第37話 魔法の鞄とリリア2
私は夕食も食べずに冒険者ギルドの自室にこもっていた。
考える事は一つ。
ジュンをどうして助けなかっただ。
私はタツヤから回復薬を1本貰っていた。
ただこの回復薬を貰う時にタツヤから約束をさせられた。
『リリアがどうしても死にそうになった時に使用してほしい。そして他人には使わないでほしい』
私はタツヤとの約束を守った。
けれど一緒に冒険を共にしたジュンが死んだ。
ジュンが死んだのは彼が勝手に先走ったから。それでも注意をすればよかった。
彼と私の一瞬の判断ミスにより起こってしまった事故だから私の責任ではない。
それでも私が無力だったばかりにジュンに噛みついたキラードックを直ぐに追い払う事が出来なかった。
もし…いや、この意味のない問答を頭の中から消そう。
いくら考えても過去は変えられない。
次もしトラブルが起こったら冷静に対処しよう。
私はそう心の中で誓い目を閉じて眠りにて今日あった事を忘れる事にした。
翌朝、私はとても嫌な気分で目覚めた。
理由は昨日の出来事が夢にまで出て来て私を悩ましたからだ。
私はとりあえず夢の事は忘れて既に硬くなったパンをかじって朝食とした。
そして1階に降りて受付のリンカさんの所にやってきた。私の顔色を見たのかわからないが、リンカさんは私が声を発する前に声を掛けてくれた。
「リリアちゃん昨日は大変だったね」
私は返事ではなく頷いた。
「ジュン君の事は残念だったけど落ち込まないで。こうゆう言い方はいけないけど新人冒険者はちょっとした油断と、行動で命を落とすのよ。どれだけ周りが注意していてもね」
リンカさんは恐らくワザとこうゆう言い方をして私に責任がないと言いたいのだろう。
「ありがとう、リンカさん」
私は素直にリンカさんにお礼を言った。
リンカさんは私の心がまだ折れていないと思ったのか直ぐに提案をしてきた。
「リリアちゃん良かったら次の冒険者仲間を紹介するわよ。前回みたいに新人じゃなくてある程度ランクの上がった人達を」
正直私はリンカさんの提案を迷った。
理由は荷物持ちみたいな扱いをされたなら私の経験にはならない事だからだ。だけど、今の状況を少しでも改善するには挑戦してみる価値はあるんじゃないかと思った。戦うだけが全てじゃなく見て覚える事も大切じゃないかと。
「リンカさん紹介お願いします」
私は礼儀正しく頭を軽くだが下げた。
本来ギルドの受付嬢にこんな事をしなくてもいいけど、私の事をこんなに良くしてくれる人には礼儀が必要だと思った。 だけど、タツヤから依頼されて仕事をしていると言う疑念は晴れなかったが。
「それじゃあお昼頃にもう一度来てもらえるかな?その人達はいつもお昼頃しかギルドに顔を出さないから」
「わかりました。それじゃあお昼に来ます」
私はリンカさんに答えるとそのままギルドを出た。
時間があるなら食料の買い出しとタツヤとの試験に向けて商業ギルドの講習会について話を聞きたかったからだ。
商業ギルドは主に名前の通りに商品の仲介役つまりは卸業を主な活動としてる。商品をピンハネしているだけの組織ではなく、魔物を使った商品開発も活発に行っており商業ギルドで開発された魔道具等も広く一般に流通している。当然だが、魔石屋の魔術師が作成している高度で一般的に使われないような魔道具は存在しない。あくまでも一般的に簡単に使用出来る魔道具で価格もその分抑えられている。
「いらっしゃいませ、どのようなご用件でしょうか」
私は冒険者ギルドより近い商業ギルドの受付に立っていた。
「あの算術と文字の読み書きの講習について教えてください」
タツヤからは商業ギルドで定期的に講習が行われると教えて貰った。
