凍京小話⑥『大統領府と大統領について』


刹那:よう、元気にしてたか?章が終る事に公開されるこの裏話コラムも六回目。今回はオレ、刹那が担当するぜ。あ?一周回って三日月じゃないのかって?それは…まあ、色々と理由があんだよ。今は気にすることじゃねえし。ほら、さっさと始めるぞ。


今回のテーマは、『大統領府と大統領』について。


凍京怪夷事変開始時から、疑問に思ってた奴も多いんじゃねえか?なんで帝がいるのに政治の中心が大統領なのか。


それは、一つにこの物語自体が史実とは異なる道を歩んだ世界だから。


真澄達が生まれる前。舞台の60年前に大災厄と呼ばれる世界同時多発的な災厄で怪夷によって世界が混沌と混乱に陥った後、日ノ本を当時支配していた幕府は崩壊した。

その後は、帝を中心とした政府が日ノ本の運営をしていたが、怪夷の討伐を真澄のお袋達が成し遂げた事や色々要因が重なって、解放された日ノ本は新政府を立てる事になった。


小話の③で紹介した通り政治、軍事、司法、祭事の四権分立によって、かつて政治の中心にいた帝には、本来の最高司祭としての役目を担ってもらうってなった。そこで、政治を指揮する者が必要になったんだ。


新政府として立つため、日ノ本の政治家達は世界の中心になりつつあった米国から知恵を借りて、国民が選ぶ大統領を中心とした中央政権を樹立させた。


かつての君主を内包しながら、共和国として日ノ本は新たに国として成り立ったんだ。


政治は衆議院と参議院に別れた二院制。よく大正浪漫で出て来る華族院はないのが特徴だ。


議会の流れは今の国会とあまり変わらないが、国のトップを決めるのは他でもない国民だ。これは、作者である夜桜の理想が組み込まれているな。


大統領府がある場所は、渋谷や原宿と呼ばれる後の繁華街の中間。幕府の時代に彦根藩主の下屋敷があった場所だ。

勘のいい奴なら、現実でこの場所は何処かピンと来たんじゃないか?

ここは、現代の日本では明治神宮がある場所だ。


どうしてこの場所を夜桜が選んだかというと、一つは現実の東京との差別化と、現在の国会がある場所の傍に何があるかを考えたから。


そう、旧江戸城と呼ばれるその場所は、確かに周りに陸軍省などの軍部や祭事部の重要な拠点が鎮座している。けど、それは旧江戸城の中にあるモノを監視する為の配置。


政治は安全に行いたいという事から、政治や司法に関わる場所は別の場所に設定した。

こんな所が大統領府という政治の中心が原宿付近にある理由だ。


次は、大統領についてだな。

現大統領は柏木静郎。真澄の上司にして幼馴染。第五代日ノ本共和国大統領だ。


大統領の任期は八年。中間である四年目に民意を問う選挙が行われる。これは、現代のアメリカの大統領制と変わらない。


ちなみに、柏木が大統領になったのは、関東大震災の起きた年の春。あの震災の時はまだなりたてだったようだ。


まあ、そこで色々迅速な対応したから五年目の今も余裕で大統領やってるんだけどな。

真澄の前だとあんな無理難題ひっかけてくる奴だけど、民衆からは人気高いんだぜ?そうでなきゃ、私設部隊なんてのを抱えてられないからな。


まあ、こんな所か。ネタバレになるような事は話してないよな。


なんで柏木が大統領になったとか、本編でちらっと触れてきているんだが、具体的な話はこれからかな。


東京の街も現実とは少し配置が違うのも、今後注目してみたらいいんじゃね?


オレの座学は、今回はここまで。付き合ってくれてありがとな。

なんだが大変な感じになってきた本編だが、見守ってやってくれたら助かる。

そんじゃ、またな。

ここまでお読みくださいまして、誠にありがとうございました。


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