第5話 5~6歳 どうやら俺は落ちこぼれらしい。

フフフフフ。

下級職15職、その全てで平均LV5達成の日は近い。

3~4ヶ月後には達成できるだろう。

カバーできていない下級職はまだあるが、町で見付けられなかった職業だから仕方がない。


やっぱり生産職に手を出しちゃう?


ユウキにしては珍しく上機嫌だった。

この2年の自分の頑張りに満足していた。



しかし、その発言は兄アレクから飛び出した。

「上級小学校の入学時の平均LVは8ぐらいだったはずだよ。

貴族でLV高い人だと15とかいるって。」


な、なんだと…!?

これでは俺が落ちこぼれみたいではないか!


兄の何気ない一言がユウキの心に火を付けた。


もちろん、他の子供は1~2つの職業の数での話である。


しかし、元勇者の人並みはそんな次元の話ではない。

自分がなれる職業全てを人並みにする。

それが危うく、落ちこぼれになり掛けたのである。


クックックックックッ

何が元勇者だ。

慢心して落ちこぼれになる所だったじゃないか。

こんなだから、仲間に殺されるんだろうが!


ユウキは自分を許せなかった。


この日から彼はとち狂ったようにレベル上げに邁進する。

5歳にしてダンジョン攻略を行い始めたのだ。

しかもソロで。


この領地の魔物は弱い。

町の外の魔物では限界がある。


さらに日によって倒せる数にもムラが生じる。

しかし、ダンジョンなら安定して魔物を倒せる。

生じた遅れを取り戻すには、ダンジョンしか手段が無かった。


目指すは10階層の中ボス。

そいつを倒せば、次からは11階層に転移できるようになるからだ。


泊まり込みでの攻略になる。

もちろん、家族にバレれば引き止められる。


「ちょっと出掛けてきます。ユウキ」


心配掛けないよう書き置きも残した。

これで心置きなくダンジョン攻略に挑める。



次の日、ダンジョン10階層のボス部屋の前に彼はいた。


流石に中ボス相手ではソロは厳しい。

初見の相手なら、ここで倒れるかもしれない。

それでも俺はやるしかない。



緊張しながら、ボス部屋に入る。

入ってしまえば、一部のアイテムが無いと、ボスを倒すまで部屋を出られない。


ボス部屋の奥から中ボスが現れる。

ゴブリンナイトとゴブリンソルジャー3体。

1人対4匹、ユウキのステータスではソロは厳しい相手と言わざるを得ない。

もはや、ここまでか…。



しかし。


「はぁぁぁぁぁ。」


なんだコイツらか…。

緊張して損した…。


ユウキは落胆していた。。。


ステータス的には少し厳しくても、昔、散々相手にしてきた魔物。

攻撃パターンが分かりきっていれば、負ける気がしないのだ。



15分後。


「ちょっと手こずったか。」

ゴブリンナイトを叩きのめしたユウキは宝箱を回収し、転移陣でダンジョンの入口に戻っていた。


「そこそこの剣も出たし、まぁ、よしとするか。」



家に帰ると母さんが泣いて抱きついてきた。

よほど心配してくれたようだ。


「ユウキ!どれだけ心配したと思ってるの!?」

「母さん、心配掛けてごめんね。

ちょっと1人でダンジョンまで行ってただけだから。」

「ちょっと1人でダンジョンって。

まだ、あなたは5歳でしょ!」

「母さん、そんな強い相手とは戦ってないから大丈夫だよ。」

「ユウキ。お願い。母さん、もう耐えられない。

ねぇ、毎日、あなたの顔を見せて。」

「うん、母さん。

もう中ボスを倒してきたから、明日からはちゃんと転移部屋で帰ってくるよ。」

「えっ…?」


ユウキはただの優秀な子供じゃない。

何かが壊れている…

初めて、母はこのことに気が付いた。


そして、父は…

そもそも、ソロで中ボスを倒したことを信じてすらいなかった。

現実的にどうこうできる話ではないからである。


大方、どっかのパーティーがボスを倒した後に、雑魚が紛れ込んでたんだろ。



この時、父が彼の話を信じていれば、彼の人生は違った物になっていただろう。

来年から彼は従者として売りに出されることになる。



そして、ユウキはダンジョンにこもるようになり、レベルの上昇速度がさらに勢いを増す。


また、【経験値吸収】スキルはレベルが5になり、今まで1人しか吸収できなかったものが、2人から吸収可能となった。

これにより、さらに成長が加速するように思えた。


しかし、ダンジョンにずっとこもっていた為、吸収したくても、距離制限のせいで吸収できない。

いつからか、スキルを使うこともなくなっていた。



こうして、上級小学校の入学試験を受ける頃には15職業全レベル6以上。

各ステータスは中級中位の冒険者まで成長していた。

もちろん、各職業のレベルは低い為、スキルは弱い物しか無かったが…。


ステータス

ユウキ 6歳


HP 299/299

MP 276/276

体力 240

力  208

魔力 264

精神 291

速さ 233

器用 221

運  123

吸収 5


職業

戦士 LV6 (323.88/600)

火魔法使い LV6(358.51/600)

水魔法使い LV6(305.01/600)

土魔法使い LV6(353.01/600)

風魔法使い LV6(276.48/600)

僧侶 LV7(198.16/700)

盗賊 LV6(2.44/600)

武道家 LV6(42.30/600)

吟遊詩人 LV6(551.82/600)

植物魔法使い LV6(412.65/600)

付与魔術士 LV6(449.31/600)

剣士 LV6(118.88/600)

盾使い LV6(85.14/600)

狩人 LV6(42.00/600)

薬師 LV7(484.24/700)


スキル

経験値吸収 LV5(164.25/500)



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