私がいかにして第二次カラバフ紛争を観測することになったのか

扶桑のイーグル

私がいかにして第二次カラバフ紛争を観測することになったのか

 9/27

 私が第一報に気づいたのは、9/27の15:00頃だったと記憶している。スマホがポケットの中で震えたので、通知を確認するついでに何気なくツイッターを開いたら、アルメニアとアゼルバイジャンで戦争が始まったと。

 だがすぐには信じなかった。フェイクニュースはあふれているものだし、それにはどんな有名人が引っ掛かってもおかしくないし、つい数日前にも中国と台湾で戦争が始まったというフェイクニュースが流れていたからだ。

 いつものかもしれないと思い、特に確認はしなかった。仕事の方が重要である。私はスマホからスパナに持ち替え、単管パイプを止めているボルトを外した。


 次に確認したのは、18:00頃トイレに入った時だった。タイムラインはさて、ちょっとした騒ぎになっていた。といっても、私のフォロワーの大半は冷静だった。なにせ、情報が本当であるという証拠は無かったからである。

 それでも、ロケット砲が移動している様子など、新しい動画や画像が出回り始めていたため、少なくとも誰か死んだということは確定的であった。恐らく誰も知らない兵士が死んだということは。

 ところで、アルメニアとアゼルバイジャンはどの地域だったか。中東のあたりだったような……私もタイムラインも、大体似たようなことを思っていたようである。怒られそうだが、この時まではその程度の興味しかなかった。


 三回目の確認は、帰宅後だった。22:00頃である。いい加減情報が集まっているだろう、恐らく全面戦争には至っていないはずだと、なんの証拠もなくツイッターを開いた。希望的予測は打ち砕かれた。

 情報が氾濫していた。戦車や装甲車に対する砲撃が行われ、トルコ軍の関与も疑われていた。戦争状態に陥ったのは明らかだった。

 だが同時に、アゼルバイジャン軍が突撃しては撃退されているだけで、肩透かしをくらったような気にもなった。


 アゼルバイジャンの、特に装甲車両の被害が大きいように見えた。これは腐敗等による堕落の結果、本格的な陸戦の演習などをしてこなかったからだということだ。

 平地に横一列に並べて止まっていたり、対戦車障害を前に右往左往したり、歩兵を随伴させるべきところで随伴させず対戦車地雷にやられたりと、かなり稚拙な運用が目立った。

 なんだその動かし方は、ほんとうに正規軍なのかと、一部のフォロワーはせせら笑っていた。このままいけば、アルメニアが防衛成功するだろうと。


 一方で、アルメニア側は昨年のロシア主催のタンクバイアスロンで優勝し新型戦車を一両プレゼントされるなど、アゼルバイジャンに比べ練度は高い印象を受けた。

 あくまで一日目だからまだ分からない、という注訳はついたものの、攻撃を仕掛けた側が撃退されるというのは勧善懲悪的で痛快だったのだろう。全体が呆れムードに入っていたように、私は感じた。


 私も、すぐ終わるかもしれないと思いつつ、どこか嫌な予感もしていた。だからだろうか、簡単にではあるが情報をまとめてみた。そのデータが後々どうなるかなんてことは、考えていなかった。





 9/28

 この日は昼の休憩時から確認を始めた。戦争初日はアゼルバイジャンが電撃的に侵攻したものの、アルメニアの防衛を突破するのに手間取り、また防空網も堅く無人機で削る作戦に切りかえたという情報が集まっていた。

 無人機による攻撃というのは以前から議論されてきてはいたが、性能と価格、大きさはトレードオフの関係にあり、未だ難しいというのが主体的な論調であった。なので、タイムラインはアルメニア優勢であるとする雰囲気が強かった。

 それでも、アゼルバイジャンが多くの無人機を運用していることには驚きがあったし、泥沼化を心配する声もいくつか聞こえてきた。アルメニアの対空ミサイルの数は間に合うのかという疑問もあった。

 アルメニアのレーダーが無人機を補足できないという考えは、みな忘れているように見えた。


 外交関係は大きく動いたものの、悪化の一途を辿る一方で改善は見られなかった。ツイッター上でも公式アカウントが非難し合い、両国民は罵倒合戦を始め、眉をひそめるような言葉も飛び交った。


 夕方、アゼルバイジャンが無人機の映像を公開していた。次々と撃破されるアルメニアの対空車両……タイムラインでは白熱した議論が繰り広げられたが、およそ正解と思われる説が出てくるまでに、そう時間は要さなかった。

 アルメニアはドローンを補足できるレーダーをほとんど持っていない、というのが大方の見解だった。


 ドローンは小型ではあるものの遅く、レーダーに捕捉されやすい印象を受けるが、実をいうとかなり補足されにくい部類の航空機である。

 レーダーは電波を放出し、それが返ってくるまでの時間、角度、強度を計算することで、航空機の位置と速度、飛行方向を知るものである。

 この生データにはクラッターと呼ばれる、鳥や雲、地上からの雑音が混じっており、使い物にならない。そこで閾値を決めて雑音を無視することで、航空機のみを映している。


 ドローンの大きさではこのクラッターに紛れ込んでしまい、古いレーダーでは結果的に見えないという事態に陥ってしまう。これはステルス機でも同様だ。

 もう少し時代の進んだレーダーであれば、クラッターでも追跡し、速度を割り出すことで航空機か否かを判別するものもあるのだが、ドローンは遅すぎてこれでも補足が難しい。

 プロペラ駆動のドローンなどは、小型でもプロペラが特徴的な反射波を返すので、クラッターと見分けること自体は難しくない。

 なので多少のアップデートでドローンを補足できるようになるが、そのようなレーダーをアルメニアは持っていない。


 これが事実であれば(事実なのだが)、アルメニアはドローンに対して有効な手段が取れないということになる。一部ではこれに加え、隠すものが無い平地に対空車両を置いていたり、早期警戒レーダーと連携しておらず対空車両自身がレーダーを回して位置がバレてしまっている等の指摘があった。

 それでも、占領地の多さは陸上戦力が決めるものである。未だアルメニアは防衛に成功していたし、アゼルバイジャンのドローンはそのうち無くなるだろうと予想された。攻撃に使われているのは、そのほとんどが自爆特攻型のドローンだったからだ。


 アルメニア劣勢は避けられないとしつつ、アゼルバイジャン軍に比べて練度の高いアルメニア陸軍が大敗することは無いだろう、というのがタイムラインによくみられる意見であった。特に、対戦車ミサイル陣地はよく隠ぺいされており、ドローンでは見つけ辛いようだった。

 ただ、アルメニアの前線防空網が壊滅状態に陥ったので、前線は保てないとも言われていた。一方、長距離ミサイルや数少ない高性能な防空システムは被害にあっておらず、アゼルバイジャンも搭載量の多い有人機を使うことはできていないようだった。


 この日の夜には、トルコがアゼルバイジャンに対する支援の姿勢を明らかにし始めた。シリア人傭兵を多数、送り込んでいるという話もあった。また、パキスタンがアゼルバイジャンに支援しているという情報も流れた。

 陸上戦闘ではアゼルバイジャンが、強力な面制圧兵器ではあるものの射程の短いTOS-1を投入し突破を図るも、ナゴルノカラバフの境界線から数キロ進んだところで膠着状態に戻った。


 一日であまりにも多くの出来事が起き、また多数の考察が流れ、その全てを把握することは困難であった。それでも私は、ツイッターを流し読みするだけの人がほとんどであろうと思い、できうる限り多くの情報を書き留めることに決めた。

 9/27の昼頃までさかのぼり、大まかな情報を、フェイクではなさそうな情報をとにかくメモしていった。私はアラビア語やロシア語はおろか、英語も怪しいのだが、翻訳ソフトというのは便利なものである。

 ついでに、公開することに決めた。無料小説投稿サイトに掲載し、いつだれでも見られるようにした。もともと小説を投稿していた私には、慣れていて手間では無かったのである。





 9/29

 開戦後48時間が経過する。過去の事例から考えると、そろそろ各国が何らかの形で介入を決めるころだ。

 この日は朝に軽く確認をした。主にトルコ、ロシア、国連が動き始めた。全体的に戦争はヒートアップし、また民間人の被害も目立つようになってきた。外交上の進展は、ここまで全て悪化させる方向へ向かっているように見えた。


 アルメニアは対戦車ミサイルを上手く使い激しい抵抗を続け、アゼルバイジャンは無人機で戦車を壊すほか砲撃やTOS-1によるロケット攻撃で突破しようとしていた。

 同時に、対空車両の破壊動画がほとんど上がらなくなってきた。アルメニアの前線の近距離防空システムは沈黙したと見てよいだろうと、私は考えた。ただしS-300などの遠距離防空はまだ健全であり、アゼルバイジャンは航空機を上手く動かせているように見えなかった。

 アゼルバイジャンはここまで一切自国の被害状況を発表していなかったため、計画よりも上手くいってないのだろうと考えた。実際には、紛争が終わるまで発表をしなかった。


 トルコが軍事的に介入しているのが確定となり、またデマである可能性はあるがアルメニアの航空機を撃墜したという報告があった。





 9/30

   アゼルバイジャンが一日中激しい攻勢を続け、両軍に大きな被害が出た。民間人にも被害が拡大し、都市が標的にされることもあった。アゼルバイジャンの無人機はかなり奥深くまで入り込んでいると、私は考えた。

 外交関係では、トルコとロシアが積極的に動いていた。トルコは大々的かつ直接的に介入することを決めたようで、今後ますます戦火が広がるだろうことは容易に想像できた。

 特に、ドローン調達のために輸送機がイスラエルへ向けて飛んだことで、戦争は長引き、かつアゼルバイジャンがイニシアチブを握り続けるのは確実視された。

 新規調達ができないという前提の下では、アゼルバイジャンのドローンはそのうち無くなるだろうという予想は当たっていたのだ。


 また、アゼルバイジャンが空軍司令部の権限をトルコに引き渡したのも、タイムラインをざわつかせた。


 長引きそうなので、私は辟易した。情報をまとめ始めたはいいが、あまりにも量が多かったのだ。仕事をしながらまとめるには辛い量だった。効率的に情報を集めるやり方を模索することにした。





 10/1

 フランスが国内のアルメニア人のために、トルコを非難し始めた。アルメニアの強みの一つに、世界中に散ったアルメニア人グループが活動していることがあげられる。ロビー活動ではアルメニア人が有利だ。


 だが実際の戦闘が起きているのは、ナゴルノカラバフである。アルメニアの公式アカウントは強気な発言を繰り返していたが、総合的に考えると苦戦しているように見えた。

 初期からだが、対空システムは大量の無人機に対応しきれていない可能性があるとされ、戦線は押し込まれているように見えた。アゼルバイジャン軍の被害が目に見えて少なくなってきたのも、このころだ。


 フランスなどのジャーナリストが負傷し、それぞれの国がどう出るかが注目された。実際には、そのために行動を起こした国はいなかった。

 次いで、ロシア、フランス、アメリカによって即時停戦を促す声明の準備が開始された。いや、開始されたのはもっと前かもしれないが、とにかく国際社会が更に一歩踏み込んで介入しようとしていた。

 元々トルコと仲の悪いギリシャが、トルコを非難した。これが原因でギリシャとトルコ間の紛争が始まることを懸念する声が多くみられた。

 イランをはじめとした四人の独裁者が、アルメニアを非難した。ただしイランは、ドローンによる数度の領空侵犯や誤射などを受けていて、アゼルバイジャンも非難している。





 10/2

 ギリシャとトルコが偶発的な戦闘を避けるため、軍事ホットラインをつなぐと決定した。これにより、大国同士の戦闘の懸念は低下した。

 ついに、アルメニアの首都上空に無人機が現れた。防空網は虎の子のS-300以外無いも同然だと考えられた。少なくとも、穴だらけになっていたのは確実だ。


 アメリカ、フランスは昨日とは打って変わって静かだった。声明の準備に忙しかったのかもしれないが、トルコとロシアによる援軍や物資輸送の話も途絶えたため、各国慎重に出方を伺っているように見えた。

 アルメニア、アゼルバイジャン両国短距離弾道ミサイルによる応酬を始め、民間人にも多数の被害者が出た。





 10/3

 戦争開始から一週間が経ち、私は終結を強く望んだ。残念ながら、終わる気配はなかった。

 午前中の情報は少なかったが、常に戦闘は続いてたようだ。


 アルメニアは日本にも援護を要求した。アルメニア派からは期待の声が上がったが、この後日本から具体的な関与は終戦まで一切なかった。


 YouTubeにシリア傭兵の証言がアップロードされた。本当にシリア傭兵であるかは疑念の余地があるものだったが、シリア系の顔立ち、訛りであるのは確かだとされた。

 パキスタンが参戦という噂が流れたが、これは先にインドのメディアが「パキスタン軍がナゴルノカラバフで戦っている」と報道したもので、パキスタンは関与を否定している。

 ただしパキスタンがアゼルバイジャン側についているのは確実であり、インドはアルメニアに間接的な支援を10/1の時点で行っていたようだという情報も一緒に入ってきた。パキスタンがアゼルバイジャンに間接的な支援を行っている可能性は十分にあった。


 捕虜の話が初めて出てきたので、日本ツイッターではそこに焦点が向いた。10/2に出た画像の中に、一列に並べて処刑した可能性が高いと思われるものがあった。どちらの国も捕虜の画像や動画はほとんど公開しておらず、両軍の間で戦争犯罪が蔓延している可能性があった。

 民間人の避難は進んでいるように見えた。


 アルメニア軍の被害が少し減り始めているように見えた。反撃が弱まっているか、アゼルバイジャン軍が慎重になっているものと考えた。ただ、ドローンによる爆撃は続いていた。

 攻撃は主に軍事施設に対してではあるが、町や村への砲撃が目立つようになった。アルメニア軍の伏兵がいるかもしれないから、という理由で終わる話ではあるが、もし故意に民間人を狙った場合は戦時国際法違反となる。


 一週間という時間がたち、日本にも要請があったという事で多くの人々が注目し始めた。

 関心が持たれるのは良かったのだが、同時に日本語で調べるには雑音が増えすぎ、日本人有識者やミリタリー・政治オタクによる翻訳と注訳を経た情報ではなく、英語やアラビア語の一次ソースに頼らざるを得なくなった。

 ここからは自力で翻訳しなければならかったので、大変だった。





 10/4

 この日も朝から情報が続々と集まってきていた。アゼルバイジャンがマタギスという都市を占領し、改名するという話と、ロシアは「平和維持軍は紛争当事者双方の合意がある場合のみ展開可」という声明を出したという話だ。

 ロシアが直接介入に否定的な結論をくだしたため、アルメニアの旗色が悪くなった。とともに、この日の前後から第一次カラバフ紛争におけるアルメニア軍の悪行も話されるようになり、一部では呆れのような感情が広まったように思えた。


 無人機による攻撃に加え、歩兵や砲兵を主とした激しい戦闘が目立った。

 アルメニア、アゼルバイジャン共に市街地へ砲撃を行い、非難されていた。これは明らかにジュネーブ条約違反、ウィーン条約違反である。特にアゼルバイジャンは短距離弾道ミサイルのクラスター弾頭を市街地に使用したとのことで、日本では一時的に非難感情が高まったが、クラスター弾を禁止するオスロ条約には批准していないことが分かると下火になった。





 10/5

 アゼルバイジャンはゆっくりだが、進撃を続けているように見えた。イランは度重なる誤爆と無人機の領空侵犯に怒っているようで、アゼルバイジャンとの国境沿いに戦車だけでも200両を配備したようだ。私はこれがパフォーマンスであることを祈った。


 アルメニアがミンゲチェヴィルとその都市のダムに攻撃をしたと、アゼルバイジャンが主張した。ミンゲチェヴィルで三回の爆発音が確認されているため、これは本当である可能性が高いが、逆にダムへの攻撃はフェイクである可能性が高かった。これは多方面で議論を呼んだが、恐らくフェイクであると結論つけられた。

 ダムに飛んできたのはスメルチ多連装ロケットとのことで不発弾の画像もアップロードされていたが、ナゴルノカラバフの外縁部から撃ったとしても射程が足りない(ミンゲチェヴィル自体に撃ち込まれたのはトーチカU短距離弾道ミサイルであるため、こちらは射程が足りる)。さらに刺さった場所が異様にきれいなこと、スメルチではダムを破壊するのは相当難易度が高いことから、そんな無駄なことはしないだろうというのが理由だ。

 また、これは後で分かったことだが、ダムに刺さっていたと主張されたのは弾頭ではなくロケットブースターで、これ自体は地面に非常にきれいに刺さるらしい。なのでアップロードされた画像は、画像としては矛盾なく成立していた。当然だが弾頭はブースターよりも遠くに飛ぶので、仮に本当に突き刺さっていたのだとしても、攻撃は別の目標を狙ったものである。

 ではなぜアゼルバイジャンは嘘をついたのかというと、フォロワーが出した答えは、アルメニア本土進攻の正当化であった。そうでなくとも、戦後処理を有利に働かせる目的があるのではないかと。

 その目標が達成されたかを知るすべはなかったが、返礼のように短距離弾道ミサイルやロケットによる市街地への攻撃は続いた。


 夕方、ナゴルノカラバフ国防軍が誤って戦況図をアップロードしてしまった。画面の端にちらりとホワイトボードが移っただけだが、見る人が見ればおおよその状況は分かってしまうものだった。

 戦況は前々から推測されていた通り不利で、陣地の形はソ連式そのものだということだ。


 イランの村が誤爆され負傷者が出たとのことで、一時緊張が高まった。朝の情報も合わせ、いよいよイランが攻撃するのではともささやかれた。


 NATOがトルコに戦争をやめるよう呼びかけ、米仏露はこの戦争についての声明を発表する準備を進めているとの情報が入ってきた。またアルメニアから働きかけられたイスラエルが、アゼルバイジャンへの武器輸出停止をちらつかせる場面もあった。イスラエルの自爆特攻ドローン「ハーピー」、「ハロップ」は猛威を振るっており、これが無くなればアゼルバイジャンのドローン戦力は半減する。外交的に大きく動いていた。





 10/6

 イスラエルが近日中に、アゼルバイジャンへの武器輸出を停止するとアルメニアが発表した。


 アルメニアが戦術的撤退を行い、大量の戦車その他車両、砲、弾薬などを放棄、アゼルバイジャンが占領した。これで敗色濃厚だとする意見が一部で持ち上がったが、すぐにアルメニアが撤退地点に砲撃を行い、アルメニアの評価が上がった。