「講習は10日に一度行わています。それぞれ難易度に分かれておりまして算術、文字の習得は初級、中級、上級とあります。1回の講習費用は初級が1000ジール、中級が1500ジール、上級が2500ジールとなります。時間は9時から12時です。次回の講習は6日後になります」
「ありがとうございます」
私は礼を言って商業ギルドを後にした。
タツヤの言っていた通りだ。タツヤの試験は最低でも算術、文字共に初級コースは覚えろと言う意味だろう。そしてお金はタツヤのお金じゃなくて自分で稼いだお金と言う約束だ。その為にはやっぱり冒険者稼業を頑張らなくちゃいけない。私は熱い心を胸に抱き再度こころに誓うのだった。絶対にくじけないと。
私は商業ギルドを出た後に食料の買い出しを行い冒険者ギルドの自分の部屋へと一度荷物を置きに帰った。
そしてお昼になる頃に受付のリンカさんの元を再度おと連れた。
リンカさんは私に気づいたのか直ぐに声を掛けて来た。
「あっ丁度いいタイミング。紹介するから待ってて」
リンカさんは受付のカウンターに”少し待ってて”のプレートを置いて、隣にある食事の場所へ歩いて行った。
しばらくすると二人の男を連れて来た。
「リリアちゃんお待たせ。この人達が仲間を探している冒険者よ。後はよろしくね」
リンカさんはそれだけ言うと受付へと戻って行った。
「お前さんが仲間を募集している子か?」
服装は冒険者の皮の服を着ており胸、腕、足にプレートを装備していて、口の周りに髭を生やした人間族だろうか男の冒険者が声を掛けて来た。
「はい、リリアと言います。お願いします」
私はとりあえず名前を言い軽くお辞儀をした。最初から下手に出るのは良くないが恐らくだが私の方が、圧倒的に弱いと言う事がわかるのでここは様子見。
「おう、礼儀正しいじゃねぇか」
横のもう一人の男が声を掛けて来た。
身長は最初に声を掛けて来た男と変わらない一般的な高さだが、私は男の顔を見て驚いた。二人の男の顔がほとんど一緒だからだ。私は左右の男の顔を見比べてキョロキョロしていると、私の行動に気づいたのか少し笑いながら声を掛けて来た。
「俺達は双子だからそっくりなんだよ。俺が兄貴のガルで隣に居るのが弟のジルだ。冒険者仲間では頭の文字を取ってガジ兄弟なんて呼ばれているんだぜ」
男は髭の口をニヤリとしながら語った。私は冒険者ギルドに併設されている酒場なんかに顔を出さないので噂話なんてものは知らないが、どうもこの二人はある程度有名な冒険者と言う事らしい。
私は後で何か言われないように先に自分を語った。
「あの、私初心者で戦いも満足にできませんが冒険のお手伝いをさせて下さい」
「ああ、リンカさんの紹介だから問題ないぜ」
ジルと名乗った男はあっさりと承諾した。
「まあ、とりあえず早速森に行こうや。走りながらでも話せるしな」
その言葉で私とガルとジルの最初の冒険が始まった。
森までは身体強化を使い走りながら向かった。前回の初心者冒険者のように歩いていくのではなく。私はタツヤから身体強化は教わっていたのでそこは安堵した。もし教わっていなかったら最初から置いてきぼりになったからだ。
ガルとジルの武器は両刃の斧だ。二人共に体格がいいのかがっちりとした筋肉で覆われた体をしている。だけど、身体強化を使った走りではとても滑らかに大地を蹴っているのが分かった。二人はある程度強い冒険者だろうと予測した。
私達は走りながら今からどうするかなどの話をしながら目的地の森を目前にしていた。
「それじゃあさっき言った通りに俺達二人が魔物を討伐するので、リリアは魔石と必要部位の解体を頼む」
「わかりました」
ガルの言葉を受けて討伐が開始された。
ガル達は期限のない一般依頼を受けていた。依頼内容は増えたキラードックの間引きと他の魔物の生態調査だ。どんな魔物が増えているかなどを調べる仕事だ。ギルドは常にこのような生態調査の依頼を出して情報を集めているのだ。
「来たぞキラードック2体だ!」
森へ入り直ぐにキラードック2体が目の前に現れた。私はキラードックを見た瞬間にジュンが腕を噛みつかれている光景がフラッシュバックする。この男達も、もしかしたらキラードックに…と言う妄想をしたが、私の妄想とは打って変わって二人の男達は強かった。
キラードックを両方から挟むように立ち位置を変えながら、両刃の斧をキラードックに叩きつけていた。斧にはそれほど魔力が乗っていないのかキラードックの体を切断まではいかなかったが、力の限りに叩きつける斧の前にキラードックは全身を強打されて口から血を吐き出しながら地面へと直ぐに倒れ込んでいた。
「まっこんなもんだな」
ガルとジルは2体のキラードックの死体を目の前にチラリと私の顔を見て来た。
私はその光景を茫然と見ていた。正直にタツヤとは違った戦い方だが凄いと思った。
「後は頼むぜ」
ガルは私にそう言うとさらに森の奥へと二人で足を進めた。
私は直ぐにキラードックの死体へと駆け寄ると、キラードックの額から魔石を取り出しキラードックの両耳、目玉そして折れていないキバをナイフで解体した。私は解体した物を直ぐに袋へと入れ彼らの跡を追った。
そして少し歩くと又キラードックの死体が1体転がっていた。
私は出来れば彼らの戦いが見たいと思ったが、とりあえず与えられた仕事だけはこなそうと一生懸命に励んだ。
結局この日はガルとジルの戦いを見られたのは最初だけで、私は計10体のキラードックの解体を行った。
「なかなか綺麗に解体してあるな」
ガルは私が解体したキラードックの魔石などをみながら語った。
「ああ、合格だな」
ジルがそんな事を言ってガルを見る。今日は最初から私の採用試験だったんだと今気づいた。
「明日からも頼めるかリリア」
「ええ、よろこんで、お願いします」
そしてこの日から私達3人の冒険がスタートした。
ガルとジル彼らは強くて優しかった。解体だけじゃなくて私に戦い方も少しは教えてくれた。当然魔力を武器に流すコツも教えてくれた。タツヤとは違った視点で教えてくれるのでとても新鮮だった。そして報酬もしっかりとくれた。彼らが7割で私が3割だ。私は算術が出来ないので良くはわからないが、ガル
そんな感じで2か月近く経った時に事件が起きた。
それはいつも通りに森で生態調査を行っている時だった。私はいつも通りに魔物を解体して彼らの跡を追うと騒がしい声が聞こえて来た。
「こいつはヤバイぞ!」
この声は兄貴のガルの声だと思い私は足を早めた。
私がたどり着くとジルが左腕で右腕を抑えながらうずくまっている光景が飛び込んできた。
そして目の前には私が見た事ない魔物がいた。
全長2メートルの灰色の4本足で大きいネズミ見たいな魔物だ。そして特徴なのが長い
「こいつはハリネズミだ!体から針を飛ばしてくるぞ!」
私はガルの言葉を受けて体が硬直してしまった。
ハリネズミは私達を警戒するようにゆっくりと少しづつではあるが私達との間合いを詰めて来る。
私はどうしていいのかわからず立ち尽くしていると声が掛かった。
「リリアとりあえず地面に伏せろ!そしてゆっくりと後退するんだ!」
私はガルの言葉に従い地面に伏せて後ずさる。
ガルは腰に巻いてあった鞄から1メートル四方の四角い板を取り出し左腕に固定して、身をかがめながら傷ついた弟ジルの方へゆっくりと足を進めた。ハリネズミはガルが動いた事によってその背中より針を傷ついたジルへ向かって飛ばず。
