凍京小話⑤『喫茶アンダルシア』



朔月:やあ、こんにちは。聖剣兄弟の長男、朔月さくつきだ。まさか長男の私が小話のトリになるとはね。とりだけに、とか言ったら刹那辺りにツッコまれそうだ(笑)

さて、今回の小話のテーマは『喫茶アンダルシア』

言わずと知れた真澄君の営む喫茶店だね。

今回は日本における喫茶店の歴史を交えつつ、裏話をしていこうか。


そもそも、軍人である真澄君がどうして喫茶店の経営をしているかというと、本人が言っていた通り、現在の特夷隊の隊長を引き受けた時に、柏木大統領への条件として出したのが、この喫茶店だったんだよ。


この真澄君が喫茶店を経営しているというネタは、この凍京がタイトルすらなかった頃から決まっていた話で、作者である夜桜も深く考えていなかったようだ。

真澄君のキャラ自体、原案を考えてたのは夜桜の相方だからね。


よくよく考えたら特殊部隊の隊長が趣味とはいえ喫茶店は無理があると思うが…そこは、フィクションという名のご愛敬って所かな。


第四章の終わりで従業員が増えたけど、晴美さん一人で切り盛りはなかなか大変だと言われても不思議ではないからね。

一応、真澄君の考えとしては、老後に喫茶店をやりたいというささやかな願いを叶える為の一歩だったみたいだし。

果たして、叶うのやら…

普段は、コーヒーと軽食、焼き菓子なんかを提供しているよ。


大正から昭和にかけては、銀座なんかに喫茶店やカフェなんかが沢山出来たりして、庶民に浸透していった。銀ブラの語源は、カフェパウリスタでコーヒーを飲むことって説もあるくらいだから、喫茶店の文化は真澄君達の時代に花開いたという感じだね。


そうそう、どうして真澄君の喫茶店が御徒町にあるかというと、実は上野には最初にコーヒーを提供した『可否茶館かひちゃかん』というお店があった事へのオマージュでもあるんだ。

まあ、夜桜の馴染みの土地っていうのがあるのも否めないけどね。


作中でもコーヒーを飲むシーンが度々登場するけど、コーヒー自体は明治から大正にかけて浸透したようだよ。


そうそう、雑学だけど、カフェと喫茶店の違いは、「飲食を提供しつつ女給のサービスを主体にした店」いまでいうキャバクラやバーみたいなのがカフェ、「コーヒーや軽食を主体とした店」が喫茶店と、住み分けがされたのもこの頃だね。


ちなみに、最近法律が改正されて撤廃されたけど、カフェはお酒や調理をした食事を提供すす飲食店、喫茶店はコーヒーに特化した飲食店という法律上の営業形態にも明確な違いがあったんだ。

よく聞く純喫茶も元は純粋にコーヒーを楽しむための意味合いが強かった時代もある。

カフェや喫茶店の文化は明治から大正、戦前にかけて育まれ、今に至っているんだね。


真澄君の店である「喫茶アンダルシア」も一応は純喫茶にはいるよ。

店名の由来は、もう何回か作中でも公言されているけど、真澄君が生まれたスペインのアンダルシアから取られている。

勿論、これはフィクションだから、本当にそんな店名の喫茶店があった訳ではないんだけど、幾つか参考にしたお店はあるみたいだね。

上野や御徒町、湯島の辺りは今もレトロで素敵な喫茶店が軒を連ねているから、もし近くを通ったら思いを馳せて貰えたら嬉しいな。



さて、今回の小話はこのくらいかな。

この喫茶アンダルシアに関しては、今後も凍京のキースポットとして登場するよ。

海静君や七海ちゃんが新たに働きだしたし、この先の展開でも大きく関わってくるから、頭の隅で覚えておいてくれたら助かるかな。

時々夜桜が呟いている不純喫茶って単語も何かあるかもね。


きちんと説明出来たか分からないけど、こういう場所で話すのは楽しかったよ。

また機会がありそうだから、その時に。

次回かいよいよ第五章の開幕だ。

これからも『凍京怪夷事変』をどうぞよろしく。

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