第六章

第五十話―消失と喪失



 開けた窓から秋の涼風と共に金木犀の香りが通ってくる。

 甘い香りを辿るように真澄は机上に向けていた顔を上げた。


 ここ数日、眠れぬ日々が続いているせいか、目の下は今にもクマが出来そうな程にやつれ、頬に疲れが滲んでいる。


 かつて、怪夷討伐の為に陸軍の士官として前線に出ていた頃は、緊張感と興奮で眠れない事もあったが、今よりは幾分かましだった。

 十年近く前の事で若かったせいもあるが、あの頃は今よりずっと軍人という自分に誇りや自身を持っていた。


 それが、最終決戦を経て変化したのは否めない。心の成長や経験から慎重さを獲得したと言えば聞こえはいいが、あの欧羅巴戦線の最後の戦いの中での日々は、真澄にとって大きな変化をもたらした。


 あの時から自分は指揮官として、部下を持つという事の重大さや責任の重さを自分なりに培ってきたつもりだった。


 その筈だったのだが…。


(はあ…俺もまだまだ青いな…)


 部下達から上がってきた報告書に目を通しながら、真澄は数日前の出来事を思い返していた。


『どうして人形なんて自分を偽るんだ?お前は、人形なんかじゃないだろうっ』


 己の口から出た言葉が、脳裏を駆け巡る。

 言葉は昔から、言霊として他者や自分へ大きな影響を齎す事がある。術式を日常的に使う生活をしていた手前、その意味は嫌という程教え込まれていた筈だった。


(酔いが回って感情が昂っていたとは言え…なんであんなこと言っちまったかな…)


 今思えば無神経な事をした。

 まだ出逢って間もない頃にも似たような事を本人に言った気がしたが、今回はそれよりも強い言葉を掛けた気がする。


 普段、あまり表情の変わらない相手の顔が、絶望と困惑に彩られた瞬間は、何度も真澄の胸を締め付けた。

 南天自身も以前は自身が人形だという主張がもっと強かった。それが、あの時はその主張が完全に崩れていたように感じた。彼がずっと頑なに護ってきたモノが壊されたような、そんな印象を受けた。


(アイツのあんな顔を見る事になるとはな…)


 白い肌がすっと青ざめていく様。普段の南天からは想像も出来なかった表情に真澄は自分のしでかした事がかなり重い事だと後になって自覚した。

 南天が悩みを抱えていた事に気づいていたのに、その内容が例の聖剣を宿した鞘人としての契約の事だと分かっていて、真澄はずっとそれに気づかないふりをしていた。


 自分が聖剣を持つなど、心の何処かで否定していたから。

 だが、それを抜きにして南天の事は信頼していた。自分をマスターと呼んで慕ってくる年下の部下に、いつしか愛着が湧いていたのも事実だった。

 寝食を共にするうちに、気が付けば傍にいるのが当たり前になっていた。


(南天……)


 ふと、執務室の中を見渡すが、明け方の空間には自分以外誰もいない。

 数カ月前までは当たり前だった景色だが、ここ暫くは近くに銀髪の少年の姿があった。

 それが、今は何処を見渡しても姿が見えない。

 それが、妙に心細い事に真澄は気付いてしまった。


 盛大な溜息を吐いて後頭部を掻き毟った真澄は、何かを決意するように立ち上がった。


 十月に入り秋の深まった朝は、ひんやりとした空気が肌を撫でる。ようやく白み始めた東の空を窓越しに見上げ、真澄は入口にかけていた外套に袖を通した。


 そのまま一人執務室を出て、真澄は人知れず特夷隊の詰め所を出て行く。

 蒸気が立ち込める空の下にいるかも知れない自身の相棒の行方を。

 自身が心無い言葉で傷付けた彼を真澄はまだ見つけられずにいた。

 あの日。南天が出て行った翌日から、真澄は誰にも告げずに彼を探していた。




 時間は少し戻り。南天が特夷隊の詰め所を飛び出して行った後。

 夜更け過ぎになり、東京の街に強風と豪雨をもたらしていた雨雲は東へと流れていった。


「はあ?南天がいなくなった!?」


 神楽坂での潜入捜査を終えて大統領府へ戻ってきた隼人と朝月、鬼灯は自分達がいない間に起こった出来事の顛末を聞いて驚愕した。

 隼人と朝月は素っ頓狂な声を上げ、その後ろで鬼灯は額を押さえて深い溜息を零している。


「ごめん、真澄さんと南天君のこと警戒していたのに…こんな結果になって…」


「いや、それ拓が謝る事でもないだろ…けど、これってあんまりよくないんじゃないのか?」


 悄然と落ち込んでいる拓と清白を見つめてから隼人はちらりと後ろにいる鬼灯を振り返る。

 隼人の疑問が自分へ向けられた問いかけだと気付いて鬼灯は悩まし気に肩を竦めた。


「いいも悪いも、南天は大切なわたくし達の仲間ですから、いなくなっては困ります…」


 隼人の問いに答えながら鬼灯は内心後悔していた。


(南天の様子にもう少し注視すべきでした。九頭竜隊長と契約を結べないことを一番悩んでいたのは他でもないあの子でしたし…清白が傍にいるからと油断してしまったな…)