『ガキン!』と言う鉄が当たるような音が森に鳴り響く。
それはハリネズミの針とガルが持っている板がぶつかってして音だった。
ガルは寸前の所でジルの元へ辿りついてジルの体をハリネズミの針から守ったのだった。
ハリネズミの針は長さは30センチ太さは1センチあり毒はない。
「ジル大丈夫か!」
「ああ、少し右腕をやっちまった」
「俺が防いでいる間に止血して盾を構えろ」
ガルの言葉でジルは直ぐに行動を起こす。鞄から布を取り出すと傷ついた右腕に巻き付け、ガルと同様に盾を構えた。
「よし、後退するぞ」
ガルがジルに指示をしてゆっくりと後退が始まる。
しかしハリネズミの針は容赦なくガルとジルを襲う。
彼らが持つ盾は木と木の間に鉄が入れてあり針が貫く事はないが、大きさがそれ程おおくはないので頭と体を守るとどうしても足の一部が出てしまう。針はその隙間を容赦なく襲うのだ。
「うがぁ!」
針がガルの左足に突き刺さり声を上げる。
「兄貴大丈夫か!」
「あっああ、なんとか」
ガルは答えるが顔からは冷や汗が出ていたかなり苦しそうだ。
彼らは後退するが針は次々とガルとジルを襲う。盾を持っているので死へと至る事はないが、むき出しになっている腕や足に次々にハリネズミの針が突き刺さる。
私はその光景を後方から地面に伏せながら体を震えながら見ていた。そしてまたもや死んだ新人冒険者の姿が思い出されるが、今戦っている彼らからは諦めのような雰囲気は伝わってこない。なんとしても生き抜くと言う気迫が伝わって来る。
「頑張って!」
私は無意識に彼らに声を掛ける。
私の声に反応したジルが私をチラリと見てニヤリとして又ハリネズミを見る。
私は何とか彼らの役に立たないかと状況を確認する。ハリネズミは針を飛ばした後少しの間だが間隔が空く事に気づいた。私は危険だけど掛けに出る事にした。私は鞄から1本の投てき用のナイフを取り出す。そしてハリネズミの行動を監視する。
ハリネズミが針を出した瞬間にチャンスと思い行動に出る。
私は立ち上がり少し助走を付けて投てき用のナイフをハリネズミの顔にめがけて投げつける。こんなナイフ程度では傷をつける事は出来ないかもしれないが、彼らならこのチャンスを物にしてくれるのではないかと思った。
「キン!」
投てき用のナイフがハリネズミの額に当たり弾かれる音がする。ハリネズミはナイフを投げた私に顔を少し向ける。私はその瞬間に自分の行動が浅はかだった事を後悔するが、次の瞬間にガルかジルが投げただろうか煙がハリネズミの顔から上がった。
「ギャヴッ!」
ハリネズミから嫌な鳴き声が上がり、ハリネズミは顔を左右に振り煙を振り払おうとしている。
「よし、命中したぞっ!今の内に後退する」
ガルがジルへと後退を促す。
そしてハリネズミが顔を振っているのを見ながらどんどん後退した。
ガルかジルが魔物に投げつけたのはたぶん魔物が嫌がる成分を含んだものだろうと私は予測した。こんな方法で魔物から逃げる手段があるなんてとこんな状況だけど私は勉強になったと心に思いながら、私も彼ら同様にはいずりながらハリネズミから後退していく。
そしてある程度ハリネズミから距離を取った所でガルが叫ぶ。
「立ち上がって森の出口に向かって走れ!」
私はガルの言葉を聞きガルとジルが傷ついているのも忘れて全力で森の出口へと駆けだした。
私は荒い息を整えつつ森の出口にてガルとジルを待った。そして待つこと30分やっとガルとジルが足を引きずりながら森の外へと出て来た。私は彼らが傷を負っている事を今まで忘れていた。言い訳をしたくはないが、魔物のあまりの恐怖ゆえに頭の中から除外していたのだ。そして私は彼らの姿を見て直ぐに駆け寄った。
