10
今、僕は、キミがいないこの街で夢を追いかけている。
正直、上手くいかないことばかりだ。全部置いていくと、自分で決めたことなのに、時々帰りたくなる。
ふとした時に思い出す。キミと過ごした日々を。キミが隣にいるのが"当たり前"だったあの瞬間を。
幼い頃キミと走り回った原っぱ、河原、畦道。
一緒に観た映画、聴いた音楽、歩いた道。そして、ハルジオン。
どこにでも咲くこの花が、どこにいてもキミのことを思い出させてくれる。
どんなものにもキミとの思い出がたくさんある。
時々、胸の奥が、きゅっと締め付けられることがある。
それでもまた前を向けるのは、キミの涙を見たから。僕の前ではいつも笑っていたキミが、笑いながら見せた涙。
だからこそ僕は、ここで歩いていく。ここから、歩いていく。
それだけが、今の僕にできることだから。
もしも、許されるのならば、…
ただ、笑っていて欲しい。幸せでいて欲しい。
勝手だけれど、思っている。
あの春の日のような空の下で。キミもこの空を見ていることを願って。
キミが笑っていられますように。幸せでいられますように。
キミが僕を忘れても。いや、いっそこんなやつのことは忘れてくれた方がいいのだけれど。
それだけを願って、僕は歩いていく。
新しい明日を、別々の道を、それぞれ生きていく。
僕とキミの物語。
ハルジオン 鳴海路加(なるみるか) @ruka_soundsea
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます