元勇者は転生し、人並みに過ごしたい

第4話 ４～５歳 領地の現状を知る

４歳になり、町の外に出るようになって、領地の状況を本当の意味で理解した。

これは酷いな。

正直、口を開けば金のことばかり言う父は好きではないが、父の気持ちも理解できる。

人がいないから、魔物が繁殖したい放題になっている。

町の周辺はまだマシだが、少し町から離れると、人と出会うことが極端に減る。

しかも、町の周辺で戦う冒険者も少し強くなれば、すぐに領地の外に出ていく。

これでは領地が発展する訳がない。

父さんも金が無いとぼやくだけでなく、自分で動けばいいのに。

俺が出ていく前に

母さんと領地を継ぐ兄さんの為に少しでも何かしてあげたい。

と言っても、しばらくは町のすぐ外にいるスライムと角うさぎを倒して、近接戦闘職のレベルを上げるしかないのだが。

基本的に魔物を倒せば、魔石と死体から素材を剥ぎ取れる。

後々、【付与魔術】で使用する魔石は協力できないが、魔物の素材を譲るぐらいは協力したい。

自分が倒した魔物の魔石だけ抜き取り、後は兄さん達に素材の剥ぎ取りを依頼する。

最初の２ヶ月は角うさぎとスライムをメインに倒していたが、『戦士』『盗賊』『武道家』『剣士』『狩人』等の近接戦闘職のレベルが上がるにつれ

大猪やゴブリン、大蜘蛛等の魔物に切り替えていく。

特に兄さん達が喜んだのが大猪。

肉の量も多く、売ればちょっとした金になる。

６ヶ月が過ぎる頃には町の近くの森から、魔物の姿が大幅に減りつつあった。

ユウキが狩り尽くしたからである。

この森で薬草畑を作るべく、【植物魔法】で薬草や毒消し草の育成を進めていく。

この後、『薬師』のLV上げで使いたいからだ。

LV上げは順調だった。

強くなればなるほど、経験値の取得量は多くなる。

『僧侶』１職業だけだった頃と今の１５職業を比べれば、１日の経験値取得量が明確に変わってきた。

各ステータスも魔法職に重要なMPも文字通り桁違いになっている。

この頃にはステータスが初級冒険者の上位と言える水準まできていた。

１つのステータスだけではない。全てのステータスにおいて、だ。

ただ、人のいないこの領地では、彼の異常さを目にする者はいなかったが。

「あはははは。

これは入学するまでに全レベル５は楽に達成できそうだ。」

しかし、ここで恐れていた事態が発生した。

遂にこの町で得られる初級戦闘職は全て覚えてしまったのだ。

生産職に手を出してもいいが、金が掛かるから、育成しきれない。

そもそも、『薬師』『付与魔術師』も戦闘職というより生産職寄りだ。

薬草や魔石がないと経験値を得られない。

ぐぬぬぬぬぬ。

勿体無い。勿体無い。勿体無い。

もっと色々な職業を育てたいのに。

一刻も早く上級小学校に行きたい。

その想いが日に日に強くなっていく。

家の財布事情も若干ではあるが改善されつつあった。

毎日毎日、素材の売却益が入ってくる。

最近では学費の足しにして欲しいと『薬師』の経験値稼ぎで作った薬も持っていく。

ユウキは１人では使い切れない量の薬草を育てていた。

町の『薬師』に解放しようとした所で、父さんから待ったが掛かった。

使用料を取れと言い出したのである。

確かに領地にお金は無いから、その気持ちは分かる。

「しかし、父さんは何もしていないではないか？」

そう思いながらも、学費の為に父の言うことに従った。

今後、自分が稼いだお金は母さんに直接預けるようにしよう。

信用できない父さんより母さんに渡した方が安心できる。

当然、金が入らなくなった父は面白くない。

これが父との軋轢の原因となる。

どちらにしても、父はユウキをさっさと金に代えてしまいたいだけなのだが。。。

ステータス

ユウキ　５才

HP　２０１/２０１

MP　２０５/２０５

体力　１５６

力　　１３７

魔力　１９５

精神　２０１

速さ　１５６

器用　１４５

運　　８３

吸収　４

職業

戦士　LV４(233.88/400)

火魔法使い　LV５(99.81/500)

水魔法使い　LV５(46.31/500)

土魔法使い　LV５(94.43/500)

風魔法使い　LV５(17.78/500)

僧侶　LV５(249.36/500)

盗賊　LV４(182.44/400)

武道家　LV４(182.30/400)

吟遊詩人　LV３(149.62/300)

植物魔法使い　LV５(46.55/500)

付与魔術士　LV４(196.19/400)

剣士　LV４(88.88/400)

盾使い　LV３(205.14/300)

狩人　LV３(162.00/300)

薬師　LV４(282.42/400)

スキル

経験値吸収　LV4(58.21/400)