 アルメニアが善戦していたが、これは悪天候でドローンが活躍し辛かったためである。小型で軽いドローンは、天候の影響を受けやすい。

 代わりと言わんばかりに、アゼルバイジャンによる市街地砲撃が執拗に行われていた。慢性化してきたとも言える。


 徴兵されていたアルメニア人サッカー選手が戦死したとのことで、スポーツ界にもこの戦争に対する認知が広まった。


 トルコ外相がアゼルバイジャン首相の元を訪問した。また、この戦争によってイスラム過激派がロシアやトルコに引き込まれているとロシアが警告した。





 10/7

 トルコが2000人のシリア傭兵を派遣との情報があり、タイムラインで一時話題になった。

 アルメニアは相互譲歩の用意ができていると発表したが、アゼルバイジャン優勢の中、効果があるとは思えなかった。


 アゼルバイジャンが、アルメニアがパイプラインを攻撃したと主張した。

 しかし使われたクラスターの子弾がイスラエル製のもので、アゼルバイジャンの自作自演ではないかと指摘された。そもそもパイプラインは地中に埋まっており、クラスター爆弾では破壊できない。


 ドローンの活動が弱まりアゼルバイジャンが慎重になったせいか、正面きっての戦闘は減り、代わりに砲撃の頻度が若干増した。いくつもの砲撃の情報が入るため、情報が錯綜し、そのため恐らくだが全てを追えなかった。

 アゼルバイジャンによるプロパガンダは激しさを増し、ついに日本ツイッターにまで出張ってきた。

 アゼルバイジャン工作員が「昨日のアルメニアの領土からのアゼルバイジャンへの水力発電所を含めた民間インフラへの攻撃は、人道的災害につながる可能性があり、ジュネーブ条約に反する。第三者が介入しないとお手上げである。」という文章を投稿した。

 これの効果は無いどころか、逆効果であるように見えた。「暇なのか」「調子に乗っている」という声も聞かれ、二日もたたずに相手にされなくなっていた。


 プーチン大統領が停戦を呼びかけた。アルメニアがCSTO(集団安全保障条約)の加盟国であることに触れ、ロシアは義務を履行するつもりだと発表。だが同時に、ナゴルノカラバフへの攻撃では義務は発生しないとした。




 10/8

 ロシアに続きEUも停戦要求を行った。


 アゼルバイジャンの空港にF-16が配備されているとの情報が、衛星画像付きで出回った。しかし機体の大きさはF-16より小さく、真偽は不明である。機体の大きさの算出方法も、隣に駐機している輸送機の大きさと比べたものであり、評価に困る情報だった。


 この日は全体的に、アルメニアが活発に反撃を行っているように見えた。しかしドローンが活発化する時間帯は戦闘を控えているようで、戦線は押されている。

 同時にドローン対策に偽装網を展開し始めたが、赤外線対策はされておらず、効果は不明。


 カナダが、トルコをNATOから追放するべきだと主張した。

 また、OSCEが人道的停戦を提案、赤十字は準備ができていると発表した。

 これら一連の動きに、停戦への期待が高まった。


 聖ガザンチェトソッツ大聖堂がアゼルバイジャンの砲撃に晒され、部分的に倒壊した。アルメニアに行った人たちからは、残念がる声が多く聞かれた。




 10/9

 聖ガザンチェトソッツ大聖堂に爆撃が行われ、この攻撃により戦争写真家とロシア人ジャーナリスト二人の計三人が負傷、うち一人重症となった。

 これによりロシア介入を予見する声が散見された。


 アルメニアのトール地対空ミサイルがドローンに撃破され、その理由の考察が飛び交った。ドローンを撃墜できるはずのトールがなぜ破壊されたのか、である。

 だがこれは、トールが弾切れにより後退したところを狙われたことが分かると、鎮静化、またはレーザー兵器の話題に移っていった。


 ロシアが仲介に入り、アルメニアとアゼルバイジャンが和平交渉に合意し、この戦争を知っているものは大きく取り上げていた。戦争が終わるのだと、大多数はこの情報を歓迎した。

 私も交渉が無事終わり、停戦が実現することを願った。それからも後述するように戦闘は続いたが、この日は幾分、胸の中にあるわだかまりの重さが軽く感じられた。


 アルメニアのTOS-1がドローンに撃破されたことでTOS-1を投入したことが確認され、これにより両国がサーモバリック弾薬を使用する面制圧兵器を使用した初の戦争となった。


 ジュネーブで今戦争についての会議が行われたが、アルメニアは不在であった。

 同時に、アメリカのドローンがナゴルノカラバフを監視していることが、航空機追跡システムflightradar24により判明した。実際は朝方や昼頃から、もっと言えば別の日も飛んでいたと思われる。


 22:30頃より、モスクワでアゼルバイジャン、アルメニア両国の外相による和平交渉が始まった。この間も、アルメニアのS-300が撃破されている。





 10/10

 トルコ首相がアゼルバイジャン国内にトルコ軍のF-16が駐留していることを認め、これによりタイムラインには冷笑が広まった。軍事活動はしていないと主張していたが、信じているものはいなかった。


