第29話 7歳8月 リヒトの強制加入とイザベルの評価3

◆リヒト視点


レア職業『闇魔法使い』が使える【闇魔法】。

この魔法は情報収集にとても向いている。


【闇魔法】で魔力を展開させてしまえば

同じ闇系統の魔法使いか、【魔力感知】等の一部のスキル持ち以外は情報収集されていることすら、気付かないからだ。


しかし、ここにきて監視対象のユウキ君に何か気付かれたかもしれない。


この前は釘を差すかのように、レベッカさんへ密告する奴は許さないと言ってきた。


さらに、僕の【闇魔法】が展開しているエリアを避けて動くようになった。


今までに無かった動きだ。


そして、【闇魔法】を展開した後、目が合うことが多い。

まるで、気付いてるぞと言わんばかりだ。


嫌な予感がする。


こういう時は自分の勘に従って撤退すべきだ。

レベッカさんの依頼じゃなければ、とっくに撤退しているのに。



そもそもだ。

何故かあまり騒がれていないが、調べれば調べる程、彼の異常さが明らかになっていく。


ほら、今の動きもそうだ。

嘘でしょ…?


僕の速さのステータスは172。

スキル【速さ上昇(小)】(速さ上昇補正+20%)を加味すると200近い速さを誇る。

まぁ、同年代ではトップクラスだと思っていた。


その僕が…ユウキ君が一瞬見せた今の動きに、とてもじゃないけど反応できそうにない。

多分だけど、倍ぐらいのステータス差を感じる。。。


速さばかりではあの動きはできない。

器用も当然、それに近い数値があるはず…。


一応、僕も一部では神童とか言われてるハズなんだけど…。

僕が神童なら、あれは何なの?



次に精神だ。

何あれ…?


あんな木の盾で魔法が防げる訳ないでしょ…。

誰かふざけるなって突っ込もうよ。。。


ほら、今なんて炎の塊が顔に当たったよね?ね?

盾は魔法の直撃を防いでるだけで、もろに余波を受けているのに…。

ユウキ君は涼しい顔をしている。


セリナさんは当然って顔して頷いているけど、いやいやいや、完全におかしいからね?


レベッカさんが彼は38階層をソロで戦っていると言っていたけど、それも頷ける。


ユウキ君はレベッカさんを悪魔と呼んでいるけど…

僕から言わせれば、君も十分、化け物だからね。



そんな彼が最近は学校を休むことが増えてきた。


何をしているのか?

