喰らえ！！わが魔法！！HSM！！！~へなちょこ魔法『ホットサンドメーカー』でおれは絶対成りあがる！！~

第2話 さぁわが手にチートスキルを(略)

暗転した世界から目が覚めたあと、目に入ったのは

「ちょ、俺のホットサンド！！」

「んぐ、んんんん！！！ごくん！な、なんのことじゃ」

口をチーズでべたべたにした少女の姿だった。

「おらぁ返せ！！俺のほっとサンド！！！」

「知らぬ！知らぬのじゃ！！」

「しらばっくれてんじゃね・・・え？」

ここはどこだ。ってか。おれの体どうなってんだ。金髪の少女に伸ばしたはずの手は彼女をすり抜けていた。

「うわぁんセクハラじゃ！セクハラじゃ！」

「うっさいわ！！俺の好みはもっと凹凸があるお姉さんじゃ」

「だれが、ろりっこまな板神様じゃ」

「んなこと言ってねぇよ。…神様？」

腕を組んでぷんすかと怒る自称神様に尋ねた。

「そうじゃ。」

無い胸をどんと張って彼女 は言った。

「ってことはおれは死んだのか」

「まぁそうじゃな」

｢んで、おまえ、いや、あなたが、神様｣

｢そうじゃ！わらわは神様なのじゃ｣

｢い…。｣

｢い？｣

「いやっほおおおおおおおい！！！おれもこれで異世界転生者じゃぁああああ！！ざまあ見やがれ凡夫ども！！！俺はやってやったぜ！！さんざんコケにしてくれちゃって！！泣いて謝ってもしらねぇぜ！！ひゃっはー！！！・・・もうあんな痛い子を見るような目で俺を見ないで・・・ぐすん」

湧き上がるテンションと、異世界転生するための奇行による誹謗中傷のフラッシュバックに、感情がジェットコースターとなっていた。

｢うわぁ…｣

えっと神様？ドン引きせんでもらっていいすか？

「異世界転生？なんのことじゃ？」

「いやいやいやいやここからはテンプレでしょ。めっちゃ強いスキルをもらって、聖剣エクスカリバーみたいな激強アイテムもらって、無双して、美女たちとのハーレムでしょ？｣

「ん？｣

｢は？｣

首を傾げる少女と、それを見つめる少年にしばしの時間がすぎた。

｢いや、ちょ、まって｣

いやいやいやまさか。

｢ね、ねぇ、神様ぁ。俺って世界を救うために召喚されるんです…よね？｣

｢いや、勝手に雷を召喚して、自爆しただけじゃよ｣