 アゼルバイジャンがS-300を使いロシア戦闘機を迎撃、戦闘機はこれを回避したとの噂が入り、ファクトチェックはされていないとしながらも、和平交渉中の出来事だったため一時緊張が走った。


 9:10頃、両国がモスクワで停戦合意。捕虜と遺体の受け渡しを条件に12:00からの停戦が決まり、この間に更なる和平条約の取り決めが進められる。10/10の0:00から有効とされた(発表時点で効力がある)。

 この後、戦闘に関する情報は12:05まで途絶える。恐らく両軍戦闘を中止した模様。


 12:05、アゼルバイジャン軍が攻撃を再開したとアルメニア側が発表した。私を含めほとんどの人が油断していたため、反応は遅れ気味だった。

 最初はアルメニア側のフェイクだとする意見もあったが、時間が経つにつれて戦闘は継続しているとの情報が蓄積され、ファクトチェックでも事実が確認された。

 なぜ再度攻撃が始まってしまったのかについて、アゼルバイジャンのアリエフ大統領が要衝のハドルート市を占領できていないのにもかかわらず奪還したと宣言してしまったため、それの尻拭いで停戦後も戦闘させられているという可能性が議論されていた。

 ただし実際の停戦までには数時間から数日を要する場合もあり、様子見が必要であった。また、公式に破棄されたわけでもないため、まだ悲観的になる必要はないとされた。

 しかし停まるようにも思えなかったため、私は肩を落とし、一度完結させた戦争の実況を再開せざるを得なかった。


 アゼルバイジャンのツイッターアカウントが、停戦が決まったにも拘らずアルメニアの戦車が撃破される映像を投稿した。

 アルメニアも短距離弾道弾でアゼルバイジャンを攻撃したものとみられる。


 アルメニア、アゼルバイジャンともにツイッター上で、相手が停戦合意を守っていないと非難しあった。

 また、イランが現状を確認するためロシアに連絡を取っている。ドイツは慌てた様子で、EUとしてアゼルバイジャンに圧力をかけると発表した。困惑したのはツイッターだけではなかったようだ。


 停戦合意から八時間後、アゼルバイジャンのアリエフ大統領が声明を出す。「停戦は平和を意味するのではなく、人道上の理由でとられた一歩に過ぎない。アルメニアは人道的停戦を懇願していた。これは一時的な停戦であり、アゼルバイジャンは引き続き領土保全を確保する」という内容で、先の停戦合意は事実上破棄されたと言える。

 また、これに引き続きアゼルバイジャン外相が、まだ停戦の条件がそろっていないため停戦されていないと主張した。


 対抗するようにアルメニアが戦意高揚PVを流し、同時刻、アゼルバイジャン外相は停戦が維持されない場合は戦闘を再開すると警告した。

 何をいまさら、という声は散見されたが、大多数が気づいたのはこの時刻であり、それどころではなかったようだ。


 たったの五分で停戦が破られたことに気が滅入ったが(実際には一周回って笑ってしまった)、赤十字が戦地に入り停戦のために活動を開始したのは一歩前進した点であった。

 そのほか戦況は、アゼルバイジャンがハドルート市を占拠間近になるまで押していた。また、無人機が活発に動き、アルメニアの損害が増えていた。


 あまり期待はしていなかったが、実際の停戦までには数時間から数日を要する場合もあるという話を聞いて、ちゃんと停戦が実行されることを祈った。




 10/11

 早朝からアゼルバイジャンの特殊部隊がハドルートの町に突撃し、市長が銃を持って戦う激しい戦闘になっていた。

 各所に砲撃が行われる中、地域によっては白旗が掲げられ、人道的停戦により遺体を前線から運び出す作業が始まっていた。

 私はこの情報に一抹の歓喜を覚えた。戦闘は続いているものの、赤十字は拒否されることなく、しかるべき場所でしかるべき仕事を行っているのだ。


 アルメニアが、無人機は人道的貨物を装ってトルコとイスラエルからアゼルバイジャンに持ち込まれていると批判した。その可能性はあったが、しかし確認する手段も無いため、アルメニア側の人たち以外ではほとんど話題にならなかった。

 同時刻、アルメニアがトーチカU短距離弾道ミサイルでガンジャ市を攻撃した。この攻撃では民間人に多数の被害者が出たため、アゼルバイジャンはアルメニアを激しく非難した。

 本来であればまた国際法の話で盛り上がるところなのだが、一度停戦に至ったためなのか、それとも皆疲れているのか、小規模の批判だけで終わった。話している人が減り、ノイズが少なくなっていったのもこのころである。