 落胆して俯いている清白を鬼灯はそっと横目に見やる。その悲しげな表情には流石に胸を痛めた。


「今、巡回から戻った桜哉ちゃん達が探しに行っているんだけど…手がかりもないし、夜で視界も悪くて何処を捜したらいいか…」


「仕方ない、朝月、俺達も探しにいくぞ」


「ええっまだ帰ってきたばかりなのに?そのうち帰ってくるんじゃないですか?」


 ソファに座り寛ごうとしていた朝月は、突然の振りに不満を零した。


「あのな…話聞いただろ?隊長と喧嘩して飛び出して行ったんだ。そんな直ぐに帰ってくるかよ。ほら、行くぞ」


 ソファへと大股で歩み寄り、隼人はむんずと朝月の首根っこを掴むと、引きずるようにソファから下ろして歩き出した。


「痛い、痛いって、隼人さん!じ、自分で歩きますっ行きますから勘弁してっ」


 ドン、ドンと床に尻餅をつき、更に隼人に引きずられた事で首が締まりかけた途端、朝月は観念して同行を承諾した。


「貴方は行かないんですね」


 執務室を出て行く隼人と朝月を見送った拓は、その場に残った鬼灯に視線を戻すと、不思議そうに問いかけた。


「ええ、大人数で行って見つかる訳でもありませんし。恐らく、今夜は見つからないと思います。南天はあれでも暗殺部隊の出身ですから。身を隠すのは得意ですよ」


 拓の質問に答えながら、鬼灯はちらりと清白に目配せをする。

 それに気づいた清白ははっと顔を上げて僅かに視線を彷徨わせた後、ゆっくりと立ち上がった。


「わたくしにも色々と考えがあります。清白、鈴蘭が戻る前に準備をしたいので手伝ってください」


「…分かった」


 鬼灯に促され清白は重い足を引きずるようにして鬼灯の横へと歩み寄った。


「月代さん、九頭竜隊長はどちらに?」


 唐突な質問に拓は一瞬驚いてから、肩を竦めて天井を指差した。


「仮眠室に。さっき覗いて来ましたが、かなり落ち込んでいますよ」


「そうですか。分かりました。ありがとうございます」


 ニコリと微笑み鬼灯は清白を促して執務室を後にする。

 その場に一人残された拓は、額を押さえ、深い溜息を吐き出した。



 南天が出て行った後、真澄は南天を追いかける事が出来なかった。

 自分が追いかけた所で、事態を解決させる言葉を持ち合わせていなかったからだ。


 そこに、丁度巡回を終えて帰ってきた桜哉や大翔達が拓から事の顛末を聞き、帰ってきたばかりだというのに、南天の捜索に出てくれた。


 真澄は、それを見送る事すらできず、雨に濡れた身体を拭くこともせずに、逃げるようにこの仮眠室へ引き籠もった。


 一番奥の簡易ベッド。よく南天が使っていたベッドに寝転がり、真澄は茫然と天井を見上げた。

 耳に残るのは、心無い自分の言葉。瞼裏に浮かぶのは、不安げで絶望した南天の表情。

 感情に乏しい美貌が青ざめていく様は、これまでのどんな反応より印象的だった。

 唇を噛み締め、真澄は悪夢のように脳裏に浮かぶ先刻のやり取りを振り払いたくて顔を手で覆った。



 仮眠室の扉をノックした後に鬼灯が開くと、部屋の中はしんと静まり返っていた。


 夜明けが近い暗い部屋の中、奥のパイプベッドに仰向けに横たわる真澄を見つけ、鬼灯と清白は静かに近づいた。


 真澄に近づいた途端、清白は彼の中から漏れてくる怒りや憤り、苦しさや悔しさといった負の感情に身を固め、思わず鬼灯の背後に隠れた。

 鬼灯の纏う着物の袖を引き、清白は無言でそれ以上進むことを阻んでくる。

 それが、彼なりの警告だと理解した上で、鬼灯はゆっくりと爪先を真澄の横たわるベッドの前で止めた。


 真澄が今最も会いたくないのは他でもない自分達だと、分かった上で鬼灯は二階に上がってきた。

 これまでは南天と真澄の事に関しては手を出さないつもりでいた。

 しかし、こうなってしまっては話さない訳にはいかなかった。


「九頭竜隊長」


 片手を載せて顔の上半分を隠している真澄に、鬼灯は臆することなく声をかけた。

 声は聞こえている筈である。だが、返事はない。


「九頭竜隊長、少しよろしいですか?」


 もう一度声を掛ける。だが、返事はない。

 いつもの司令官としての彼なら、部下である自分の話に内心はどうであれ耳を傾けてくれた。それがないのは、恐らく鬼灯の予想通り彼が今、鬼灯や清白、南天に近しい相手に会いたくないからだ。


「南天の事でお話があります。貴方にお伝えしないとならない事があります」


 背筋を伸ばし、要件を告げる。

 南天という名前に反応したのか、真澄は勢いよく身体を起こした。


「南天が見つかったのか⁉」


 緊迫した顔で真澄は鬼灯を凝視した。


「いえ、まだです」

「…そうか…」


 浮かせた腰をストンとベッドサイドに下ろし、真澄は長身の体躯を折って項垂れた。

 軍人としての貫禄と清廉さを備えた男の背中が、この時ばかりは酷く小さく見えた。

 力なく項垂れる上官の背中を見つめたまま、鬼灯は淡々と言葉を紡いだ。


「南天の事ですが、貴方にお伝えしなくてはならない情報があります」


「なんだ…?」


 俯いたまま、それでも常のように聞く姿勢を見せている事を確信してから、鬼灯はずっと胸に秘めていた情報を開示した。


「以前、何故南天が自分を人形と称するのかと質問をされていましたね。その答えです。あれは、一種の防衛本能です」


「防衛本能…?」


 鬼灯の口から出た思わぬ単語に真澄は、僅かに顔を上げて瞠目した。


「南天は、我々と出逢う前、五年より以前の記憶がありません。彼は五年前に戦場で陸軍に拾われ、殺戮兵器として扱われていた元孤児です」


 鬼灯の口から聞かされた内容に、真澄は愕然とした。

 真澄のそんな様子に気づきながらも鬼灯は更に話を続けた。


「何故五年より前の記憶がないのかはいまだに分かりませんが…不当な扱いを受けていたのは事実でしょう。南天が自分を人形だと思っているのは、それが自身の心を護る為の行動だからです。本人がそれを理解しているかは不明ですが」


「そうだったのか…」


「だから、わたくし達は南天が自分を人形と称してもそれを受け入れていました。失われた記憶が戻る、またはそれに至った原因が判明するまで南天の発言に疑問を持つ事をしませんでした。あの子を護る為に」


 自分より付き合いが長いであろう鬼灯の話を真澄は、自身の中で咀嚼するようにして、ゆっくりと飲み込んだ。

 南天の人形発言は、ずっと疑問だった。最初はそれが遊びなのかと思っていた。もしくは、そういう役割なのかと。そう思っていた。


(それが…実は自分でも自覚していなかった…?)


 陸軍の暗殺部隊。日ノ本共和国の陸軍にも確かに暗殺などを生業とする暗部の部隊は存在するが、隊員を人形や兵器と称しているとは聞いた事がなかった。

 鬼灯達が何所の軍からの派遣かはいまだに謎が残っているが、いずれ開示される情報故に、真澄は今の所そこまで重要視していなかった。


 ただ、何故南天だけが自分を人形と称していたのかは、ずっと気になっていて。

 自分を偽る必要などないのにと、真澄なりの引っ掛かりだった。

 それが、蓋を開けてみれば本人ですら自分を人形と称している理由に自覚がなかった。いや、理由というより、そこに至る経緯が南天の中で欠如していた。

 それは、自分のアイデンティティを否定されたに等しかった。


「俺は…なんてことを…」


 そこまで考えて、真澄はハッと己のしでかした事の重大さに気づき、頬を強張らせた。

 自分自身を否定される辛さや喪失を真澄は嫌という程知っていた筈なのに。

 英雄の息子と期待されながら、それに応えられなかった自分と己という存在を護る為に人形と自らを称し、それを否定された南天は同じだった。


「お話は以上です。もう一度、よくお考えください。貴方なら、分かっている筈でしょうから」


 敬礼をして鬼灯は、背後で二人のやり取りに震えている清白を促し、仮眠室を後にした。


「はは…なんだよそれ…どうして…」


 もっと早く言ってほしかった。

 自分に対しての怒りか、鬼灯への憤りか、南天への後悔か、不甲斐無さか。様々な感情がないまぜになるのを吐き出すように、真澄はベッドに置かれた枕を掴むと、力いっぱい床に叩きつけた。



 南天が行方知れずとなって三日が過ぎた。

 特夷隊の日々は南天がいなくとも変わらず続いている。

 巡回の時や時間を見つけて隼人や拓、特夷隊の面々は街に出る度に南天を探していた。


 真澄が早朝や空き時間を使い、寝る間も惜しんで捜しているのも知っていたが、敢えてそれには触れなかった。

 否、触れられなかったというのが正解だった。


「…真澄さん、大丈夫かな…」


「なんか、疲れた顔してる…」


 執務机で報告書の作成をしていた大翔と桜哉は、執務机で報告書に目を通している真澄を盗み見て、顔を付き合わせた。


「休息取れてないみたいだし、このままだと倒れちゃいそう」


「こうなったら、無理矢理にでも休息を」


「やめとけ、こういう時はそっとしておいた方がいいんだよ」


 若者二人の上司を気遣う会話が聞こえた隼人は、実力行使を執行し兼ねない桜哉をやんわりと止めた。


「隼人さん、でも…」


 隼人に肩を叩かれ大翔は、不安げに背後の隼人振り返った。

 大翔は何を言わんとしているのか理解して、隼人は大翔と桜哉の肩を軽く、ポンポンと叩いた。


「あれでも、過酷な戦場を渡り歩いてきた人だ。自分の身体の限界くらい分かってるだろうさ。むしろ、今は普通にしている方が隊長の為になる」


「あんなに今にも倒れそうなのに?お母様なら絶対布団にねじ伏せます」


「桜哉、頼むからそれだけはやるなよ?お前なら出来そうだけど…」


 真澄の妹であり、菫の娘である桜哉の発言に隼人はピクリと方眉を動かした。桜哉への忠告は真澄のプライドを護ってのことだった。


(今そんな事を実の姪にされたら暫く真澄兄さん立ち直れなさそう…)


