第34掘:会議後半
会議後半
エリスが一番最初に考えるべき事を言った。流石というべきだろう。
これからは今言ったメンバーの補完というべき話になるだろう。
ま、とりあえず・土地選び。と、書き込む。
「では、まず。どれほどここに移民が来るのか。ロシュール国の代表と改めて話をする必要があります。その数字に合わせて今後の展開などを考えるべきだと思います」
「うん。エリスの言う通りだな。どれだけ準備をしていようが、どれほど来るのかわからなければ準備のしようがないだろう。ま、そこら辺はセラリアがこちらに到着後、どれほど援助を受けられるかで決まるな」
そして・移民の詳細 カリカリ…
「じゃ、次はお兄さんの大好きな私から申しましょう。ロシュール国からの援助と言いましたが、これからここで住民達にある程度、自活していただく方針ですが、それでは畑を耕したり、狩りが主体になりかねません。それでは、只の田舎と変わりがありません。先ほどのトーリの娯楽施設で奴隷を奴隷のまま雇い、運営していくことを提案します。給金を支払い、奴隷達に自分を買い戻すだけの資金を稼いでもらおうというわけです。それに加えて、こちらで色々な店舗をDPで最初から用意しておいて、それを購入していただこうと思います。無論、その商店も奴隷を雇い入れ、運用を致します。畑もまた然り、下手に耕せというよりも、もう出来ている所を貸し出す事によって、村や街の動きを最初から活発な状態にできると思います。つまり、奴隷をここに買って連れてきてもすぐに解放せずに、一定期間、働かせる事によって、自分で自活している事を意識させることが目的です。いやー、トーリに言われなければ自分達で一から畑を耕せとしかいえませんでしたよ。DPは有効活用するべきですね。そして援助ですが、それに伴い、私達である程度まとまったお金を持つ必要があります。ですので、ロシュール国にある程度資金を提供していただくことが大事だと思います」
なるほどな、ラッツの言うことももっともだ。
俺も畑を一から耕してもらうつもりだったよ。
しかし、それでは新天地に来た意味はあまりないよな。DPは上手く使うべきってことか。
そして、お金が必要になるわけか…世知辛いね。
・奴隷の雇用
・DPの有効活用(店舗など初期投資を多くするべし)
・雇用する為の資金(ロシュール国からの援助を第一案、DPで貴金属精製後換金が第二案)
「最後に私が、ユキさんが言っての通り、私達主体で村や街の運営を務めていくのであれば、これから来る住人達にも意見を聞くということで間違いないでしょうか?」
「ああ、君達個人個人では意見が足りないってのは自覚してもらえたと思う。だから、今後はもっと多くの人達の意見を聞く場も必要だろう」
「ならば、このような会議を開く場所を作るべきだと思います。それか何とかして意見を聞く術を整えるべきかと」
・住む人達の意見を求める会議場所の設営と…。
「そうだな、これも必要だ。まあ、最初は君達のように何をしていいかわからないから、先導する必要はあるな」
「はい、そして次がちょっと言いにくいのですが…」
ミリーは何か気まずそうな顔をしている。
「まあ、意見だし言うだけタダだ。間違っていてもみんなが訂正してくれるだろう。そういう為の会議でもあるんだから」
「では、言わせていただきます。ダンジョンの運営に関することの一般人への開示を願います」
周りが一瞬殺気立つ。その発言はある意味俺への反逆と取られかねないからな。
「理由を言ってくれ。これだけじゃ、みんな納得できないだろう」
「はい、理由はダンジョンがコアによって運用されているのは事実ですが、実際に、コアが取られて活動が停止する意味を、一般人は知らないのです。私達はここで生活してユキさんのお話でここの有用性は実感しています。しかし、このダンジョンで自活する人々はコアは停止した方が安全では…と考えるはずです。下手に開示をしなければ、コアを狙う人が増えるでしょう」
ミリーの言うことは一理ある。コアを停止して安全を確保するのは人として大事だ。
それが安全だと知っているのはここにいるメンバーだけ、コアなんてものはダンジョンを生み出す諸悪の根源であると考えられてるからな。
「ミリーの言っている事はもっともだ。だけど、それでは開示しただけではコアを取らないでいる理由にはならない。別段すぐにダンジョンで生活ができなくなるわけじゃないからな」
「はい、ですから。トーリの言った娯楽施設…露天風呂などの機能をコアを停止させることで止まることを体感してもらうんです。ああ、井戸とか川とかも枯らせるならそれが効果的でしょう。そうすればコアは無くてはならない物として、住む人達が率先して守るでしょう」
