第14話 6歳1月 初めてのリーダー

次の日。


おぉ、セリナがいる。

絶対来ないと思ってた。


ちゃんと3人とも来ている。


「ちゃんと来たんだからね。

責任持ってボスを倒してもらうわよ?」


何この女?

自分1人じゃ、何もできないくせに。


「はいはい。

セリナの方こそ、ちゃんとついてこいよ。

ハヤテ、2人のMPはなるべく残しておきたい。

しばらく魔物は俺と2人でいけるか?」

「あぁ、分かった。

言うとおりにするよ。」

「ジロウとセリナは自分が危ない時以外は魔法を温存してくれ。」

「分かった。」

「なによ、偉そうに。」


セリナの態度にイライラするものの、4人いた方が試験の合格率が高いのは事実だ。

時間があれば、9階層の注意点も伝えておきたい。



4階層でセリナが文句を言い出した。


「ねぇ、休憩ぐらい取ってよ?」

「いつも5階層まで休憩取らずに行ってるだろ?」

「試験の時は仕方なしよ。

女の子に配慮もできないの?」


本当にこの女は…

この試験が終わったら、2度と話すこともないな。


「ごめん、女だと思ってなかった。」

「なっ…!なんなのコイツ!」


ギャーギャー騒いでるが無視だ。

9階層の注意点や実戦も含めると、時間が足りないくらいなのに、付き合ってられない。


5階層に入り、1度休憩を取る。

セリナが荷物をもって欲しいだの、もう歩けないだの言っている。

いつも歩いてるじゃないか。


本当にこの女は…。

誰か口を塞いでくれないだろうか?



7階層の入り口でキラービーの大群と遭遇する。

50匹程度か。

俺一人なら楽勝だが、この3人を守りながら戦う自信はない。


「ユウキ、あんたがここまで連れてきたんだから、あんたが倒してきなさいよ。」


チッ、この女は。

元々、そのつもりだが、いちいちイライラさせられる。

協力しようなんて気はこれっぽっちもないらしい。


「ハヤテ、ジロウ。

ちょっと行ってくるから、このクソ女が勝手な事をしないように見張っといてくれ。

もし、キラービーが来たら、魔法を使ってもいいから、身の安全を優先して。」

「なっ…誰がクソ女よ!」


俺はキラービーの大群をさっさと殲滅する。

先生に買ってもらった武器なら瞬殺だ。

こんな雑魚に構ってる暇は無い。


入口に戻ると3人が黙りこんでいた。


「どうした?」

「いや、ユウキがキラービーと戦う所を見て、自信を無くした。」

「あぁ…念のため、クラスの連中には黙っといてくれない?

あいつらのこと、好きじゃないんだ。

騒がれるのも鬱陶しいし。」

「分かった。約束する。」

「前からおかしいと思ってたけど、やっと納得できたよ。

『遊び人』だって馬鹿にして悪かったよ。」


ジロウが謝罪してくる。

素直に謝れるヤツは嫌いじゃない。


「あぁ、いいよ。終わったことだし。」


「あら、私はユウキのこと、信じていたわ。

私達の頼れるリーダーだもの。」

「………は?」


なにこの女は?

手のひらを返すにも程があるだろ。


「「………。」」


ジロウとハヤテも空いた口が塞がらないらしい。



8階層で9階層への階段の近くにいる大猪のポイントを探していく。

試験本番では10階層から転移する分、時間的に余裕はある。

しかし、本番で躓く訳にはいかない。

念には念を入れて、大猪がいる場所をチェックしていく。


9階層。

このエリアのお化けキノコだけは連携して対処したい。

攻撃した時に毒の胞子を出すからだ。

離れた所から魔法で倒さないと毒を受けてしまう。


特に10階層への階段前に囲まれるポイントがある。

ここをセリナとジロウに連携して倒してもらいたいのだ。


「ジロウが【火魔法(小)】で出した炎を、セリナの【風魔法】で撒き散らして欲しいんだ。

2人ともいける?」

「分かった。やってみる。」

「私が作戦の要な訳ね。

ユウキの為に頑張るわ。」


いやいやいや、頑張るのは自分の為だろうが。

相手をしきれないので俺は黙っていた。


「あはは、ユウキったら、感動しちゃって、言葉も出ないみたい。」


くっ…そんな訳ねーだろ!

突っ込もうと思ってやめた。

相手をしても疲れるだけだ。


お化けキノコのポイントに辿り着いた。

「ジロウ、セリナ、2人とも頼む。」


上手い!完璧だった。

ジロウが出した炎をセリナがお化けキノコに燃え移らしていく。

セリナの【風魔法】の使い方は抜群と言わざるを得ない。


「ねぇ、ユウキ見てくれた?

