第22話 バルドーの焦り
「あなたは何をしているのですか!?」
アンナが目の前にいつの間にかいて、
「あ~ん、テンマ君から大事な
あと少しで膝をつきそうなっていたが、アンナが
アンナが羽の部分を掴んで
あれっ、
でもなんで
次々と湧き上がる疑問に混乱する。それがアンナに伝わった訳ではないが、二人の会話で少しずつ疑問は解消されるのであった。
アンナ「無駄に羽など付けるから燃費が悪いのよ」
フリージア「でも、羽があるほうが神秘的でしょ?」
アンナ「まあ、何となく気持ちは分かるわ!」
フリージア「でしょぉ、王都ではこの姿で有名になっているのよ!」
アンナ「はぁ、あなたは何をやっているのよぉ……」
フリージア「だって、すぐに帰ってくると言ったのに……、私だけ王都に……」
ジト目で
くっ、
「土地神様、お久しぶりでございます。様々なことが起きてテンマ様がこの地から離れられなくなり、王都に戻れませんでした。すべてテンマ様の都合による結果です!」
あっ、あっ、ずるい!
バルドーさん、俺のせいにしているぅーーー!
数年前にバルドーさんが、元母親であるフリージアさんから逃げ出そうとしたじゃないかぁ!
フリージアさんに嫁をもらって子供を作るように要求されたバルドーさんは、率先して王都を逃げ出したのである。俺もトラブルメーカーであるドロテアさんから逃げ出そうとしたが、二年前に合流されてしまったのである。
よく考えればバルドーさんだけ望みが叶ったといえる。それなのに俺に責任を擦り付けるバルドーさんの対応に驚きしかない。
ふふふっ、バルドーメンズ隊をフリージアさんに紹介するしかないかなぁ!
悪魔のような考えが過った。バルドーさんは俺の悪魔の笑みに気付いたのか、必死に目で俺に許してもらおうとしていた。
しかし、バルドーさんの
「あなた数年でずいぶんと力を付けたみたいね」
アンナが
「へっへぇ~ん、この姿で王都では人気者になって、たくさんの信者を獲得したのよぉ。王都で人気が出れば他の街や領でも人気になって、さらに信者が増えたの! 人々に分かりやすいように土地神グッズも作らせたら一気に人気に火がついて、ヴィンチザード王国で私のことを知らない人はいないと思うわ!」
おいおい、グッズ販売とかで荒稼ぎはしていないよね?
「へぇ~、だから国内なら多少は移動できるようになったのね」
「そうよぉ~、この姿なら燃費も良いから何とかね。でもこの地はヴィンチザード王国になったといっても住民の理解が無かったから昨日までは来れなかったのよぉ。
でも今日の夕方に突然移動できるようになったの。式典をすると聞いていたけど、それでこの地の住民の多くが納得したのかしらねぇ」
話を聞いてなるほどと感心してしまう。土地神は信者の存在で力を増すのだろう。それに人が勝手に国として組み込んでも、その地に住む人が理解したり、納得したりしないとダメなんだろう。
「でも、これは燃費が悪いんじゃない?」
「あっ、いやん!」
アンナが羽を掴んだまま左右に
光の粒はファンタジーぽくて綺麗だと思ったが、意識的な演出だと分かると微妙だと思ってしまう。
「こ、これは土地神として早く
おいおい、テラス様は何をしているんだ!
まさか悪徳商法や悪徳勧誘なんかも教えていないよね……?
「それなら仕方ないわね……。でも勝手にテンマ様から吸っちゃダメでしょ?」
「だってぇ~、この地がヴィンチザード王国になっても、まだ私の信者は少ないから長時間維持できないのよぉ」
「それでもダメよ!」
「で、でも、私だけ置いてきぼりで、グスッ、寂しいんだもん!」
うん、さすがに申し訳ない気持ちになる……。
「それで、先ほど吸った分でどれくらいこの地にいられるの?」
「ふふふっ、テンマ君の
小さくなって燃費は良くなったけど、それでも燃費は悪いなぁ~。
「久しぶりに土地神様にお会いできたのです。私としては実体化した状態の土地神様を見ていたいです!」
「まあバルディ、嬉しいことを言ってくれるのね!」
おうふ、それは早く
バルドーさんは間違いなく早くこの地から
バルドーさん、そんなに必死な目で俺に同意を促すように訴えてこないでぇ!
幸いなことにピピをはじめ、久しぶりに
ピピ「土地神様、可愛いよぉ~!」
ドロテア「土地神様、久しぶりなのじゃ。私のHPも提供するのじゃ!」
ドロテア「喜んで教えるのじゃ!」
エアル「黒耳長族の族長であるエアルなのじゃ。初めましてなのじゃ!」
エリス「エリスです。エクス群島にもお越しください!」
エリカ「エリカです。だったらエクス群島もヴィンチザード王国に入れば問題ないわ!」
エアル「そうじゃ! 早速戻って──」
「みなさん、お話は後でゆっくりとしてください! まだこちらの問題が片付いていません!」
バルドーさんが焦ったように皇帝とノーマン達を指差してエアルの話に割って入った。
うん、忘れていた!
しかし、バルドーさんはエクス群島をヴィンチザード王国に併合させないように話に割ってはいったと俺は確信していたのだった
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