住む人達をコアの自主的な防衛機能として使うわけか。
そうすれば反乱は起きにくいとうか、起こせないだろう。
コアをとれば住めなくなるんだから…。
まあコアを人質に要求ってのが妥当か、それかコア狙いでこのダンジョンを潰すかだな。
今のところ、ここは他国には脅威として映ってないし、冒険者には全く知られていない。
じきにセラリアの宣言で、エルジュの聖なる祈りで、安全なダンジョンになったと宣言されるがな。
とりあえず、何かを起こすにも理由がないわ。
そして、俺の存在はここにいるメンバーと国のトップのみ知っている。
・ダンジョンコアの説明(住民の安心為)
「ミリーの意見に付け足し事がありますがよろしいでしょうかお兄さん?」
「ん、なにか問題点があったか?」
「いえ、もういっそDPを10分の1の収支で報告して、各種族とはわかりませんが、会議などで、DPをある程度任意に使ってもらうのはどうでしょう。
そうすれば、コアの大事さ必要性を実感できる機会も増えますし、自分達の手で有用なものをDPで精製できるとすれば、ダンジョン管理者代表の私達も好意的に受け止められるでしょう。
なにせ、本人たちの希望で、DPで色々できるわけですから。
そして、自分自身の手で運営するというわかりやすい証拠になるでしょう。
なにせ現物があるのですから」
ミリーの話は、ラッツの付け加えで、みんなも納得が言ったように首を縦に振るものや、なるほどと言ってる子もいる。
・ピンはねしたDPを住人達に使用してもらう(住民感情向上のため)
「最後にもう一つ、ダンジョン自体を宣伝、娯楽施設とは言いにくいですが、普通のダンジョンとして使えないでしょうか? いえ、コアを取らせる目的ではなく、ダンジョンがあることで冒険者が根付くかと思いまして」
もと冒険者ギルトで働いていたミリーらしい意見だな。
ま、それは俺も考えていた。
「ミリーの言っている事は俺も考えていた。まあ、これはあとで詳細を話すが、簡単に言っておく。皆に…そうだな今のメンバーごとにダンジョンコアを一個ずつ渡して、ダンジョンを作ってもらおうと思う。ダンジョンの中に、さらに別のダンジョンって変な感じだが、訓練用とか調整ができるから、初心者冒険者にも受けると思うんだ」
「おおっ!! それ楽しそうじゃないか!! 俺も作らせてくれ!!」
ここでようやく反応を見せるモーブ。
「わかった。わかった。それは又あとでな。今は会議の続きな」
・小ダンジョンの設営で冒険者を呼ぶ
これで、エリス達の意見が出終わる。かなり濃かったな。
こっちも色々盲点を突かれた。大事だよな会議。
「で、最後になったがエルジュ達はなにかあるか? 色々書いてたみたいだが?」
そういってエルジュ達に視線が集まる。
ミリーとかカヤはとっても文句を言いたげだが、この会議の意味を分かっているのか、言葉にはしない。
「はい、しかしまず最初に、この会議で色々と考えさせられました。この場に参加させていただき感謝いたします」
エルジュが深々と頭を下げる。
「それで、私からはお医者様を、このダンジョンで雇っておくわけにはいかないでしょうか? いくらユキさんの管理の元とはいえ、怪我一つなくなどは不可能だと思います」
「そりゃ、当然だな。だがお医者、治療術師は雇うとな…」
「いえ、雇っていただかなくても結構です。私とルルア様を使ってください。聖女と呼ばれていた事もありますので、お役に立てるかと」
そうエルジュが言うが、ミリーがすかさず言葉を出す。
「失礼ですが、聖女様達は今や死んだ身。下手に人前に出られては、ダンジョンの運営に支障をきたします。それはやめていただきたいのですが」
当然だな、一応死んだ身ではあるが、相手からすれば生きているかもしれない、と思われるだけでも色々と面倒なのだ。
「…ミリーの言いたいこともわかるわ。でもちょっと怒らずに聞いて、私はエルジュ様とルルア様の治療行為には賛成だわ。死んだと思われているのだから、ちょっと容姿…そうね、髪でも切ってもらって眼鏡でもかけてもらえば、別人に見えると思うの。そして、治療行為はそんなに大回復魔術を使うわけでもないですし、逆にそれで何かしら、相手が行動を起こすなら、このダンジョンに要らぬ手が入っているということ…」
エリスがそういうとラッツも反応する。
「そういうことですか。あえて、問題の起こりやすいポイントを作るんですね。そうすれば、あらかじめ問題が起こるとわかっているから対処もしやすい。指定保護の関係でこのダンジョン内では私達に武力行使はできないですし、安全というわけですか」
