第2話『雨色の心』
院長のいる部屋に俺は着いた。
正直、予想はもうついている、俺はノックをして中に入った。
「鮎澤院長、失礼します。」
「おぉ、育君か。最近はどうかな?ん?」
「まあ、ボチボチと。鮎澤院長、話があるのですが大丈夫ですか?」
「ほお、何かな?」
数分後。
「君は何を考えている!!!!」
ですよねー!そんなことだろうと思いましたよ。病院中に大きな声が鳴り響く。
まぁ、無理もない、病人を外に連れ出すのだ。それがどんなにリスキーなのか、育は十分に理解していた。
「それで、その子は明るさが分かるのか?」
「いえ、詳しくは聞いてませんが...なんせあの子の担当になったのはまだ1週間しかたってませんから」
「他に情報は貰ってなかったのか」
「はい....申し訳ありません。」
院長は渋々とカルテに筆で何かを書いていた。
「これを彼女のところで持っていってから、なんて答えたかを後でもう一度来たまえ。」
とカルテを渡された。カルテの書いた物を見たが、成る程。
「了解しました。」
「よし、いってこい」
「失礼しました。」
育が院長室から出た後、鮎澤院長はコーヒーを
飲んでリラックスしてカルテに目を向けた。
「ふむ、君はどう見せていくのかね?紅」
カーテンの向こう側から赤い髪が靡く一人の人物の影。紅と呼ばれた者は口を開く。
「彼は私の斜め上を見せますよ。反応も面白いですから」
鮎澤院長はカルテを置いてコーヒーを一口流し込んでから目を向ける。
「お前の眼だからか?」
紅はクスッと笑いながら本を開く。
「可愛い子には旅をさせたいのですよ。私からしたらそれに、少女....いや、芽好(めい)も育も私の可愛い患者ですから。」
鮎澤院長は窓に目を向ける。
「雨は好きか?紅?」
「雨は好きだよ。君は嫌いかい?鮎澤」
「私は嫌いさ、雨は心を騒がす」
「そうかい、俺は好きだぜ。
きっと、あの子も好きになるよ。」
to be continue....
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます