喰らえ!!わが魔法!!HSM!!!~へなちょこ魔法『ホットサンドメーカー』でおれは絶対成りあがる!!~

お花畑ラブ子

第1話 異世界転生して(以下略)

まぁ、よくある話ではあるだろう。


ちまたでよく聞く異世界転生。


まぁわかるよ。


夢があっていいよね。


でもね。現実はそんなに甘いもんじゃない。


美人の神様や癖のある神様に見初められて


なんだかかっこいいスキルなんかを与えられて


第二の人生で、ウハウハライフを送っていくんだろ。


ばーか。


俺は現実に生きてんの


小説やアニメだけにしてくれってんだよ。


あれだろ美少女のキャラクターがいっぱい寄ってくる。


んで、みんなして自分だけを愛してくれるんだろ


ねぇよ。


たしかに現実はくそだ。たのしいことなんてありゃしねぇ。


仕事や学校で使いつぶされる


現代日本


やになるよな。


だから、まぁ、みんな


おたっしゃで


「ばーみゅら!!!べーみゅら!!!ぶんじゅったー!!!!!!」


若い男の声がむなしく森に、こだまする。


年のころは15、6だろうか。彼は森の中で上半身裸で、腰には木の葉っぱを巻き付け、赤い絵の具で全身を妙な模様で塗りたくった姿でいた。両手は天高くつきあげて、足元にはこれまたミミズのはったような文字で書かれた魔法陣らしきもの。


「・・・・っち。この方法もだめか」


少年はリュックサックとともに散らばった荷物からノートを取り出して、×を書く。


「まったく。神様も意地悪だな」


なんて言葉をつぶやく。


少年の名前は大樹だいき。ご覧の通り残念な少年である。


「さてと、腹減ったなぁ飯でも食いますか。」


バッグから出したのは、ホットサンドメーカーとシングルバーナー。手際よく組み立てて、ホットサンドメーカーを温める。


「ふっ・・・」


休日の休みに一人で山ん中で料理する俺かっこいい。


まぁ半裸で山の中にいるわけなので、蚊に刺されまくっているのだが。大樹はそのあたりは気にしない。


ホットサンドメーカーに油をたらし、家から拝借した食パンをのせ、チーズやハムを重ねて、さらに食パンを挟む。


バーナーの火を弱めて、じっくりと火を通していく。


「・・・なんとかして異世界にいけねぇかな。そしたら、どんな魔法でも、つかいこなして、あっという間に魔王を倒してやんのにな」


物思いにふけりながら、ホットサンドメーカーをひっくり返す。


火を強め、焦げ色をつけていく。あたりに香ばしいにおいがひろがる。


「さてと・・・」


火を止めて、留め具を外すと、きつね色に焼けたトーストが顔を表す。


「へへへっと、熱っ・・・あぶね」


注意深く皿にのせる。しばらくトーストを眺めていたが、大樹は空に向かって話しかける。


「おぉーい、神様ぁ異世界に行かせてくれたら、俺が世界を救いますよー!!あと。このホットサンドもお付けしますよぉ」


なんちゃって。


さてと


「いただきます!!あ~~~ん!」


目の前が真っ暗になった。








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