私の【風魔法】、芸術的だったでしょ。

ねぇ、褒めて。褒めて。褒めて。」


せっかく褒めようと思ったのに、褒める気が失せる。


「はいはい。

もう1回繰り返すよ?」

「もうユウキったら、素直じゃないんだから。

何度やっても楽勝よ。」


お化けキノコの群れを相手に

もう一度2人で連携させて炎と風で対応する。

やはりセリナは魔力の扱いが上手い。


教えて欲しいけど、この女に教えを乞うのは死んでもゴメンだ。


「ナイス!セリナ!」

「セリナは魔法の使い方が上手いね。」

「ふふ、これくらい当たり前よ。」


イチロウとハヤテがセリナを褒めている。

セリナがいい気になってるが、まぁ、いいだろう。

やる気を出してくれた方がこっちも助かる。

昼間はクソ女だと思ったけど、少しは役に立つと訂正しよう。


もう21時か。

朝6時から探索している。

3人の親も心配しているだろう。


「そろそろ中ボス倒して帰るよ?」

「もう一回やっても良かったのに。

ユウキったら、せっかちなんだから。」


そう言って、セリナが腕を組んできた。

いや、離せよ…。やっぱりクソ女だ。

俺は腕を振り払う。


「もうユウキ、照れなくてもいいじゃない。」

「誰も照れとらんわ!クソ女の癖に。」

「2人はこれから仲良くなっていくんだから、ね?」

「ダメに決まっとるだろうが!」


さっさと俺1人で中ボスを倒しても良かったが、せっかくここまで来たんだ。


3人にも中ボスを経験させてやるか。

試験のことを考えると連携も取れた方がいい。



10階層中ボス戦。

作戦を組み立て指示を出す。


ここの中ボスはゴブリンソルジャー4匹とホブゴブリンだ。

さっきのお化けキノコ同様、俺とハヤテが敵を引き付け、合図を出したら、2人が後ろから炎と風で敵を倒す。


「もう1回いくよ。」

「分かった。」

「リーダー。合図ちょうだい。」


誰がリーダーだ。

2人に合図を出し、魔法攻撃を指示する。

まだゴブリンソルジャーが倒れない。

くそっ、もう一発必要か。



ダメだ、ハヤテが押されている。

まだホブゴブリンはハヤテでは防ぎきれないか。


「ハヤテ、ホブゴブリンは俺がもらう。

ゴブリンソルジャーのトドメを頼む。」

「すまん、任せた。」


まずい。後ろの2人にホブゴブリンが何匹かいきそうだ。


「ジロウ、セリナ、何匹かそっちに行くかも。

2人で対処を頼む。」

「は~い。」


気の抜けた返事をしやがって…。

さっさとホブゴブリンを倒して、3人の援護に行きたい。

俺が誘ったパーティーだ。

誰か1人でも大怪我するような事態は避けたい。


ホブゴブリンを急いで倒しに掛かる。


殴り掛かってきた腕を剣で切り落とす。

このまま首を落とせれば早いのだが、今の身長では首に届かない。

次は怒り狂って蹴ってきた足を落とす。

後はバランスを崩して倒れた所を首を切って終わりだ。



3人の元へ向かうと

もうゴブリンソルジャーは倒し終わっていた。


「3人とも大丈夫か?」

「あぁ、問題無い。」

「怪我はしてないか?」

「あはは。リーダー、もう少し私達の事を信じてくれてもいいのに。」

「セリナが1番信用できないから。」

「もう!なんでそう言うこというかな。」

「普段の行いに決まっているだろ。」


3人ともやり切ったからか満足していた。

ソロとは違う達成感がある。


ふふ、たまにはこういうのもいいかもしれないな。



ステータス

ユウキ 6歳


HP 393/393

MP 370/370

体力 315

力  280

魔力 355

精神 380

速さ 316

器用 298

運  171

吸収 6


職業

戦士 LV7(398.63/700)

火魔法使い LV8(205.36/800)

水魔法使い LV8(135.88/800)

土魔法使い LV8(247.44/800)

風魔法使い LV8(325.41/800)

僧侶 LV11(224.36/1100)

盗賊 LV7(209.66/700)

武道家 LV6(408.30/600)

吟遊詩人 LV8(798.47/800)

植物魔法使い LV8(96.65/800)

付与魔術士 LV7(290.03/700)

剣士 LV6(367.88/600)

盾使い LV6(508.14/600)

狩人 LV7(517.31/700)

薬師 LV8(147.12/800)

魔物使い LV2(127.48/200)

槍使い LV3(35.44/200)

遊び人 LV2(42.98/200)

斧使い LV2(111.36/200)

弓使い LV2(53.65/100)


スキル

経験値吸収 LV6(85.94/600)

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