第3話 孤独

 ここにきて、数週間。僕はまだ治らないのかと、考えていた。

 それと同時に、一人は寂しいものだ。家にいるときは、まだ自分の部屋があったから、紛らわせることはできたが、初めての場所、初めての入院ということで、孤独に感じていた。ちなみに、あれからというもの、愛、母、そのほかの人は誰も見舞いに来てはくれなかった。

「僕って嫌われてたんかな?」と、独り言を言っていた。だが、暴力関係はなかった。勝手な偏見だが、こうゆうのは、暴力があるものなのでないだろうか?ただの気分なのか?また僕は考え始めていた。

――コンコン

また、ノック音が聞こえた。

「失礼しまーす」と、笑顔で誰かが入ってきた。この時間だから、看護師の人だろう。ちなみに、今はお昼過ぎ位だ。多分昼食を持ってきてくれたのだろう。僕は、重い腰を上げ、看護師のほうを見た。顔立ちはいたって普通で、何もかも普通の見た目の人だった。しかし、そんな普通の人でも、僕はなぜか心が安らいだ。多分、孤独を感じて、感性がずれているのだろう。

「お昼ご飯の時間です」と、その人は、僕のベットについている机に置いてくれた。僕は、

「ありがとうございます」と、一応感謝を述べといた。昼食は、よくある病院食で、食欲旺盛なこの年代には、少し少ないような気がする。だが、食べないよりかはマシなので、僕は箸をとって、昼食を取り始めた。なぜか、持ってきてくれた看護師はずっと僕のベットの近くに立っていた。食事中に見られると、なんか小恥ずかしく感じるので、

「どうしたんですか?」と、その看護師に質問をした。

「いえ、とくには何もないですよ。ただ、ひとまずこれ運び終わったら休憩なので、いるだけです」

なんとも不思議な人だ。見た目が普通でも、行動は読み取れない。偏見で人は判断するべきではないと改めて思う。

 しばらくして、僕が昼食を食べ終えると、食器を片付けてくれた。すると、看護師さんは、突然、

「あの人のことどう思っているのですか?」と、聞いてきた。あの人、というのは多分愛のことだろう。しかし、なぜこの人が愛のことを知っているんだろう。親戚か何かか?

「どう思っているってどうゆうことですか?」と、質問を質問で返した。

「あの人、結構有名なんですよ。あ、有名って言っても一部の人だけですけど」

一部の人に有名って有名っていうのか?まぁでも、一目置いてるって意味では、有名は有名の部類には入るのか。

「有名って、どういうことですか?」と、なぜ有名なのか聞いた。

「あの人は、昔、人殺しをやっています」と、淡々と述べた。僕は頭の中で、この人が言った言葉を頭の中で反芻した。言っていることが、よくわからなかった。いや、実際には、わかっている。しかし、それを認めたくなかった。だって、そんな素振りは今まで、一度もなかった。ほとんど毎日会っていた人が殺人?そんなことがあるのか?と思った。

「信じるかは、あなたに任せます。ただ、これだけは言わせてください。危ない目に遭いそうになったら、躊躇なく彼女を殺してください」と、看護師の人は、僕に助言を言ってきた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る