レベル上げだ…。

まだ強くなりたいのか。。。


早速、レベッカさんに報告する。

レベッカさんは満足そうに笑っていた。


「ふふふふふ、そう。ありがとう。

やっとあの子も従者としての自覚が出てきたのね。

セリナちゃんとは明日、話すことになってるし。


あとはリヒト…そう、あなたね。」


「え…?」


レベッカさんがこちらを見て微笑んだ。


悪い予感がする。

いや、悪い予感しかしない。


ちょっ…ちょっと待って欲しい。

セリナさんの情報を流して、明日、レベッカさんと会うように手紙で誘導したのはこの僕だ。

いや、ずっと情報を集めて、手足のように動いてきたのに。。。


僕を使うだけ使っといて…

まさか、僕まで巻き込むつもりなのか、この人は。。。


「あはは、おめでとう。

ユウキ君とセリナちゃんと一緒に

あなたも魔族討伐パーティーの一員に選ばれたの。」


ヒィッ…きた。。。


やばい。やばい。やばい。やばい。


何がおめでたいのか理解に苦しむ。


魔族討伐パーティーなんて冗談じゃない。

『聖魔法使い』の拘束期間は10年。

しかも、危険度はかなり高い任務となる。


「あの…僕は情報収集が専門ですので…。

討伐パーティーとかは荷が重いっていいますか…。」


「ふふふ、私が選んだ世代別最優秀『盗賊』にあなたは選ばれたのよ。

もっと誇っても良いと思うわ。」


なにそれ…。

誰が喜ぶんですかね。

イヤだ。イヤすぎる。

できれば、丁重に辞退させて欲しい。。。


「その…しばらくは父さんのお手伝いが忙しくなりそうだから…」

「あはは、それなら大丈夫よ。

ちゃんと盗賊ギルドに人を回すように伝えといたから、安心してパーティーに入ってくれるといいわ。」


何て根回しのいい…

イヤだ。イヤだ。入りたくない。


ユウキ君とセリナさんを引き摺り込んだら、次は僕の番だったとか…

それはあまりにもムゴイですよ。。。


「ふふふ、【闇魔法】が使えて、優秀な『盗賊』『狩人』なんて子は中々見つからないもの。

本当に助かるわ。リヒト。」


なんて強引な…。

まだ入るとは一言も言ってないのに。。。


「はい、リヒトもこれを付けてね。

魔力を流すとお互いの居場所が分かる優れ物でね。

勝手に外せないようになってるから、あまり見えない所に付けるのよ?」


イヤだ。イヤだ。イヤだ。

そんなの付けたら最後、どこに逃げても居場所が分かっちゃうじゃないか。


「いや、僕は遠慮したいと言いますか…」

「ふふふ、さぁ、早く付けなさい。」

「いや、ちょっと病気もあったような…」

「早く!」

「そ、そんな…。」


ぁぁ…ぁぁぁ…

なんて理不尽なんだ。。。


「カウントダウンね。

5…4…3…2…1…」

「ヒィッ…。」



「ふふふ、えらいわ。ちゃんと付けれたわね。

リヒトもこれで私達の仲間だから。」

「ありがとう…ございます…。」

「あはは、これでリヒトが引きずり込んだあの2人と旅ができるわね。」


いやいやいや、言い方…。

僕はあなたの命令に従ってやっただけだからね。。。


「いや、僕は情報を集めただけで…。」

「ふふふ、あの2人があなたのやったことを知ったらどう思うかしら?

ユウキ君なんて、あなたのせいでだいぶ殴られたのよ?」

「ちょっ!ちょっと、何で僕が脅されてるんですか!?」



こうして、僕も討伐パーティーに加えられることになった。。。


最初こそ、ユウキ君から悪魔の手先だと罵られたが、次第に仲良くなっていった。

レベッカさんの理不尽さを2人で分かち合えたからだ。。。


この任務が終わったら、情報を売る相手はしっかり選ぶようにするから…

お互い頑張ろうね。ユウキ君。




リヒトを評価している人物はもう1人いた。

担任のイザベルである。


ふふ、予想通りセリナが一気に伸びてきたわね。

特にマリーの嫌がらせが終わった後は、もう手が付けられないというか。


この前なんて、屋上から空を飛んでたし。。。

普通、あんな緻密な魔力操作は【風魔法】だけではできっこないのに。

あれには本当に冷やっとさせられたわ…。


真似する子が出てきたら、どうするつもりなのよ?

本気でやめさせないと、死人が出るわよ。。。


しかし、あのお行儀の悪いマリーを黙らせるって、バックに付いてるのは誰かしら?

ケンタなんか土下座してお金まで包んでたし。


相当な手練れが控えてると思った方が良さそうね。

セリナは師匠もできたって言ってたから、その筋から調べてみればいいか。



そう言えば、セリナとユウキ君の情報を集めてるあのリヒト君も面白いのよね。


誰かに命令されて、このクラスに入ってきたんだろうけど、セリナのバックと一緒かしら?


速さとか器用が高い。

でも、それよりもあの絶妙な間合いの取り方がいいわ。

既に小学生レベルじゃない。


たまに気配がおかしいし、リヒト君も何か別の職業を隠し持ってると見て間違いないわね。


『侍』ダイチと本気でやり合えば面白そうだけど、ユウキ君と一緒でいつも本気出さないし。

そもそも、あの2人はやる気が無さすぎよ。

ユウキ君なんて、週1~2日は休んでもいいと思ってないかしら。


あはは、それにしても、うちのクラスはどうなってるのかしら。

王都の上級学校でも、中々ここまでのメンツは揃わないわよ。


ふふふ、半年後の王国選抜戦は楽しみね。


ステータス

ユウキ 7歳


HP 477/477

MP 443/443

体力 383

力  340

魔力 430

精神 469

速さ 397

器用 374

運  222

吸収 7


職業

戦士 LV8(702.78/800)

火魔法使い LV9(722.98/900)

水魔法使い LV8(470.20/800)

土魔法使い LV8(598.75/800)

風魔法使い LV8(701.17/800)

僧侶 LV15(317.70/1500)

盗賊 LV10(112.06/1000)

武道家 LV8(3.69/800)

吟遊詩人 LV11(211.45/1100)

植物魔法使い LV8(780.88/800)

付与魔術士 LV7(290.03/700)

剣士 LV6(388.19/600)

盾使い LV7(648.58/700)

狩人 LV9(883.31/900)

薬師 LV8(147.12/800)

魔物使い LV2(127.48/200)

槍使い LV3(35.44/300)

遊び人 LV5(90.34/500)

斧使い LV2(111.36/200)

弓使い LV4(153.65/400)

生活魔法使い LV3(107.74/300)

闇魔法使い LV4(217.76/400)

光魔法使い LV0(33.09/50)


スキル

経験値吸収 LV7(297.45/700)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る