷く。
「よし、まず男ってものは相手に無視されたりすると逆に燃える奴も多いんだ。特に俺達みたいに命張って冒険者をやってる奴ほどな。それでだ、声を掛けてきたら愛想よく受け答えしてみろ。そうすれば男から食事はおごってもらえるは、いろんな贈り物を貰えるかでお前はかなり得をする事になるぞ」
私はシンの提案を聞いて男とはそうゆうもんなんだと思った。でも、受け答えするだけでご飯もらえたり、物がもらえるなんてやらないと損するよね。
そう、ここでリリアの盛大な勘違いと言うか思い込みが始まった。
それを仕込んだのは同じ冒険者仲間のシンなのだが…。
「あっでも一つだけ忠告な」
私はシンの言葉に耳を傾ける。
「酒をおごるとかそうゆうのには気を付けろよ。酒に薬でも入れられたらリリアは連れていかれちまうからな」
シンはそう言うとケラケラと笑っていた。
私は連れていかれるなんてとんでもない!酒の話をして来た奴は断る事にしようと決めた。
アック、トット、ルアンはシンと私の会話を横から白い目で見ていたがリリアは気づいてはいなかった。
*
次の日の朝私はいつものように冒険者ギルドの2階より1階の階段を降りていた。
その時にいつものように声が掛かった。
「リリアちゃん、おはよう。今日も可愛いね」
1階に居る男性冒険者からの声だ。
いつもなら無視するか苦笑いをしているが、今日はシンの提案を実行する事にした。
「あっおはようございます。可愛いなんてありがとう」
そして満面な笑顔で答える。
その瞬間に声を掛けて来た男性は大はしゃぎで仲間に叫んだ。
「見たか聞いたか!俺の言葉にとうとうリリアちゃんが答えてくれたぞ!」
男性は隣の仲間の男性の肩をバシバシと興奮冷めないように叩いている。
だが、その光景を見ていた他の冒険者が又リリアに声を掛けた。
「リリアちゃん、今度良かったら俺と飯食わない?」
「ん~そうね、ギルド内の食堂なら付き合ってあげるわ」
私はニコリとしながら答える。
「うぉーーーーー!やったぞ!俺が一番乗りでリリアちゃんと食事だー!」
大柄の男性冒険者が顔を上に上げて叫ぶ。
そこからは我も先にと私に襲い掛かる様に声が掛かるので、私は”これはマズイ”と思い冒険者ギルドを脱出した。
そして私は今日あった事を仲間のシンに報告した。
「よし、やればできるじゃないか。いいか、リリア。若さは取柄だ。稼げる時に稼げよ」
私はシンの稼ぎる時に稼げの意味があまり良くわからなかったがとりあえず頷いといた。
シンは悪だくみとも思える悪い笑みを浮かべていたがリリアは気づいてはいなかった。
それからリリアは男性冒険者から食事やプレゼントそして買い物同伴と、あるゆる恩恵を受けたのだった。
だが、男性冒険者達は知らない。
数か月後、リリアはある男と共に冒険者ギルドを去る事を。
*
『なんかお金いっぱい余ってるからタツヤ様に会った時に服でもプレゼントしようかな』と思うリリアであった。
◇ ◇ ◇ ◇
場所はポイドンの街。
<タツヤ視点>
俺はアリシアと共に旅に出る為の最終チェックをしていた。
食料、尻に敷くクッションなど旅を通じてあると便利と思う物をお金を使ってでも俺達は買い集めた。旅で疲れていては盗賊や魔物と戦えないからだ。
そして用意が出来た所で俺はカインとミーニャに声を掛ける。
「準備が出来ましたので旅立ちたいと思います」
「そうか、もう行くのか」
カインが俺達を見ながら少し寂しそうな目線を送って来た。
「アリシアさん、タツヤにいじめられたら直ぐに私に言いつけてね」
横からミーニャさんがアリシアに声を掛ける。
「ええ、その時は直ぐに手紙を出しますね」
なにやら不穏な会話をしているが俺はあえて口には出さない事にした。
「それでタツヤ例の約束は守っているのか?」
カインが急に真面目に俺に声を掛けて来た。
俺は恐らく
「当然、カインさんとの約束は守っていますよ。でも、どうしてなんですか?」
俺は疑問なのでカインに問う。
「そんなのは決まっているだろ。危険だからだ」
「やはり危険なのですか」
「ああ、いつ出来ちまうかわからんからな」
「??」
あれ、何故だか話がかみ合わないぞ。
俺の考えている事とカインが考えている事に食い違いが。
「あの、カインさんはなんの話をしているのですか?」
「そんなの決まっているだろ。この話だ」
カインは拳を握り小指だけを立てて来た。
俺のはこの瞬間に悟った。”カインはやっぱりバカだったのか”と。
俺はシラケタ目をしながらカインに声を発する。
「俺はダンジョンの話をしていたのですが、少し話がずれましたね」
俺は渾身のツッコミをカインに入れると奴は何事もなかったように話を咳一つで変えて来た。
「コホン、いいかタツヤ。ダンジョンは前にも言ったが最低二人で挑め。お前は以前と比べてはるかに強くなっている。しかし、ダンジョンにはいろんな危険がたくさんある。その危険を察知できる仲間となら挑む事をゆるそう。お前にはまだ死んでほしくないからな」
俺はこうゆう事いうからカインの事が憎めないのだ。
「わかりました。約束は守りますよ」
「それではカインさんミーニャさんお世話になりました。又会える日を楽しみに冒険に言って来ます」
俺とアリシアは最後にカインとミーニャと熱い抱擁をして旅に出発した。
「それでタツヤ様どのようなルートで行くのですか?」
まだポイドンの街中を歩いている時にアリシアが聞いてきた。
「ポイドンから南に行って港街から南の大陸オーザリアに船で渡る予定だ。当然、護衛馬車じゃなくて普通の馬車だから安心してね」
俺はアリシアに心配させないように配慮した。
次回は月曜日予定
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