「はい」
ラッツの説明にエリスが同意する。
ふむ、あえて餌にね。俺もそれを考えてはいたが…本人達次第だな。
「ということだ、エルジュ達さえよければ病院…治療院を作って、そこを運営してもらおうと思う。しかし、これはみんなにも言えることだけど、絶対安全ではないからな」
「それは、どういうことでしょうか? ユキ様の指定保護のダンジョンであれば武力行使はできません。違うのでしょうか?」
ルルアが疑問を言ってくる。
「あ~、武力行使ができないことが安全って認識になってるんだな。こういうのはルールの抜け穴をよく考えることだ。いいか、このダンジョンでは武力行使ができない…つまり」
「外では、できるということか。私達が眠っている間にでも拉致されれば、できない事はないのか」
「オリエル正解。といっても、皆に安全用にワープできる指輪は渡しておくけどな。場所はこの宴会場に飛ぶようにしている。が、絶対じゃない、外に連れ去られて指輪を使う前に、殺されればそれまでだ。なるべく、作る村や街での宿泊はやめて必ずここに戻ってほしい」
そう言うとみんなは神妙にうなずいている。
「と、話がずれたな。そんな感じになるがエルジュとルルアはいいか?」
「はい」
「承知の上です」
ほいほい・病院の設立
「では、次は私だ。今までの発言で出てなかったので言わせてもらう。治安維持のための警邏隊を組織するべきだと思う。ラッツが言ったように、奴隷から雇用という感じにすればいいだろう」
これは、当然だな。人数がすくなかろうが、警邏隊…自警団みたいなものは必要だな。
それを組織する必要性はある。
・警邏隊の設立と活動場所
これには誰も否はないらしい。ある意味無難すぎたなオリエル。
「私からは、そうですね。今から作る村や街の区分けを今から考えておくべきかと」
ルルアの言ったことがみんなわからないようだ。まあ、この意見はある程度の街を運営したことがないとわからないだろう。
「そうだな、ルルアの言っていることは…住む場所や、働く場所を分けることで、人を管理しやすくするってことだ。ここら辺の街とか見たことないが、こう、貴族が住んでいる場所は、分けられてたりしてなかったか?」
「ああ、ありましたね。…無作為に色々建てられると問題がある。ということですか?」
「そうだな、例えば夜騒がしい酒場の周りに、民家があるとそこの住人は落ち着いて寝られないだろう?」
「確かに」
「ある程度区分けすることによって、問題が起きても人の安全を図りやすいんだ。たとえば、住民地区という住民が住んでいる場所があって、昼に火事になるのと、夜に火事になるのは、どっちが被害が大きいと思う?」
「それは、当然みんなが帰って寝ている夜でしょう。ああ、とてもわかりやすいですね。昼は仕事区みたいな仕事をしている場所に、人が集まっているということですね?」
ラッツとの問答でルルアの言いたいことをみんなが理解したようだ。
あと、変な空間を作らないためでもあるんだがな。スラムとかね。
「さて、大体意見が出終わったな。これからは、どれから取り掛かるべきかってのを考えよう。
でも、必要なことがあればその場で言ってくれ、出来た後で付け足すのが一番面倒だからな」
そう言ってホワイトボードをみんなに見せる為真ん中に移動する。
ホワイトボードの内容
チームラビリスの意見
・遊ぶ場所広場(集会できる広場)
・畑(生きる為)
・鍛冶場(必要な物を作る為)
・人が住む場所(家)
チームトーリの意見
・露天風呂(娯楽施設)
・訓練場
・緑(獣人、エルフの為)
チームエリスの意見
・土地選び
・移民の詳細
・奴隷の雇用
・DPの有効活用(店舗など初期投資を多くするべし)
・雇用する為の資金(ロシュール国からの援助を第一案、DPで貴金属精製後換金が第二案)
・住む人達の意見を求める会議場所の設営
・ダンジョンコアの説明(住民の安心為)
・ピンはねしたDPで住人達に使用してもらう(住民感情向上のため)
・小ダンジョンの設営で冒険者を呼ぶ
チームエルジュの意見
・病院の設立
・警邏隊の設立と活動場所
・区画の整理を決めておく
俺の意見
・学校の設立(学力の向上。住人の交流)
・トイレは絶対作る
・モビルスー○とネクス○を納入して遊ぶ(私事)
・俺がダンジョン内や外の世界へ遊びにいく交渉(却下された)
さーて、お仕事お仕事。
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