第11話 6歳11月 今後の方針とリーシャの気持ち

「だぁぁぁぁぁぁ!

平均LVが上がるどころか、入学前より下がってるじゃねーか!」


彼の求める人並みへの道は遠く険しい。


平均LVでクラスメイトに追い付く。

その目標は、もはや機能していない。


またスキル【経験値吸収】で新しい職業『弓使い』が増えた。

これで20職目。

新しい職業をユウキが増やし続けるせいで、平均LVが下がっていってるのである。



装備問題が改善され、32階層でLV上げを始めたおかげで、経験値取得量はさらに増えた。

まだ上に行けるが、『僧侶』LV12で覚える【回復魔法(小)】を覚えてから進める予定にしている。


間違いなく俺は強くなっている。

それでも、職業を増やし過ぎて、LV上げが追い付かないのだ。

今月上がった職業は『遊び人』『槍使い』の2つのみ。


既に1日の平均睡眠時間を4~5時間まで削り、LV上げに捧げていた。

睡眠不足分は学校の休憩時間に補うようにしている。


これだけやって、追い付くどころか離されていく。

認めよう。俺のやり方に問題があると…。


では、どうするか?

どの職業もLV12から1ランク上のスキルを覚え始める。

いくつかの職業を集中的に上げて、より強い所で戦えるようにするしかない。


では、どの職業をそこまで上げるか?

1つは『僧侶』、これはもう決めている。

残りをどうするかが問題だ。

これにより、戦闘スタイルが決まると言っていい。


俺は悩んだ末に

【気配遮断(小)】を覚える『盗賊』

【気配察知(小)】を覚える『狩人』


この2つを優先的にLV12まで上げることに決めた。

ソロでやっていく以上、敵に囲まれたら終わりだからだ。

結局、見つからないように立ち回っていくのが理想なのである。

それに、このスキルはどのスタイルでやるとしても使える。


後はMPを増やすために『魔法使い』系の職業を重点的に上げていけばいいか。




今日はリーシャと夕食を食べる約束をしている。

18時前にいつもの公園に着くと既にリーシャが待ってくれていた。


「ユウキお兄ちゃん。こんばんは。」


リーシャがいつものようにニッコリと笑ってくれる。

学校ではボッチの俺にとって、リーシャの笑顔は心に染みわたる。

この年下の女の子が天使に見えることがある。


「あの…お兄ちゃん。

お父様とお母様がレベッカの従者になったお兄ちゃんに挨拶をしたいって。」

「しまった。俺から挨拶しに行かないといけなかったな…。

子爵様はお怒りではなかった?」


先生は子爵家の従者で、俺は先生の従者。

子爵家から見れば、従者の従者である俺から挨拶するのが筋であるとも言える。


最近までリーシャが子爵家の娘ということも知らなかった。


「大丈夫ですよ。

あのレベッカが弟子を取るとはって、是非、どんな子か見てみたいって感じでしたので。」

「そっか…。それなら良かった。ホッとした。」


リーシャがまたニッコリと笑う。

また、リーシャの笑顔に救われる。


いつも、ありがとう。



「お子爵様、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。

レベッカ先生の従者になりましたユウキと申します。」

「あぁ、今日は突然、すまなかったね。

レベッカの弟子なら、うちとも色々繋がりもできると思ってね。

それと、リーシャから話は聞いている。いつもありがとう。」

「ふふふ、ユウキ君。リーシャの母リリスよ。

リーシャったら、ユウキ君のことばかり話すんだから。」

「もう!お母様。そんなことありません。」

「あら、今日も昨日も一昨日も、ユウキ君のことばかり聞かされたわ。」

「お兄ちゃんの前で言わなくたって…」


リーシャが顔を赤くしている。

あはは、リーシャでもあんな顔をするんだな。



和やかに食事の時間が進んでいく。

しかし、学校の話になった辺りから…流れが変わってきた。


「ふふふ、ユウキ君。

そう言えば、何でも上級小学校に行ってるんでしょ。

どのクラスになるのかしら?」

「一応…Aクラスになります。」

「まぁ、それは凄い!

それなら、お父様とお母様も自慢の息子でしょうね。」

「そうだと…いいんですが…。」


父さんからは商品としか見られていない。

従者が決まるまでは、売れ残りの期待外れだと言われていた。


「ほほう。あの上級小学校のAクラスとは大したものだ。

息子のアルノルトと1度、手合わせしてはもらえないだろうか?」

「いえ、そんな大した腕前では…ありませんので。」

「そう言わずにお願いできないだろうか?

