八話 下着
丁度いい昼下がり、俺はショッピングモールのその辺のベンチで待たされていた。
あのあと、俺たちは洋服屋をあとにすると、
「みーちゃん。その、少し時間に余裕もあるし、見てきたいところがあるんだけど、いいかな?」
「別にいいけど、どこに行くの?」
「えっと、みーちゃんは…………そこっ! そこのベンチに座って待っててくれたらいいからっ!」
「えっ? 私も一緒に行くよ?」
「えっと、その……私の下着を買いに行きたくて……。その、恥ずかしいから、そこで待っててほしいの。その、まだ見られる…………やいかなって」
顔を赤面させながら、もじもじとそんなことを言うと、動揺もさることながらこっちまで恥ずかしくなってきて顔を赤くしてしまう。
そして、そんな状態のまま、言葉が途切れ途切れになりながらも、
「えっ、あっ、うん。わかったっ! それじゃ、ここで待ってるね」
と、そんなことを思い出したせいで、あのときの恥ずかしさがぶり返して、顔がちょっぴりと
けど、この場に
……って、それにしても、さっきから男の人の視線の数が多いような。
あまり視線が多いと、なにか不自然な格好でもしてるだろうかと気になってくる。
もちろん、今の俺はかわいい女の子の姿をしてるから、一定数視線を集めるのはわかっている。
というか、普通に一人でいるときも、この格好のときはかなり注目を浴びることが多い。
けど、現状はそれを超えている。
よく、女の人たちが視線を感じるとか言うが、たぶん今の俺のような状況なのではないだろうか。
今の自分に起きてる現状を、勝手に納得していると、
「ねえ、そこのお嬢ちゃん」
「…………」
「そこのかわいいお嬢ちゃん」
「…………」
「えっと、聞こえてる?」
「もしかしてですけど、私に話しかけてますか?」
「えっ、あー、そうだよ」
そこには、声を掛けてきた男の他に二人の男がいて、いかにもガラが悪そうである。
はあー、これで四度目か。
そう、ただここにいるだけで、すでに四回もナンパされた。
ちなみに、時間にして約十分ほどしか経ってない。
つまり、視線はそういうものだったわけだ。
「なあ、これから俺たちフードコートに行くんだけど、一緒に行かない? なんでも奢るからさ」
よりによってフードコートとか……、ないだろ。
「すいません。私、友達と一緒に来てて。それで、今は友達を待ってるんです」
「大丈夫、すぐだからさ。ちょっと、ほんのちょっとだから、どうかな? なんなら、その友達の分も奢ってあげるからさ」
「ごめんなさい。友達がいつ帰ってくるかわからないので」
「ちっ……。さすがに強引となると人目に付きすぎるか」
ぶつぶつと何か言い残すと、どこかへ去っていった。
たぶんだが、なにを言っても時間の無駄だと思ったのだろう。
というか、怖かったーっ!
あんな体験、できればもう二度としたくない。
てか、早く
と、そんなことを思った矢先、
「お待たせ」
安心感のある声とともに現れたのは、
「もう、
「ごめんって。少し手間取っちゃって。でも、そんなに涙目にならなくても」
「
本当はさっきナンパされたときのことが怖くて、
けど、嘘をついてもバレるから、気持ちに変換しておいた。
「そっか。それじゃ、おいで、みーちゃん」
そこで、
俺は何も考えずに、それに飛び込んでいた。
「よしよし、大丈夫だよ。怖かったんだね」
「うん。うん、うん。…………って、うわっ!」
ま、まさか、バレていただなんて。
恐るべし、
てか、これは
けど、反応がないから違うんだろうな。
てか、頭をよしよしとか言いながら撫でられたら、普通に心を許すってのっ!
「どうしたの? 急に大きな声を出して? なにかあったの? みーちゃん、大丈夫? 顔、真っ赤になってるよ?」
「だ、大丈夫だよ。な、なんでもない」
「なーんてね。みーちゃん、かわいい」
「う、うぐぐぐぅぅぅぅ………………! もう、知らないっ!」
ああ、あのときの俺に飛び込むなと言いたい。
どうして、どうしてっ! なんであそこで踏みとどまれなかったんだっ!
そんな感じで、一人勝手に恥ずかしさから
「その、大丈夫だよ? さっきのみーちゃん、かわいかったから」
「う、うわあああぁぁぁぁ…………っっっ!!!」
最後の最後に、
ただ、不幸中の幸いなのか、その悲鳴は
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