第十六話ー花街に落ちる影

 カコン、カコン。

 高下駄を優雅に鳴らし、背に灰色の髪を流して一人の男が道を歩いていく。


 辺りは既に夕闇が迫り、道の両脇には提灯の明かりが点り始めていた。

 橙に耀く光は、何処か幽玄で、一夜の夢を誘う。


 無理もない。彼が歩いているのは、江戸の頃より花街として名高い上野と浅草の間。

 吉原と聞けば誰もが頷く界隈を、鬼灯は1人闊歩する。


 本人の出で立ちも江戸紫の着流しに、艶を帯びた化粧を施した面立ちのせいで、一瞬遊女に見えなくもないが、浮世離れした彼に近づく者は誰一人いない。

 まるで、彼だけがこの世とは違う次元に身を置いているかのように。


 ふらふらと置き屋や廓が立ち並ぶ道を歩いていると、不意に一件の置き屋が目に留まった。


 掲げられた看板を感慨深げに眺めていると、玄関から一人の女が現れた。

 黒字に牡丹の花のあしらわれた着物に身を包み、トンボ玉の簪を差した二十歳に満たない少女を、鬼灯は遠くから静かに見守った。


 淡い灰色の髪に青い瞳。おしろいを付け紅を差したその容姿は夜の街に生きる女にしては化粧は押さえめで、少し幼さを残している。

 その手に風呂敷に包まれた三味線が抱えられている所をから、彼女が生業としているのが遊女ではない事は明らかだ。


 後から出て来た初老の男について歩き出すその背中をしばし見つめてから、鬼灯は静かにその場を後にした。

 そろそろ合流しなければ、末っ子が不満を零す。

 共にある任務を抱えてやって来た仲間の事を思い出しながら、鬼灯は吉原を後にした。

 この数時間後、鬼灯は朝月が暮らすアパートの前で行き倒れる事になった。






 真澄から一先ず待機と言われた朝月は、鬼灯を伴って夜の東京を歩いていた。


 60年前。世界規模に起こった大災厄とそれに伴う怪夷の発生の原因を作った地であるこの東京は、遅れていた近代化の波を乗り越え、5年前の大震災すらも乗り越えて復興を遂げようとしている。


 今尚震災の爪痕は残っているが、銀座や浅草の復活は目まぐるしい。

 鳴治頃から洋装を取り入れる風潮はあったが、首都である帝都やその防衛都市たる逢坂とは異なり、東京は西洋の文化を色濃く受け入れた。

 古式ゆかしき西に対抗するようなモダンで先進的な東の軍都。


 朝月はこの都市で生まれた。

 二人の兄は父親の遠征地で生を受けたので、海外での生活が長いが、朝月はずっとこの東京で育ってきた。


 ガス灯の明かりが淡く光る石畳の道を、歩きながら朝月はふと隣を歩く相方を見た。


「鬼灯、さっきの霊薬って結局なんなんだ?」

「おや、知りたいですか?」


 唐突な問いかけにも関わらず、鬼灯は意味深な微笑を滲ませて首を傾げた。


「今後使い続けるとしても成分とか副作用の有無とかは知っておきたい。これでも医者の息子だから医学の意識は俺にも少しはあるしな」


「そうですか…まあ、大したものではないですが…知ったら多分ドン引きしますよ」


「なんだ?別に蜥蜴の黒焼きでも、何か動物の内臓でも俺は別に気にしないぞ」


 少しばかり言うのを躊躇っている鬼灯に朝月は眉を顰めた。


(まさか…トリカブトとか彼岸花の根とか実はやばい毒物が原料じゃないよな…)


 いつも意味深で真意が掴みにくい鬼灯だが、眉を垂らして困った顔をしている彼に朝月は自分が飲んだものの正体を想像して、少々慄いた。


「…あれはですね…」


 視線を逸らしながら重たげな唇を鬼灯が開いた時だった。



「キャアアーッ誰かあ」


 甲高い悲鳴と共に、制服の内ポケットに仕舞っていた八卦盤が警告音を発した。


「怪夷っ」

「主様、あちらの方から」


 鬼灯が示したのは、高い壁の向こう側。

 そこは、江戸の頃から栄える花街。吉原だ。


「よりにもよって、こんな袋小路で」

「急ぎましょう。さっきの悲鳴が気になります」


 頷き朝月は近くに生えている木に登り、軽々と塀を飛び越える。

 それに続いて鬼灯も塀を超えた。


「なんだ、意外と動けるんじゃないか。非戦闘員っていうからてっきり」

「そんなこと今はどうでもいいでしょう。早く行きますよ」


 朝月の驚きを無視して鬼灯は悲鳴がした方に向かって走り出す。

 先刻の初の巡回の時とは異なる、妙にやる気の出ている鬼灯に訝しみつつ、朝月はその後を追った。

 廓の並ぶ路地裏に駆け込んだ瞬間、鬼灯と朝月が遭遇したのは闇夜よりも暗い影を地面に落としている2メートルはあろうかという猿のような怪夷だった。

 その影に飲み込まれる位置、地面には一人の少女が座り込んでいた。


「主様、援護をお願いします」

「は?」


 唐突な鬼灯の一言に虚を突かれた朝月だったが、言うなり怪夷の前に躍り出た鬼灯に圧倒され、直ぐに鉄扇を広げた。

 怪夷と少女の間に割り込んだ鬼灯の手には、柳の如くしなる鞭が握られていた。

 鬼灯に言われた通り、朝月はいつもの調子で路地一体に結界を貼る。


「鬼灯、いいぞ」


 朝月からの合図に頷き、鬼灯は手にした鞭をしならせ、猿の怪夷へ向かって振り上げる。

 白銀に耀くそれは、何処か鋭い刃のようで怪夷の身体に当たった瞬間、その皮膚を切り裂いた。


 ギイイイイイイイ


 攻撃をされた事に怒りと憎悪を募らせる悲鳴が、夜の闇に木霊する。


「大丈夫ですか?」


 肩越しに鬼灯は地面で腰を抜かしている少女に声を掛ける。

 それに少女は震えながらも力強く頷いた。


「危ない!」


 視線を外していた鬼灯目掛け、報復とでもいうように猿の怪夷は鋭い爪を振り上げた。


「させるか!」


 横から割り込む形で鉄扇を振り上げ、朝月は鬼灯に迫った爪を、腕を撃つ事で阻止した。

 鞭と鉄扇による打撃に猿の怪夷は悲鳴を上げ、道に落ちていた男を咥えてその場から駆け出した。


「チっ逃げられた」

「深追いは無謀ですよ主様。今の私達だけでは分が悪い」


 追いかけて行こうとする朝月の腕を掴んで制止し、鬼灯は首を横に振る。


「そうだな…」

「さっき、獲物を咥えて行きましたから、恐らく今夜はもう活動はしないでしょう。それより」


 怪夷が去って行った方角を見つめてから、鬼灯は再び地面に座り込んでいる少女に視線を向けた。


 トンボ玉の簪で飾られた色素の薄い灰色の髪。黒地に赤い牡丹のあしらわれた着物。少し気の強そうな青い瞳が、朝月と鬼灯を見つめてくる。

 その恰好や彼等がいる場所から、彼女がこの吉原の住人なのはなのは間違いないが、少し乱れた裾を眺めて、朝月と鬼灯は彼女が遊女ではない事を察した。

 まだ十代半ばか、後半と思われる幼さの残る少女の前に、朝月はゆっくりと膝をついた。


「怪我はないか?」 

「へえ、私はなんとも…だけど…」

「さっき化物に連れて行かれたのは、あんたの客か?」


 言いにくそうにしているに朝月は質問を投げかける。それに彼女は小さく首を縦に振った。


「いいえ。私は遊女ではなく芸者です。さっきあの化物に連れ去られたのは同じ置屋の幇間ほうかんさんです…私を庇って」


 地面に視線を落とし、顔を曇らせる少女に朝月は手を差し出した。


「詳しく話を聞かせて欲しいんだけど、いいかな?君の置屋は?送るから」


 差し出された手を女は少し躊躇いながらも取る。朝月に支えられて少女は静かに立ち上がった。

 長い打掛の裾を左褄で持ち、凛と立つその姿に朝月は一瞬目を奪われた。


「助けて頂きありがとうございました。私は明里あけさとと申します。旦那様は?」

「あ、俺は東雲朝月。大統領直属の私設部隊の軍人だ」


 色白な少女の容姿に見惚れていた朝月は、名前を聞かれて背筋を正す。

 特夷隊の存在は極秘とされているので、一般人に名乗る時は軍人と告げる。制服や階級章があるので、それだけでそれなりに信用されるからだ。


「軍人さんがこんな時間に吉原にいらっしゃるとは、何処かの女郎屋へ?」


「いや、たまたま吉原の近くを通りかかったたら、君の悲鳴が聞こえたから塀を飛び越えてきただけだ。それにしても、さっきの化物は…」


 怪夷の存在は一般市民には基本知られていない。旧江戸城の封印が解かれたのすら公になっていない。旧時代の異形として既に忘れ去られた存在であるそれが、再び跋扈するようになったとなれば、東京はパニックになるだろう。


 そうさせない為、朝月達特夷隊が一般市民と討伐現場で遭遇した場合は、細心の注意を払う必要があった。

 口裏を合わせるのも基本の話術だ。


「分かりません…突然暗闇から現れて…幇間さんをあの爪で引き裂いた後、私が襲われそうになった所に東雲様達が駆け付けて下さったので」


 明里と名乗った少女の話を聞きながら朝月と鬼灯は夜道を進む。


「…悪い、俺達がもう少し早く駆け付けられていたら」


「いえ…助けて頂けただけ運が良かったんです…本当にありがとうございました…」


 胸元を押さえ、恐怖に唇を震わせる明里に朝月は少しだけ見入っていたが、彼女の視線に気付いて慌てて顔を逸らした。


 暫く歩くと、明里が身を置いている置屋に着いた。

 彼女を送り届けると、玄関先に置屋を預かる女将が出て来た。

 女将に事情を説明して朝月達は、帰り際に明里に名刺を手渡した。


「この件は必ず俺達が解決する。もし何か思い出したら知らせて欲しい」


 今だ不安げな明里に微笑みかけ、朝月は女将に会釈をして鬼灯と共にその場を立ち去った。




「お前、一言も喋らないのな」


 吉原を出た朝月は開口一番そう呟いた。


「あんなにべらべら喋ってたのに、いきなりだんまりになるからどうしたのかと思ったぞ」


「そうですか?わたくしは、主様が可愛い芸者に色目を使っていたので見守っていただけですよ」


「い、色目なんて使ってねえよっ」


 思わぬ指摘に朝月は頬を染め、鬼灯に抗議する。


「おやおや、鼻の下が伸びていたので、てっきり気があると思いましたけど…」


「た、確かに可愛いとは思ったけど、俺は色恋沙汰には今は興味がない。怪夷討伐の使命が果たされるまで、現を抜かすなんて出来るかよ。旦那や隼人さんだってまだ独身なのに」


(最後のは余計なお世話のような気がしますが…)


 内心さりげなく突っ込みながら鬼灯は「そうですか」と素直に頷いた。


「流石はわたくしが惚れこんだ主様です。見直しました」

「だろ、俺は国の為に生きる男だぜ」


 胸を張る自信に満ちた朝月の姿に、鬼灯は思わず苦笑した。


「それにしても、まさか一晩に二件も怪夷と遭遇するとはな…」


 八卦盤を見遣り、朝月は肩を竦めた。

 これまで怪夷との遭遇は週に一度か二度あればいい方だった。小さな怪夷も全盛期程沸いて出る訳ではなく、大体が大型のものばかり。

 その大型の怪夷も出現頻度や強さが上がってきている。


「これは、旦那に進言して巡回とか体制の見直しをした方がいいのかもな」


「わたくしもそれには賛成です。憶測ですが、この先怪夷との戦いは討伐戦線並みになる可能性はありますよ」


「そうだよな…よし、さっきの案件も含めて早いとこ報告に行くか」


 自宅方面に向けていた足を朝月と鬼灯は詰め所のある原宿に向けなおした。





「お疲れ様です。旦那今さっき吉原で」

「吉原がなんだって?朝月君」


 詰め所に戻るなり朝月は執務室の扉の前で仁王立ちする隼人と出くわした。


「うわーなんで隼人さんが!?今日は日勤ですよね」


「緊急招集でさっき怪夷討伐をして来たところだ。で?吉原がなんだって?招集無視して女と懇ろとは、偉くなったもんだな?」


 凄みのある隼人に睨まれ朝月は状況が掴めずに困惑した。


「え?緊急招集?」

「お前、隊長からの連絡に出なかったそうだな?今まで何してたんだ?」


 隼人に指摘され隼人は上着のポケットに入れていた通信機を取り出す。

 確かに通信受信を示すランプが点滅している。


「えっと…これは」


「副隊長さん、ちょっと待って下さい。わたくし達も先程まで怪夷と対峙していたんです。証言もきちんととれます」


 隼人の追及に困惑している朝月に助け舟を出した鬼灯はここに戻ってくる前の状況を手短に説明した。


「それで、報告の為に戻ってきたのか」


「吉原からここまで距離もあるでしょう。わたくし達は別に遊んでいた訳ではありません」


 鬼灯の説明に隼人は怪訝に眉を顰めながらも、渋々納得した。


「同じ夜に怪夷の出現が三件…別々の場所とはいえ、こんな夜は初めてだ」


「その原因を探るのも今後必要かと。なので、主様を責めないで頂けませんか?」


 渋い顔をする隼人に鬼灯は進言する。それに隼人は溜息を吐きつつ頷いた。


「その猿型の怪夷も気にかかる。一先ず今夜は警戒をしてこのまま待機だ。隊長が負傷している今、指揮は俺が取る」


「旦那の容態は?」


 話題を変えるように朝月は先刻の怪夷戦で負傷したという真澄の容態を訊ねた。


「どういう経緯か、黒結病の疑いがある。今は三好先生に診てもらっている」

「黒結病…まさか、怪夷の体液が体内に?」

「いつ入ったかまではまだ話を聞いていない。俺も負傷してさっき医務室から戻ったばかりだしな…」


 包帯の巻かれた腕を擦り、隼人は肩を竦めた。


「何事もないといいんだが…」


 表情を曇らせる隼人を前に朝月は事態が思ったより深刻なのを感じ取った。

 そんな彼の脳裏には、ある一人の人物の顔がぼんやりと浮かんでいた。




 南天が目を覚ますと、そこは医務室だった。


「マス…ター…」

「起きましたね」


 横から聞こえた声に南天は顔を向ける。そこには白衣を着て点滴を操作している三好の姿があった。


「大丈夫か?南天」

「あ…マスター」


 覗き込むように顔を近づけてきた真澄に南天は大きく目を見張る。


「大丈夫かって、貴方も大丈夫なんですか?他人の心配をする前に…」


 肩を竦め三好はため息をつく。


「今のとこは何も無いから平気だろ。さっきまで侵食されてたけど 」

「怪夷の成分が体内に入ってるんですからね、自覚してください」

「侵食…?」


 三好と真澄の会話に南天は首を傾げた。一体なんの話をしているのだろう。


「その怪夷に噛まれたんでしたっけ?」


 三好は南天の枕元で丸まっている黒い塊を示す。


「噛まれた?くろたまがマスターを噛んだんですか?」

「あぁ、たしかお前の目の前で」

「あ、…あの時の」


 起きたばかりで曖昧な記憶を南天は辿る。そういえば腕に噛みついていた。

 自身が意識を失う前の状況を思い出した南天は伺うように真澄の顔を覗き込んだ。


「マスター、怒ってますか?」

「別に怒ってないよ。ただ、記憶が曖昧なんだよな…あの怪夷を倒したって聞いてもさ」

「それも侵食の影響ですよ」


 それは、蜘蛛型の怪夷に追い回されて隼人を連れて逃げまわった後の事だ。

 怪夷の攻撃を受けたのは覚えているが、隼人や大翔、桜哉がいうように刃のように硬化した右腕一本で怪夷を倒した記憶が、真澄はどうしても思い出せずにいた。

 隼人を死なせまいと強く思った後だったから、頭に血が上っていたのだろうか。


 何故気を失ったのもよく分からないまま、気が付くと詰め所内のこの医務室で南天と並んで寝かされていた。

 先に治療の終わった隼人は先に執務室へ戻っていた。


「マスターが怪夷になるんですか?」

「最悪の場合」


 呆れた様子で頷く三好の回答に南天は頬を強張らせた。感情の起伏に乏しい南天が珍しく動揺しているのに真澄はどうしたものかと頭を掻いた。


「そんな…」

『くぅ?』

「くろたま…」

『きゅうきゅう』


 顔を曇らせている南天の隣に黒い塊がはふよふよとやってくる。

 くろたまと呼んだ丸いそれを抱き締めて南天は小さな目を見つめた。

 南天の頬をくろたまは長い舌を出してべろっと舐める。

 くろたまの頭を撫でながら南天は三好に問いかけた。


「侵食を止める方法はないんですか?」


「黒結病は既に克服された病ですが、浸食の度合いによっては完治出来ない事もあります。一先ず、専門医にでも診てもらった方がいいかと」


「病院か…あんまり好きじゃないんだよな…」


「経過観察が必要なのは間違いありません。それと、検査の結果が出るまで戦闘にはでない方がいいでしょう」


「おいおい、仮にも軍人である俺に仕事に行くなって…」


 三好の一言に真澄は難色を示す。


「少なくとも、現状がどんな度合いなのか分かってから判断しましょう。この事は大統領に直ぐに報告します。それまでは大人しくしていてください」


 医者らしくきっぱりと言い切った三好に真澄は少しだけ不満を募らせた。


「マスターが戦えないならボクが戦います」


「これでも軍人だ。戦わない訳にはいかないんだよ」


 南天の申し出は有難かったが真澄にも職業軍人としての意地があった。一隊の隊長として部下達を放ってはおけない。


「それならマスターは指揮だけして下さい」


「指揮だけって」


「たぶん、難しいと思いますよ。怪夷の気が近くにあるだけでも影響が出る可能性もありますからね。この怪異のように小型なら平気なようですけど、あなた方が相手にしているのは、もっと強力なものです。現場にいるだけでも影響が出るとは思います」


「そんな…」


「その時はその時だ。今のところ悪さはしてないようだしな」


 右手を見下ろしてから真澄は南天を見る。


「心配するな」

「マスター…」


 ぎゅっと、くろたまを抱き締めたまま南天は真澄と三好を交互に見やった。


「ふぅ、暫く仕事休みかぁ」


 ベッドに座り真澄はやれやれと肩を竦める。


「無職のおっさんかぁ」

「ボクがマスターの分まで頑張ります」

「君も少し、療養です。隊長さんはお店の方があるじゃないですか」


 南天を止めてから三好は真澄に提案を持ち掛ける。


「あれは趣味程度のだし」

「子供じゃないんだから、文句言わない」


 三好に言われ真澄は渋々黙り込む。


「一先ず、今夜はしっかり休みなさい。南天、君もですよ」


 三好の忠告に真澄と南天は顔を見合わせた。

 取り合えずこの先の事は明日柏木に報告してから考える事になり、その晩は医務室のベッドで休む事になった。









****************




朔月:さてさて、次回の『凍京怪夷事変』は


三日月:怪夷がもたらす病『黒結病』に罹ってしまった真澄は、ある専門医の元を訪れる。その人物はかつて怪夷討伐の英雄と呼ばれた人物で…


朔月:第十七話『暁の癒し人』よろしく頼むよ?

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