ばん
rouF Love(らふらぶ)
ばん
ある日、とにかく眠れない日があった。
頭はもう物凄く眠いのに、目を閉じても眠りにつくことができない。
時刻は三時過ぎか四時前だったと思う。ようやく頭がボーッとしてきて眠りにつけると思った時、外でカラスが活動し始めた。カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ。また眠りからかけ離されてしまった俺は苛立ちに蝕まれた。
何をするわけでもなかったが、衝動的に窓の外にいるカラスに指先を向けて「ばん」と言った。ただの気分転換のつもりだった。すると窓の外からカラスの鳴き声がしなくなった。俺はもう眠かったため、なにも考えられず、そのまま寝てしまった。
朝起きて身支度を整え、アパートの階段を降りる。一階にたどり着いたところ、同じアパートの住人が数人集まっていた。何だろうと思い、人混みを覗き込んでみる。そこにはカラスがグッタリした様子で死んでいた。そこでようやく理解した。昨日の俺の妄想は夢なんかじゃなかったんだ。本当に撃ったんだ。少し怖くもなったが、首筋から背中にかけて、ゾクゾクするような感覚が走った。
ある日、学校に行った。
次の授業が移動教室のため、休み時間のうちに移動しなければならない。荷物をまとめて教室の扉を
俺は計らずも、高山の進路妨害をしてしまった。
「ンだおめぇ、邪魔だよ。」
そう言って俺の肩にわざとぶつかるように当たってくる。俺はバランスを崩して尻餅をつく。
すれ違って、俺の後ろへ歩いていく高山の後ろ姿に俺は指先を向けて「ばん」と言った。瞬間、高山は力が抜けたようにその場にバタンと大きな音を立てて倒れた。
その日は救急車が来る騒ぎになり、臨時休校となった。
ある日、テレビを見ていた。
本当はアニメの録画を見ていたが寝落ちしてしまい、気づいたら生放送中のワイドショー番組が映っていた。
テレビには嫌いな芸能人が出ていて、相変わらず中身のないことを声を荒げて訴えていた。
ふと思いついてテレビに指先を向ける。テレビに嫌いな人が映ったタイミングで「ばん」と言うと、その人が倒れた。
出演者が生放送中に倒れる。紛れもない放送事故である。画面には「しばらくお待ちください。」の文字だけが映されていた。
ある日、学校の支度をしていた。
毎朝毎朝、憂鬱なルーティーンを繰り返す。洗面所で顔を洗っているとき、ふと思いついて指先を鏡に向ける。「ばん
ばん rouF Love(らふらぶ) @rouF_Love
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます