第6話 最終決戦
「僕退院して間もないんだけど、そこはどうにかならないのかな?」と、愛に言った。
「何のこと?大丈夫?」と、返された。多分、愛は最後までしらばっくれるつもりだろう。
「何のことって、気づいているだろ。自分が何をやってきたか。僕は、あのときは、必死でお前を守った。だが、入院知っているときに、ある看護師がいてな、お魔の情報を聞いたんだ」と、僕は冷静を装い話した。内心は、いつ殺されてもおかしくない状況ということに焦っている。きっと誰だって、ピンチの状況になったら焦る以外の感情はないだろう。と、そんなことを考えていると、
「あれ?知ったんだ私の秘密。ていうか、あいつとうとう誰かに言ったんだ。うーん、どうしようかなー、あいつも殺さなきゃいけなくなるのかなー。ねぇ、蓮はどう思う?殺したほうがいいと思う?」と、質問してきた。
「殺さないほうがいいに決まっているだろ。てゆうか、なんでそんなことを考えるんだよ」と、逆に質問した。
「そっかぁ、蓮は私の過去を知らないのか。いいよ、話してあげる。私の過去を」
――数十分後
「なるほどな、道理で、あの看護師の人がお前のことを知っていたわけだ。それでも尚、お前のやっていることは下衆以下だと思うけどな」と、怒り交じりで愛に言った。そりゃそうだろう、人を殺しているのだから。多分、友達で人を殺していたら、誰だってこう言うだろう。
「ひどいなぁ、蓮ってそういうこと言う人だったっけ?病院の看護師に洗脳でもされてんじゃないの?でも、大丈夫。そんな奴私が痛めつけてあげるから、安心して」と、もう本性を隠す気もないかのように、そんなことを言ってきた。
「僕がそれを黙って、はいどうぞやってください、とでも言うと思うのか?僕をそこまで信用してくれるのはうれしいことだが、殺られそうな人がいるというのに、見過ごすわけにはいかないんだ」
「別に、蓮に承認を得るわけじゃないよ。私が誰殺そうと、蓮には関係ないでしょ?」
「いいやあるね。僕とお前は友達だった。だから、それを止める義理はある」
「いやいや、友達同士だったって、それ今は友達っじゃないってことでしょ?じゃあ、もう他人じゃん。妨害するのはよしてよ」
「お前に関係なかったとしてもな、僕はあの看護師に言われたんだよ。【君になら、私を守ることができる。だから、無理を承知でお願いするわ。あの人を殺して。自分の身を削って、そして、死ぬ気で。】ってな。だから、あの人とは関係があるから、お前を殺す。死ぬ気でな」と、言うと同時に、僕は地を蹴って、愛に近づいた。すると、愛も攻撃の態勢に入り、僕を殺そうとしていた。
「あぁ、せっかくここまで来たのに、君を殺さなきゃいけなくなるなんてね」と、愛は懐からナイフを取り出した。僕は咄嗟に持っていたサバイバルナイフで受けたが、熟練度が違った。こいつは一回人を殺している。だから躊躇なく僕を殺すことができる。しかし、僕は、初めて人を殺すという、犯罪に手を染めるという行為をしているので、緊張がすごかった。
しばらく経つと、助っ人が来た。あの看護師だ。すると、本当に看護師なのかというほど、武器を持っていた。銃、ナイフ、スタンガン、様々な武器を携帯していた。
「攻撃を止めないで!」と、看護師は言って、僕に加勢した。看護師とは思えない身動きをしていて、この人一人でも、戦えるのではないかととも思った。体力も限界に近付いてきた。愛も動きが鈍くなっている。そう思っていた時、看護師は最後のとどめと言わんばかりの動きをして、愛にナイフを刺した。
「あああぁぁぁぁぁ!!!!!」と、叫ぶ愛に僕は見ているだけだった。これでよかったのだろうか。愛との別れが、こんな感じになるとは思ってもなかった。多分、愛も普通の家庭環境だったら、こんなことにはならなかったのだろう。確かに、今まで、愛の家庭環境は知らなかった。というより、教えてくれなかった。もっと、愛のことを知っていれば、こんなことにはならなかったのではないか。僕は、罪悪感を少し感じ、愛に近づいた。
「ごめんな、気づかなくて」と、愛に謝罪を言って、僕はその場を後にした。その時は、愛の顔を見てなかったが、去る途中で、愛の泣き声が聞こえた。僕は一瞬振り向こうともしたが、それだと、悔いが生まれる、残る、と思い、涙を堪え、去った。
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