 アゼルバイジャンは比較的狭い地域に砲撃を集中させ、アルメニアは広い範囲に砲撃していた。

 外交は沈静化していた。各国突然のことで準備ができていなかったのだと思われた。





 10/12

 トルコによりシリア傭兵400人が前線に投入された。必要数が増えたのか減ったのかは誰も分からなかったが、嘘をついて傭兵を集めていたトルコの動きがばれ、傭兵が集まらなくなっている可能性は示唆された。

 ステパナケルトとハドルート市に激しい攻撃が加えられ、特にハドルート市は占領されつつあった。ハドルート市の破壊された住宅は、ハドルート全体の半数に上るとされた。


 ロサンゼルスでアフリカ系アルメニア人による大きなデモが起きた。これにより、大統領選中ということも踏まえ、アメリカ介入を望む声が多く上がった。


 S-300が撃破され、アルメニアの防空網に大きな穴が開いた。また、アゼルバイジャン軍のSu-25攻撃機はトルコのF-16戦闘機にエスコートされて活動中との情報も入った。アルメニアはそのSu-25を一機撃墜したと発表した。

 有人機が飛べるようになれば、さらに被害は増えていくだろうと思われた。


 アゼルバイジャン軍がハドルート市の四方の丘を占拠する作戦に出た。補給路を断つ算段だと考えられた。





 10/13

 アゼルバイジャンのフェイスブックユーザーがアルメニアの戦死者リストから遺族を特定、嫌がらせを行った。あまりにも心無い行為だと、各所で非難の声が上がった。

 アルメニアのハッカー集団からのサイバー攻撃により、アゼルバイジャンの銀行は計10時間のシステムダウンを強いられていた。

 軍民合わせたサイバー、プロパガンダ戦が展開されていた。


 アルメニアが前線に展開させたS-300が二セット破壊され、残り一セットにまで消耗した(S-300本体だけではなく、レーダーなどを含めて一セット)。

 イスラエル最高裁がアゼルバイジャンへの兵器販売を禁止するよう求める要請を「無人機による戦争犯罪の証拠がない」として拒否した。この判断に、タイムラインでは失望の声が上がった。


 アルメニアがロシアとベラルーシにて900人規模の軍事演習を開始した。かなり強烈なメッセージであるとともに、アルメニア軍の精強さをうかがわせた。

 合同軍事演習の隠れた内容は、それ以上、ないしアルメニア本国に手を出した場合はCSTOが介入するということだと思われた。


 駐バクーのイラン大使が「イランにはアゼルバイジャンとアルメニアの交渉円滑化に向けた用意あり」と発表した。

 イランがアゼルバイジャンの無人機を撃墜した。使われたのはアブトバザELINT・ジャミングシステムと見られている。過去にアメリカのRQ-170無人偵察機を鹵獲したときにも使われたシステムだ。





 10/14

 アゼルバイジャンがアルメニア領土内のターゲットに攻撃したと戦争始まって以来初めて認めた。一応重要な局面なのだが、今更過ぎてスルーされていた。

 イランのアカ・アリロウ村の農地にロケットが着弾。これでイラン国内に誤射された砲弾やロケット弾は50発に上った。


 カナダがトルコへのドローン技術の輸出を停止した。これによりトルコのドローン、バイラクタルTB2は重要な部品の供給を失うこととなる。


 OSCE(集団安全保障)は段階的な占領解除を提案。また、ロシアはロシア軍の平和維持部隊員をナゴルノカラバフに派遣することも提案した。


 アゼルバイジャンはハドルートの東の尾根を確保。ただ、戦闘自体は少しずつ沈静化してきているとの報告が上がっていた。

 ロシア軍がアゼルバイジャンに送られるであろうシリア傭兵の養成キャンプに大規模な空爆を行った。

 先日から、実際は停戦を蹴られた瞬間から、ロシアの動きが激しくなっていると思われた。


 ナゴルノカラバフはアルメニアの領土であるとフランスが決議した。これにより、フランスの外交的介入が予測された。


 この時点で、ステパナケルトには600発の不発弾があるとされた。イギリスの不発弾処理団体HAROが現地に入っていたが、すべて取り除かれるのは何年後になるのか分からない。

 アルメニアはS-300だけでなく、短距離弾道ミサイルシステムにも被害を負っているようだった。防空網には大きな穴が開いていると推測された。





 10/15

 カナダでアルメニア人によるアゼルバイジャン、トルコ人への攻撃があり、ナゴルノカラバフ外でのエスカレートが危惧された。

 アルメニアの商店でトルコの製品が撤去されつつあったが、今更なのかと不思議がる声が多くみられた。


 ハドルートが包囲されつつあり、陥落は時間の問題に思えた。ジオロケーション情報を見ると、補給すら難しい状況に思えた。

 ステパナケルトで砲撃の無い時間が初めて24時間を記録した。気づいてる人はいないように見えた。


 フランス、カナダ、ロシア、スウェーデン、オランダからの人道援助がアルメニアに到着した。これにより、カナダ、スウェーデン、オランダなどもアルメニア寄りであることがはっきりした。

