第19話 そろそろ

「そろそろクリスマスだね」

「ほんと、毎年大変だよね」


 恋人にクリスマスの話題を振ったらこの返しだ。

 どういうことだ?

 ちーちゃんと過ごすクリスマスは初めてなのに。今まで、どんなクリスマスを過ごしてきたというのか。一人で悶々としていたら。


「劇の脚本作らなきゃいけなくて、ほんとやだ。あっ、ひーちゃん、そういうの得意でしょ? 手伝ってよ! 今年はさらにピニャータもやるんだってよ、もう大変すぎる」


 は?

 あぁ、施設のクリスマス会の話か、そういうことか。良かった。


「わかった、手伝うよ。劇って?」

「人形劇なの、去年もやったから人形はそのまま使える」

「じゃ、続編にしようよ。去年の原稿とかある?」

「あるある」


 二人で、あーでもないこーでもない、と顔を突き合わせながら考える。こんなクリスマスも良いじゃないか。

 本番はまだ先だけど。


 ふと、視線を感じて顔を上げたら目が合って、唇も合わせた。


「クリスマス会終わったら、打ち上げしようね」

「二人だけで?」

「もちろん」

「いいね」











「一晩中だよ?」

「いいよ」











「今、エッチなこと考えた?」

「うん考えた。違うの?」

「違わない」

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