第10話 6歳10月 ユウキ 装備一新

「ふふふ、ユウキ君。

もうお父様と難しいお話は済んであるの。

後はここにサインして魔力を込めてくれれば終わりよ。

後で装備を一緒に見に行きましょうね。」


父さんと一緒に従者の契約に行った先にいたのは

リーシャの付き人のレベッカさんだった。

毎日、顔は合わすけど話すのは初めてだ。


優しくて、落ち着いた綺麗なお姉さん。

そんな印象を受けた。


「では、レベッカさん。

息子をよろしくお願いします。」

「はい。後はユウキ君と直接、お話し致しますので。」


父さんは契約が無事に完了したせいか上機嫌だ。


「ユウキ、お前がAクラスから降格すると500万Gの違約金が発生するんだ。

絶対、Aクラスから落ちるなよ。」


そう捨て台詞だけ残して、父さんは帰っていく。

本当に金のことしか頭にないな…。


「ねぇ、ユウキ君。

早速、装備品を見に行きましょう。

ユウキ君の装備がボロボロで、いつも見てられなかったの。」

「ありがとうございます。レベッカさん。

あの…今後は何とお呼びすればよろしいですか?」

「ふふふ、好きに呼んでくれたらいいのよ。

言葉遣いもそんなにかしこまらなくていいわ。」

「はい。ありがとうございます。レベッカさん。」



「ユウキ君。どんな装備が欲しいの?

あら、これなんてどうかしら?」

「300万G!?」


俺は値札を見て驚いた。

俺が中古で買った鉄の斧は8千G。

桁が3つも違う…。


「ねぇ、ユウキ君。

もっと強くなれば、これくらいのお金はすぐに稼げるようになるわ。

お金は強くなってから、少しずつ返してくれればいいの。」

「レベッカさん…。でも、さすがにご迷惑に…。」

「ふふふ、ユウキ君には期待してるの。大丈夫よ。」

「あの…ありがとうございます。」

「武器は剣だけでいいのかしら?

前に見かけた時は弓や短剣も持ってたけど。」

「実は…。」


武器だけで5種類。

盾や防具も含めると、いくら掛かったのか…聞くのが恐ろしくなる。


「あの…全部でいくら掛かったんですか…?」

「ふふふ、子供はお金のことなんて気にしなくていいの。

それに値引きもしてもらったから、ユウキ君が思ってる程、掛かってないわ。」

「あの…レベッカさん、今日は本当にありがとうございました。

この御恩とお金はいつか必ずお返しします。」

「ふふふ、楽しみにしているわ。

今は強くなる事だけ考えればいいの。」

「レベッカさん…。」


何て良い人に巡り合えたんだ。

この人の為にも、必ず強くなってみせる。

俺はそんな気持ちでいっぱいになった。


「ねぇ、ユウキ君。

私には感謝しなくてもいいから、その分、お嬢様に良くしてあげてくれないかしら?

お嬢様はユウキ君にとっても懐いているもの。」

「はい!僕もリーシャのことは好きですし、これまで以上に大切にします。」

「ふふふ、ユウキ君は良い子ね。」


「あと、この腕輪は外れないようになってるから、ずっと付けておいて。

危ない時に魔力を流してくれれば、居場所を特定して助けにいけるから。」

「何から何まで本当にありがとうございます。」

「ふふふ、早速ダンジョンで新しい装備を試していらっしゃい。楽しみでしょう。」

「はい!いってきます。

また明日、いつもの公園でご報告しますね。」



クックックックックックッ

クモの巣に獲物が掛かった。

そんな上手い話がある訳ないじゃない。


ユウキったら、あんなに喜んじゃって。

目なんて、キラキラしてたし。


あの父親がまた酷い。

息子の借金は利息が付くのに何の説明もせずに。

月1%なら大丈夫とでも思ってるのかしら?


もちろん、まだ何も言わない。

あの子が本気になれば、これくらいの金額なら数年で返してしまう。

ふふふ、もう少し身動きが取れなくなるまで、糸で絡めてしまわないと。



へぇぇ、もう31階層にいるんだ。

あはは。

やっぱりあの子を確保して正解ね。


ユウキが付けた腕輪は居場所の特定ができる逃走防止用のアイテムだ。

離れていてもどこにいるか、だいたい分かる。

呪いが掛けられているせいで、外したくても外せないのだが…。


分かってるだけでも職業が12職。

まだ何か隠れてる。

まぁ、追々、聞いていけばいいか。

首輪も付けたし、もう逃げられないんだから。


明日から稽古もして、ユウキの強さを確認しとかないと。

あと状態異常対策と転移石も必須ね。




「すっげぇぇぇぇ!」


そんなレベッカの思惑も知らず、ユウキは新しい武器に興奮していた。

今まで、苦戦していた魔物がスパスパ切れるのだ。

もう楽しくて仕方がない。


こうして、装備品という大きな悩みの1つは解消され、ダンジョン攻略は再び進んでいく。



そして、毎朝、あの公園でレベッカさんが稽古を付けてくれるようになった。

上級職『アサシン』レベッカさんの指導は得られる物が大きい。

1週間後にはレベッカさんのことを「先生、先生」と慕うようになっていた。


「先生。おはようございます。

これ、昨日ダンジョンで見つけたので、いつもお世話になってる先生にと思って。」

「うわぁ…お兄ちゃん、キレイ。」

「ふふふ、ありがとう。ユウキ君。

次からはお嬢様にお渡しして欲しいわ。」

「はい、先生。分かりました。

次からは気を付けます。」


あはは。ユウキったら可愛い所があるわね。

なんか私が騙してるみたいじゃない。


後々、本性を現すレベッカに苦しめられることになるが、今のユウキはまだ何も知らない。。。


ステータス

ユウキ 6歳


HP 359/359

MP 340/340

体力 289

力  255

魔力 322

精神 349

速さ 281

器用 265

運  154

吸収 5


職業

戦士 LV7(179.88/700)

火魔法使い LV7(373.57/700)

水魔法使い LV7(202.35/700)

土魔法使い LV7(288.93/700)

風魔法使い LV7(253.08/700)

僧侶 LV10(151.76/1000)

盗賊 LV6(206.44/600)

武道家 LV6(223.30/600)

吟遊詩人 LV8(330.02/800)

植物魔法使い LV7(484.35/800)

付与魔術士 LV7(248.99/700)

剣士 LV6(298.88/600)

盾使い LV6(427.14/600)

狩人 LV6(420.00/600)

薬師 LV8(106.08/800)

魔物使い LV2(73.48/200)

槍使い LV2(175.44/200)

遊び人 LV1(70.98/100)

斧使い LV2(21.36/100)

弓使い LV0(21.55/50)


スキル

経験値吸収 LV5(398.56/500)


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