第20掘:モーブ…アウト!!

モーブ…アウト!!



ダンジョンに久々の新参人族が入ってくる。

最近忙しかったからなー、ようやく俺もダンジョン運営に着手できるというわけだ。

今までのが、もう中盤とか、チュートリアル無しの無理ゲーとか思ってる人は残念。

ようやく、ある程度データが揃いましたので、ようやくダンジョンを開店営業準備ができるというわけでございます。

俺的に、今回のダンジョン運営の話はこう聞こえたね。


「紛争地帯にコンビニ出すから。見積もりよろしく!!」ってな感じ。


だから情報集めましたとも。運よく王族とか、腕のいい冒険者と知り合って、なんとか運営許可を国に取れた感じですよ?


と、話がそれたな。新人というのは、モーブ達に頼んでいた奴隷達である。

主に、いや、若い女性しかいない。俺がそう指示したしな。

ハーレムひゃっほい!!って狙いも少なからずあるが、それよりも俺の手駒が欲しいわけだ。

色々理由もあるが、実際はおっぱい!!おっぱい!!っと冷静にならねば。

幾ら美人でも王女様とか、ドリル王女様とか、どこかの国代表聖女様とかはマジ勘弁。今後のことを考えると、もう妄想もできませんわ。


さて、俺の妄想はいいとして。モーブ達には贄になって貰う。


「さて、モーブ達が奴隷を先んじて購入してまいりました。これより、モーブ達の女性趣味について、考察と非難をしていこうと思います」


「おい、まて!!非難って言ってるじゃねえか!!決定かよ!!」

「まあまあ、外に出られない俺の勝手な恨みだから気にするな」

「気にするわ!!」

「ま、いい加減話を進めよう。とりあえずモーブから紹介してくれ」


こっちで勝手にいじって勝手にぶった切る。まあ、文句はあるだろうが俺の境遇に免じて我慢しろ。


「わかったよ。とりあえず全体的なことを言っておく。見ての通りだが、購入したのは9人だな。悪いが全種族とまではいかなかった。極端に値が張る種族や、珍しい部類もあるんでな」

「まあ、そりゃあるだろうな。一人につき3人って感じか?」

「おう、俺一人で選ぶのは、お前から趣味を見るって言われたからやめといた」

「ち、それはタイミングずらせばよかったな。そういえば、奴隷の契約内容とかは問題ないんだな?」

「おう、結局はこっちで指定保護するなら意味ないが。一応は俺達3人の奴隷って扱いになってる」

「そうか、とりあえずお前ら3人にも聞いとくが、手元に置いときたい娘っていないのか?」

「いや、俺達は3人で安定してるからな。下手に素人混ぜてもバランスがわるくなる」

「そうか、じゃ、自己紹介から始めるかな」


そうやって9人の奴隷の女の子達の前に立つと、全員が少しビクッとしている。

やっぱり、あんまりいい扱いは受けていないように思える。


「さて、モーブ達からどの程度話を聞いているかは知らないが。俺の名前はユキ。俺が君達の雇い主ということになる」


そういうと長耳の子が反応して質問をしてくる。エルフってやつかね?

スタイルは、定番を無視していますね。ボンキュボンです。


「…失礼ですが、私達を奴隷として扱うのではないのですか?雇うとはなんといいますか…」

「ああ、奴隷として扱うわけじゃない。ちょっとこれからやりたいことがあってね。君達に協力してもらいたいんだ」

「…協力ですか?私達を奴隷として扱ったほうがよろしいのでは?」

「ふふふ…、まあ隠すこともないがな。君達はこれから奴隷よりも辛い日々になるかもしれない」


そう言うと、全員が顔を歪める。


「おいおい、そんなに脅かすことはねえだろう。可哀想じゃねえか」

「モーブさんおちついて、あれはユキなりの配慮ですよ。彼女達はこれからここを、運営して守っていかねばならないのですから」

「カースが言うと重みがあるよな。逃げ出してたからな」

「耳の痛い限りです」


カースが俺のフォローをしてくれるが、ライヤに痛いところを突かれて顔をしかめている。


「ここの運営?どういうことですか?」


さっきのエルフの少女はそうやって首を傾げている。


「まあ、簡単な話だ。このダンジョンは、今となっては故人であるが、エルジュ様がダンジョンコアの制御に成功したらしくてな。このダンジョンに村、町を作ろうと話が挙がっている。今の所有権は姉のセラリア様にあるがな」

「…私達は実験ということで連れてこられたのですね」


なかなかに聡い子のようだ、教育すればかなり伸びるかもしれない。


「いや、安全性は保証されている。ここで行いたいのは、別の事だ」

「別とは?」

「実験ではないのなら、なぜ君達が呼ばれたかってことになる。簡単だ、エルジュ様の願い事というわけだ。戦争で家や家族を亡くした人々が、安心して暮らせる場所を…とな」

「エルジュ様が…」

「ここには奴隷を中心に集めて解放し、安全な場所を作ろうという計画が練られている。そこでまず、必要なのは人手だ。この話を聞いて協力してもらえるな。だからと言って下手に変なのを、上に据えるわけにはいかない、ここを作るのは元奴隷の人々が主体となってくれ、という願いだ」