「ガルさんとジルさん大丈夫ですか?さっ先に逃げてごめんなさい」
私は彼らの傷を心配すると同時に謝罪をした。
「謝らんでいいぞ。俺が命令した事だ。それより傷の手当をするので手伝ってくれ」
私はガルの言葉を受け謝罪より手伝いを優先した。
最初に腕にケガを負った弟のジルだったが腕のケガは血が出ていたが細い穴が腕に開いただけでひどくはなかったが、その後に受けた針の傷が酷かった。それは兄のガルも同様で無数の針が足と腕に刺さっていた。
私はその1本1本の針を慎重に抜く作業から始めた。
針は長さが20~30センチで太さが一番太い所で1センチ程度。その針が3~5センチ体に突き刺さっていた。その程度の突き刺さりで済んだのは、身体強化で体の筋肉を鋼鉄のように固くした結果だ。
私は針を抜いた場所にガルとジルが用意していた薬草を塗り込み、布が巻ける所は布で巻き出血を止めた。
そして全身の簡易処置が終わった所で3人ともに安堵のため息をついた。
「しかしヤバかったな兄貴」
「ああ、今回は流石に死ぬと思ったぜ」
「でも、脱出のきっかけはリリアが作ってくれたから助かったぜ」
「おう、リリア。あの投げナイフは見事だったぜ。奴の視線を俺達から自分へ向けさせたんだからな」
ガルとジルから以外な礼を言われて私は嬉しかったがそれほど役に立ったとは思っていなかった。
「いえ、無我夢中でやったので、策なんてなかったですよ」
私は本心からの言葉を伝える。
「リリアよ。その行動が冒険者の命を繋ぐ方法だ。全て基本通りやってちゃいつかダメになる。魔物との闘いは直感が左右される場合が多いにあるんだ。仲間を救う時もだ。その意識を忘れなかったらお前は一人前になれるぜ」
私は兄のガルの言葉を胸の奥深くに刻んだ。
その後3人でゆったりとキールの街へとたどり着き、冒険者ギルドへ報告に行った。
冒険者ギルドでは直ぐに討伐体を立てると同時にこの街にある他の冒険者ギルドへと情報を回した。
私は冒険者ギルドを出た後にガルとジルの二人と共に治療院へと同行した。
治療院は薬草や薬草から抽出する回復薬にて冒険者や街の人々を治療する所だ。当然魔法の治癒もあるが魔法の治癒はかなり高額な金が掛かる事から一般の冒険者はその治療を拒否する事が多い。
魔法の治癒が高額な理由は治癒魔法を習得し実践に至るまでの術者の育成費用が莫大な為だ。魔法は
ガルとジルは一般的な薬にて治療を受けたが、やはり傷は深くひどい為当分の間は冒険稼業はお休みとなった。
「すまんなリリア。こんな事になってよ」
「いえ、そんな事ないですよ」
「俺達はこれから当分の間治療に専念するからお前は別のパーティーを見つけて頑張れや」
ガルからのパーティー終了の知らせだった。
私はやっとこの二人とやっていけると思ったのに…でも、彼らは死んだわけではない。
「ガルさんジルさん。怪我が治ったら又冒険に行きましょうね」
私は心から言葉を彼らに送った。
「おうよ!それまでくたばるんじゃねぇぞぉ!」
私は彼らから激励を貰いその場を後にした。
*
「行っちまったな」
「ああ」
ガルとジルがリリアの後ろ姿を見ながら呟く。
「腕はどうなんだジル」
ジルは兄のガルの目を見てそっと首を横に振る。
「兄貴の脚はどうなんだよ」
ガルも同様に首を横に振る。
「なあ、兄貴二人で商売でも始めないか?」
「どんな商売だよ」
「それは今から考えるんだよ」
「ははは、お前らしいな」
その日髭面のガルとジルの兄弟が冒険者を引退した。
ハリネズミは冒険者ギルドの合同パーティーにて、多数の負傷者を出しながら討伐された。
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