7

『待っていて』


とは言えなかった。


『一緒に行こう』


とも言えなかった。

 キミにはキミの夢がある。未来がある。勝手に決めた僕に、そんな言葉でキミを縛る資格は無い。


 でも…


 出発の時間を伝えた僕に、キミは言った。


「行かないよ」


 笑っているのに、泣いているようだった。

何も変わっていないと思っていたキミの笑顔は、少しだけ大人びて綺麗になっていた。僕は、そのことに今更気付いた。

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