 内心真澄への同情を向けながら、隼人は若き部下達に真澄の事は放っておくようにと念を押した。


「隼人、市村君来たよ」


 桜哉と大翔への忠告をしていると、玄関から戻ってきた拓に声を掛けられた。


「ああ、今行く」


 拓の呼び掛けに応じて隼人は、桜哉と大翔に笑いかけてその場を去っていく。

 真澄の事は心配だが、隼人にもやるべき事があった。

 執務室に入って来たのは、警視庁から訊ねて来た市村だ。

 先日の神楽坂の料亭で入手した陸軍の情報から、彼等は横浜にある倉庫街に何かしらの陸軍の施設があると踏んだ。

 それを調査する為の打ち合わせの為に市村は特夷隊の詰め所を訪れたのである。


「さてと、陸軍の実験場が横浜にあるのは分かったが、どうする?」


「倉庫街の見取り図は純浦が入手してくれるらしいので、それが手に入り次第、偵察という形で潜り込んではどうですか?」


 隼人の呼びかけに朝月は自身の手帳を広げて進言した。


「そうですよ赤羽先輩。ここはしっかり証拠を押さえないと」


「隼人、横浜なら僕も潜入は可能だと思う」


「わたくしもその方がよろしいかと思います。陸軍の話では、近いうちに市ヶ谷に施設を移す計画があるのも話していましたし、市ヶ谷に潜り込まれては却って捜査は困難でしょう。証拠を押さえるなら今が好機では?」


 拓の提案に鬼灯も賛成した。市ヶ谷は陸軍の言わば庭である。本丸である場所へ移られては掴めるものも掴めなくなるというのは、その場の全員の考えが一致していた。


 陸軍の諜報機関員の協力があっても、尻尾を掴むのは困難になる。

 それを踏まえた上で、隼人はしばし腕を組んで考え込んでから、小さく頷いた。


「よし。横浜への潜入作戦を敢行する。純浦さんから倉庫街の見取り図が届き次第、作戦を報せるから、それぞれ準備をしておいてくれ」


「了解しました」


「拓、清白に頼んで通信機とか用意してもらえないか?出来れば全員分」


「分かった。伝えておく」


「わたくしからもお願いしておきましょう」


「ああ、頼んだ」


 拓と鬼灯に準備を任せた隼人は、朝月に手招きをして自身の方へ呼び寄せた。


「なんすか?」


「朝月、当日までに俺がいう備品を揃えてくれ」


 朝月を傍に寄らせて隼人は、小声で要件を伝えた。それを深く頷きながら聞き、朝月は隼人の話が終わると強く頷いた。

 隼人と朝月が小声で会話をしているのを横目にしながら、鬼灯は内心焦りを覚えていた。


(陸軍の怪夷化歩兵実験がわたくしが知るより思いのほか早く進んでいる…このままいけば、想定より早く強化歩兵が完成してしまう…)


 組んだ二の腕をぎゅっと掴み、鬼灯は目を細めて執務机で書類に目を通す真澄を見遣る。

 南天が失踪した事も、陸軍の実験が進んでいる事も、真澄と南天の契約が完了していない事も、鬼灯にとっては全て誤算だった。

 上手く行けば、既に最後の仲間を呼んでいる手はずだった。


(慎重にいかねばならないとは言え…悠長に構えていられる時間も、そう残されていないのかもしれませんね…)


 今救いなのは、陸軍の実験に深く関わっているある組織の姿が見えない事。

 これに関しては鬼灯もその存在を知っているだけで、実際にはどんな組織だったのか実態は分からない。

 唯一分かっているのは、彼等がこの日ノ本に渡ってくる時期が、来年であるということだけ。


(急がないと…でないと、未来がその通りになってしまう…)


 胸中で憂いを零しながら鬼灯は次の一手に出るべく、行動を開始する事にした。





**********************


暁月:次回の『凍京怪夷事変』は…


三日月:横浜の倉庫群への潜入作戦の準備が進む中、隼人は作戦の報告をする為、柏木の下を訪れて…


暁月:第五十一話「赤銅色の慰め」次回もよろしくね!

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