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 今、僕は、キミがいないこの街で夢を追いかけている。

 正直、上手くいかないことばかりだ。全部置いていくと、自分で決めたことなのに、時々帰りたくなる。


 ふとした時に思い出す。キミと過ごした日々を。キミが隣にいるのが"当たり前"だったあの瞬間を。


 幼い頃キミと走り回った原っぱ、河原、畦道。

 一緒に観た映画、聴いた音楽、歩いた道。そして、ハルジオン。

 どこにでも咲くこの花が、どこにいてもキミのことを思い出させてくれる。

 どんなものにもキミとの思い出がたくさんある。

 時々、胸の奥が、きゅっと締め付けられることがある。


 それでもまた前を向けるのは、キミの涙を見たから。僕の前ではいつも笑っていたキミが、笑いながら見せた涙。

 だからこそ僕は、ここで歩いていく。ここから、歩いていく。

 それだけが、今の僕にできることだから。



 もしも、許されるのならば、…


 ただ、笑っていて欲しい。幸せでいて欲しい。

 勝手だけれど、思っている。

 あの春の日のような空の下で。キミもこの空を見ていることを願って。



 キミが笑っていられますように。幸せでいられますように。



 キミが僕を忘れても。いや、いっそこんなやつのことは忘れてくれた方がいいのだけれど。

 それだけを願って、僕は歩いていく。




 新しい明日を、別々の道を、それぞれ生きていく。


 僕とキミの物語。

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ハルジオン 鳴海路加(なるみるか) @ruka_soundsea

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