凍京小話①『時代背景と関東大震災』
三日月:どうもこんにちは。聖剣兄弟の末っ子三日月だよ。今回から、章が終わる毎に『東京小話』という裏話や雑学などを紹介するコーナーを設ける事になりました。
これは、不定期掲載になるよ。
掲載曜日は火曜日だって。
前作の逢坂の時に、別サイトの活動報告でやっていたものを、本編に食い込ませたのがこの『凍京小話』になります。
次回予告同様、聖剣あにまるが持ち回りで紹介していくので、宜しくね。
今回のテーマは『時代背景と関東大震災』。
歴史改変モノでもあるこのお話は、史実とはだいぶ異なった歴史を辿っているのは、お分かりになると思います。
1923年時点で大正は36年だしね。
この理由は後々本編で出てくるので、今はまだ内緒だけど、史実をモチーフにしている部分はとても多いんだ。
その中でも、一番は『怪夷討伐戦線』。
真澄達の台詞にもあるように、第一話、二話の五年前(※注)、西暦だと1918年にこの大きな戦いが起こった事が話されていたけど、これは、史実では第一次世界大戦の時期に合わせているんだ。
この戦いに真澄も陸軍として参加していたのは、本人や柏木大統領が話していたね。
この討伐戦線はこれからも本編で出てくるから、頭の片隅に置いておくと面白いかも。
つまり、この凍京怪夷事変の時代は、第一次大戦が終わり、世界が変換を迎えようとしていたかなりきわどい時代。
日本自体も丁度大正デモクラシーなどの政治的変換のあった時期でした。
そんな中、起こったのが関東大震災。
9月1日11時58分の昼時に起こったこの大災害は、横浜や東京などを含めた南関東に甚大な被害を齎した。
死者・行方不明者は推定10万5000人も出した明治以降最大の災害だったんだ。
この第一報が伝えられた時、最初は横浜で大きな地震がと伝えられたんだけど、実際は広範囲に及ぶ大災害だったんだ。
東京での被害などが伝えられたのは翌日以降。それだけ、大きな混乱があったのは想像に難くないね。
主な死因は圧死と焼死。浅草や深川などの地域では、火災による被害がひどくて墨田川沿いにあった軍の
東京の46パーセントを焼き尽くしたこの火災の鎮火には40時間かかったんだって。
火災旋風が何故起こったかというと、この時能登半島付近に台風が来ていたんだ。その強風が関東に吹いていたんだよ。
余談だけど、この地震での浅草の燃え方の範囲は、後の太平洋戦争時代の東京大空襲と全く同じなんだよ。
下町で家屋の密集地だったことは言うまでもないかも。
本編では場所が出なくて書けなかったけど、凌雲閣・通称浅草十二階もしっかり存在していたよ。
東京は火の海、横浜には津波が押し寄せ、列車事故なども起きたりしてんだって。
この地震で都市機能はマヒするんだけど、この混乱の中救護に動いたのが軍だったと言われているよ。
本来、市民の安全を守る筈の警察組織が機能不全に陥ったのが要因だとも言われています。
内閣も、被災者の為に陸軍のテントを借りていたというし、この震災による軍の活躍はかなり大きかったみたい。
作中でも大統領府が避難所になっていたけど、大統領府がある場所は史実では本来は明治神宮になっていた場所だよ。
本当は神宮外苑が避難所だったんだけど、日比谷公園を含め、被災後はこの辺りにバラック小屋が立っていたんだって。
真澄達の救護活動や炊き出しもあながち完全フィクションとは言い難いね。
この地震が起こった時、丁度内閣は総理大臣がいない時期で、臨時内閣が立ち上がったり、官民が力を合わせて被災者救護に臨んだという点は、現代にも通じるものを感じるね。
ちなみに、また違う小話でお話するけど、既にこの話の大正時代では普通選挙が始まっているよ。(史実だと二年後の1925年)
史実よりかなり民主的な日ノ本共和国だね。
この震災をきっかけに、皆が良く知る東京の街並が出来る事になります。
それまでは、区も割とごちゃごちゃしていたみたい。
作者が明治の古地図片手に唸っていたのは、内緒の話。昭和になると、今とほぼ同じ区画になるから、もう少し楽になるみたい。
政治不信や日露戦争、第一次世界大戦などの世界情勢、民主運動など、激動の時代であった大正。
大正浪漫なんて華やかな空気の裏には、色々な思惑が息巻いていたんだんね。
真澄達が生きる大正も、これからますますきな臭くなっていくからお楽しみに。
初回な上に沢山喋って疲れちゃった。
ボクが今回お話した内容は、あくまで一説であるので、この小話は雑学として楽しんでもらえたら嬉しいな。
それでは、ここまでお付き合いありがとうございました。
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※注 第二話本編にて、怪夷討伐戦線を十年前としておりましたが、実際は五年前でございます。本編修正しております。
不備がありました事、ここで訂正、お詫びいたします。
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