上級小学校のAクラスと言えば、この辺りの優秀な子が集まる。

息子がどの程度、通用するか見てみたい。」

「私もお兄ちゃんの戦う所を見てみたいです。」

「それでしたら、少しだけなら。」

「ユウキ君。軽く一戦だけ、よろしく頼むよ。」

「ユウキお兄ちゃん、頑張って下さい。応援しますね。」


アルノルトさんは『槍使い』か。

まぁ、出方を伺いながら、適当に引き分けにすればいいか。

当初は軽い打ち合いから始まった戦いが、次第に熱を帯びてくる。

アルノルトさんが本気を出し始めたのだ。


なっ…今の突き、本気でスキルを使わなかったか?

軽く一戦って言ってたのに。


もちろん、ユウキの敵ではない。

しかし、自分よりもかなり上のスキルを使われれば、それなりにヒヤッとしてしまう。

瞬間火力はスキルにより、跳ね上がるからだ。


「ユウキお兄ちゃん。頑張って下さい。」


リーシャが手を振って、俺の応援をしてくれている。

実のお兄さんの応援をしなくていいのか?


アルノルトさんの攻撃が勢いを増す。

突きに薙ぎ払いを混ぜながら、スキルを使ってくる。


うぉっ、スキル2連。

いや、3連か!?


ユウキは着実に盾で対処していくが、少し腕が痺れていた。


ぐっ、今のは結構危なかったか。

アルノルトさん、相当強いな。


俺も受けばかりではなく、少し攻撃も混ぜるか。

借りている木刀で攻撃を加えていく。

上段、下段、横。

これぐらいの攻撃なら、アルノルトさんも防いでくるか。


じゃ、これなら?

攻撃のバリエーションを増やし、相手のリズムを狂わせる。


お、防がれた。

じゃ、これなら?


突きも混ぜてみる。

突きは槍だけの攻撃ではない。

『剣士』の攻撃でもある。


アルノルトさんが防ぎきれなくなり、ダメージを受け出した。

ふぅぅぅ。

後は少しペースを落とし、対処できるギリギリの所で戦えばいいか。


3つ年上のアルノルトを寄せ付けない。

傍目にはそう写っていた。


「ありがとう。

さすがはAクラスと言ったところか。

まさか、アルノルトが歯が立たないとは。」

「いえ、こちらこそ、勉強させて頂きました。」


こうして、模擬戦は終わり、挨拶をしてリーシャの家を後にする。

リーシャが家の前まで俺を見送ってくれた。


「あの…お兄ちゃん。

とっても…格好良かったです。」


そう言って、リーシャが俺の手を握ってくる。

ちょっ!そんな上目遣いで見つめないで、本当に可愛いから。。。


「ありがとう、リーシャ。本当にたまたまだよ。

アルノルトさん、強かったし。」

「ふふ、たまたまなんかではありませんでした。

あの…お兄ちゃん。

またお誘いしてもいいですか?」

「あぁ…うん。楽しみにしてる。

それじゃ、また明日、公園で。」

「ふふ、やった!

はい、また明日。」


リーシャが名残惜しそうに手を振ってくれる。

やっぱりリーシャは可愛いなぁ。



それに比べて…

うちのクラスの連中は!

俺を馬鹿にするだけでなく、『遊び人』まで馬鹿にしやがって。

そもそも、お前達は運のステータスが…


ユウキはまだ『遊び人』が馬鹿にされたことをまだ根に持っていた。。。



ステータス

ユウキ 6歳


HP 368/368

MP 342/342

体力 297

力  264

魔力 326

精神 353

速さ 292

器用 276

運  162

吸収 5


職業

戦士 LV7(302.50/700)

火魔法使い LV7(603.39/700)

水魔法使い LV7(382.93/700)

土魔法使い LV7(477.71/700)

風魔法使い LV7(474.70/700)

僧侶 LV10(525.36/1000)

盗賊 LV6(278.44/600)

武道家 LV6(288.30/600)

吟遊詩人 LV8(483.92/800)

植物魔法使い LV7(586.95/700)

付与魔術士 LV7(290.03/700)

剣士 LV6(267.88/600)

盾使い LV6(508.14/600)

狩人 LV6(489/600)

薬師 LV8(147.12/800)

魔物使い LV2(127.48/200)

槍使い LV3(35.44/300)

遊び人 LV2(42.98/200)

斧使い LV2(111.35/200)

弓使い LV1(3.67/100)


スキル

経験値吸収 (460.30/500)

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