第6話 6歳 上級小学校入学

入学試験に落ちれば、領地から出られない。


人並みよりちょっと上を目指した結果、最上位Aクラスの下から3番目に引っ掛かってしまった。


この結果に母さんと父さんは喜んだ。

特に珍しく父さんは上機嫌だった。

「でかした!ユウキ。

何がなんでもAクラスを死守するように。」


まぁ、父さんにとって、3男はどれだけ優秀でも必要無い。

必要なのは目先の領地運営の資金。

父さんが喜ぶのはAクラスに入ってくれれば、少しでも高く売れるからではあるが…。


それでも、ユウキにとって、両親が喜んでくれるのは素直に嬉しい。

領地では見掛けない職業も多く、ユウキのテンションは上がっていた。



この学校は各クラス20名。

半年に1回上位5名と下位5名がそれぞれ上下のクラスと入れ替わるシステムだ。


このAクラスに入れるかどうかで、将来、スカウトからの注目が全く変わるらしい。

人生が変わると言っても過言ではないだけに

親も子供もこのAクラスに上がる為に、そして、しがみつく為に必死になる。



上級小学校入学式。


「この学校は育成が盛んだって有名だし

色々な職業の話を聞きたいなぁ。」


領地では家族以外と話すことはほとんど無かったこともあり、ユウキは新生活に期待していた。


しかし、その期待は大きく裏切られることになる…。



自己紹介の時間。


「公爵家長女のアリスです。

中級職『聖騎士』LV13と『僧侶』LV9です。

皆さん、よろしくお願いしますね。」


入学試験トップ、新入生の挨拶をしていた子だ。


基本は下級職を経由してLV25で中級職に至るのが一般的だが、まれに最初から中級職以上で始まる天才がいる。

アリスもその類いか。


「『魔法使い』LV12の…」

「『格闘家』LV15の…」

「『僧侶』LV10

『戦士』LV7の…」


恐れていた事態に直面する。


次々と自己紹介が進んでいくが、全員、ユウキよりもLVが上なのだ。

それもかなり…。


平均LVだけで言えば、ユウキは落ちこぼれだ…

もちろん、ステータスはぶっちきりだが。。。


クソッ…何てクラスに来てしまったんだ。

ここで人並みまで全職業のLVを上げようとしたら、もう睡眠は諦めるしかないぞ。。。



遂に自分の自己紹介の番だ。

「『魔法使い』LV6『戦士』LV6のユウキです。

よろしくお願いします。」

「ぶっ、LV6って…恥ずかしくないの?」

「何でこのAクラスにあの程度の子がいるの?」

「半年後にはお別れだな。」


俺の自己紹介が始まった瞬間に、俺を見る目が冷たくなった。


もちろん15職もあることは隠している。

発覚すれば、いらない騒ぎが起こることが目に見えているからだ。



くそっ!

あれだけ追い込んだのに…

まだ俺の求める人並みは遠いのか…。


たたでさえ、みんなよりも遅れているのに、学校に時間を取られるせいでレベル上げのペースは落ちる。


休みに近くの初級ダンジョンに入り、さっさと中ボスを倒すか。

11階層に転移できるようにしないと。

いや、20階層の中ボスを倒して、21階層でレベル上げしないと追い付けないか。



こうして、クラスでの彼のポジションは決まった。

初日の時点でボッチが確定したのである。


日が経つにつれ、さらに酷くなる。

全く相手にされないのだ。


最初の頃は話し掛けても返事はあった。


しかし…。


「お父様からレベルの低い子とは話をしないように言われてて…。」

「おまえ、『戦士』の癖にこんなスキルも使えないの?

みんな、あっち行こうぜ。」

「えっ、【火魔法(微)】って…。魔物を倒せるの?」


子供ならではの冷たい言葉が浴びせられる。

子供達の関心はLVであり、新しく使えるようになったスキル。

LVの低いユウキには何の魅力も感じない。


ステータスがどれだけ高くても、各職業のレベルが低いせいで、スキルの取得は皆よりも大幅に遅れていた。



2人1組のペア作りでも、俺とは誰も関わりたがらない。

仲が良いと思われると、ずっと俺と組まされるかもしれないからだ。


段々、ユウキもクラスメイトに何も期待しなくなっていく。

最近では無視されることも増えた。



しかし、上級小学校に入って悪いことばかりではない。

そう、新しい職業と出会えるのだ。

【経験値吸収】により、ようやく『魔物使い』『槍使い』の職業が手に入った。


よしっ!

これで17職目!


しかし、新しい職業を覚えれば覚えるほど、平均LVは当然上がりにくくなる。


「だぁぁぁぁ、LV差がちっとも埋まらないじゃないか!」


こうして、クラスメイトとの埋まることの無いレベル差に、ユウキは喘ぎ続ける。

完全に自業自得でしかないが…。


ステータス

ユウキ 6歳


HP 316/316

MP 292/292

体力 255

力  222

魔力 278

精神 306

速さ 248

器用 234

運  133

吸収 5


職業

戦士 LV7(23.88/600)

火魔法使い LV6(441.31/600)

水魔法使い LV6(387.81/600)

土魔法使い LV6(435.93/600)

風魔法使い LV6(359.28/600)

僧侶 LV8(602.16/700)

盗賊 LV6(62.44/600)

武道家 LV6(102.30/600)

吟遊詩人 LV7(200.22/600)

植物魔法使い LV6(578.25/600)

付与魔術士 LV6(581.79/600)

剣士 LV6(178.88/600)

盾使い LV6(205.14/600)

狩人 LV6(162.00/600)

薬師 LV7(616.72/700)

魔物使い LV1(2.48/100)

槍使い LV1(5.44/100)


スキル

経験値吸収 LV5(272.17/500)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る