エルジュ様様である。おかげで俺の存在は全く知られなくて済む。

世の中で一番安全なのは知られないことだ。そうすれば誰にも目を付けられることもない。

ひっそり、俺はダンジョンマスターとしてのんびりできる寸法である。


「しかし、私は…いえここのみんなは村や町をつくった経験など…」


そう言って、彼女は周りの同じ奴隷のみんなをみるが、同意するように顔を横に振る。


「そこは心配するな、その為のサポートで俺や、モーブ達がいる。まず君達にしてもらいたいのは、ここに村や町をつくる上で何が必要か、及び、多種族における文化の違いを教えて欲しい。これからここは数多の種族も集まる予定だ。なるべく最初に問題点を洗い出したいんでな。協力をお願いしたい」

「…協力や成果が出せなければ、追い出されるのでしょうか?」

「それはないな、だが運営に関わる内容をある程度、見たり聞いたりするだろうから、公言されると困る内容については口止めすることになると思う」

「当然ですね。わかりました。私は貴方に、エルジュ様のご遺志に協力をしたいと思います。ここが悲劇に見舞われた人達の受け皿になるのでしたら」


そう彼女が言うとみんな頷いてくれた。まあ、すんなりいってよかったよ。


「まあ、そんなわけだ。協力をしてくれるなら自己紹介をしてくれないか?君達をなんと呼んでいいかわからないと不便だしね」


「あ、はい。失礼を致しました。ではモーブ様に見初められた私達3人からということで…」

「モーブ…アウト!!」

「なにがアウトだよ!!」


聞き捨てなりませんよ、様呼びに見初められた?いじるネタとしては十分である。


「ち、ここでいじっても話が進まん。一回自己紹介を終わらせてもらおう」

「は、はあ?わかりました。では、私から…」



「私はエリス。見ての通りエルフです。魔法は少々使えますが、戦闘経験などはありません。多少の算術はできます。これからよろしくお願いします」

エリスか、ステータスは詳しく見ても今は仕方ないので簡単に、レベルは10。結構高いのか?一般人の平均レベルがよくわからん、18歳のレベル5の平均はみたがな。

感想としては、9人の代表で受け答えした感じリーダーとしての資質はあるのだろう。理性的でもある、今後に期待が持てそうだな。

スタイルは先ほど言っての通り、身長が160㎝にボンキュボンの金髪美人さんである。髪型はロングヘアー。


「あ、あの、私はトーリです!!種族は狼人族です!!ま、魔法は使えませんが、身体能力にはそれなりに自信があります!!よろしくお願いします!!」

トーリちゃん、レベルはさらに高い21、戦闘民族か!!

まあギャグは横に置いて、感想は犬耳っ子ですな。正直この世界の獣人族って言われる部類が毛むくじゃらじゃなかったことに感謝しよう。

髪は白でショートだな、所々跳ねたりしてるからクセっ毛かね?


「私はアスリンです。人族で…学も魔法も運動もできません…料理とか、家事ぐらいです」

アスリンちゃん、なんか最後は消え入るような声になったな。いや、その自己紹介はつらいだろうな。

ここで一つ注釈を入れよう9人の中でどう見ても、最年少である。誰も俺はロリを選んでこいとは言っていない。

髪はマロン、ショートボブっていうのかね、彼女によく似合っていると思う。



「3人とも自己紹介ありがとう。エリスは最初から俺と受け答えをしてくれて感謝している。トーリは元気一杯だな、これからよろしく。アスリンは何も気に病む必要はないぞ、料理や家事だってな生きていく上で必要なことだ。そして、今は無理でも色々覚えていけばいい」


「いいえ、私のような奴隷に説明をしてくださって、ありがとうございます」

「はい!!よろしくです!!」

「…私は邪魔じゃない?」


アスリンだけは不安げである。仕方がないので、頭をなでて落ち着かせる。子供はこれが一番である。

いや、近所の餓鬼とかはいやがったけどな。親戚の子は嬉しそうだったんだからね!!!


「でだ、モーブに判定を下す」

「なんだよ判定って!!」



「ロリアウト!!間違いなくロリアウト!!」



幼すぎるんだよ!!いくらなんでも!!お前には自分の子供と重なったかもしれないが、よく考えろや!!これじゃ、当分は俺が面倒みるはめになるじゃねーか。

ま、こういう小さい子に英才教育すれば、どれだけ伸びるか見てみたい気もするが、本人が嫌がったら押し付けるわけにもいかないからな…。


さて、残りの6人はどうなることやら。

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