 アメリカも100トンの人道支援物資を送っているのだが、トルコが通過を禁止したため輸送が延期された。


 オーストリアはトルコの軍事介入に対して非難決議を採択した。

 アゼルバイジャンが捕虜を処刑する動画が出回り、ジュネーブ条約違反であると非難の声が上がった。


 ハドルート陥落の報が上がる。この時点では不確実な情報だった。





 10/16

 イランで流れ弾により住民が一人負傷した。イランはいらだっているように見えていたため、イラン参戦の声が散見された。

 イタリアのミラノ市がナゴルノカラバフの独立を承認し、驚かれていた。


 アゼルバイジャン側が、アルメニアの捕虜を処刑したり生首を掲げている画像を公開していた。あまりにも残酷で、気分が悪くなった。


 アゼルバイジャンがハドルートに侵攻、中心部を制圧したとの報が入った。

 アゼルバイジャンのアリエフ大統領が、ナゴルノカラバフの全てを取るまで戦争は終わらないと主張し、挑発的な発言に驚きと呆れの声が多くみられた。


 周辺国が軍備を整え始め、またロシアは空軍を中心に訓練を多くやっているように思えた。たまたまそういったことが重なっているのか、それとも備えているのかは分からなかった。

 一方、市街地への砲撃は少なくなったように見えた。






 10/17

 アメリカの外交委員会はトルコがロシア製長距離対空ミサイルS-400を試射したことも含め、トルコに制裁を科すようトランプに進言した。この動きに、間接的な停戦への期待が高まった。

 アルメニアが紛争解決に向けた協力をロシアに再度要請した。


 アルメニアのSu-25攻撃機がアゼルバイジャンの防空網により撃墜された。前から似たような事例は報告されていたが、明瞭な画像が出たのはこれが初めてであった。

 シリアからアルメニアに「謎の」飛行機が着陸した。


 アゼルバイジャンがアルメニアのS-300長距離防空システムを無人機で撃破した。撃破されたS-300は偽装がされておらず、またUAV未対応のシステムだった可能性もあった。

 アルメニアは防空戦力、対航空能力の戦術に難があるとみられた。


 アルメニアの首都エレバンで戦闘機の音が聞こえたとの報告があった。恐らくロシアのMig-29で、ついにロシアが動いたかと憶測するツイートが散見された。


 アゼルバイジャンが戦車の撃破映像を出してこなくなった。代わりにロケット砲やジープ、生身の人などの撃破映像を多く流している。アルメニアの機甲戦力が壊滅したのかもしれないと噂されていた。

 この前の日も、旧式のT-55が展開しているのではという話がなされていた。筆者もその映像を見たが、確かにT-55に見えなくもない。

 ナゴルノカラバフはしばらく晴れが続きそうなので、その間アルメニアは苦しい戦いを強いられることになるとされた。もっとも、すでに無人機がいなくとも苦しい戦いになるレベルまで戦力が減っているのは確実であったが。


 この日を境に、アゼルバイジャンは戦車以外、特に生身の兵士を無人機で攻撃する映像を多くアップロードするようになった。それと同時に、私が今までいかに興奮した状態であったかを思い知らされた。


 私は当事者ではない。7800km離れた位置から、SNSを介して間接的に戦争を見ている、いわば観測者である。

 ゆえに、人生初めての生の戦争、とりわけ最新の戦争であることに、残念である気持ちやそこはかとなく伝わってくる痛みに同情し共感する気持ちもあったが、知的好奇心をふんだんに含む興奮を覚えていた。

 それはどうやっても、無くなることは無い。今後の世界情勢や戦争を推測するうえで重要な一要素として機能するから、この興奮無くしては観測の意味が半減してしまう。

 いやそれもただの言い訳なのかもしれない。辛かったのは確かだから、単に自己防衛反応としてアドレナリンが出ていて、勘違いしたのかもしれない。

 だから、この興奮が恥じ入るべきものなのかどうかも分からない。ただ、私の戦争実況が多くの人に読まれていることで興奮していたわけではないと、断言させてもらう。

 一つ確実に言えるのは、私は良くも悪くも人であるということだ。


 熱いものに冷水をかければ一気に冷えるように、私の興奮はバラバラになって吹き飛ぶアルメニア兵士たちを見て、委縮した。

 前述したように興奮が冷めきることは無いが、それまでよりもずっと冷静になった。

 罪悪感と申し訳なさが勝り、戦争というものをそれまでよりも深く理解したからだと、勝手に解釈している。


 だがこの感覚は、観測を続けるうちに薄まっていくこととなる。理由は一つ、慣れたからだ。




 10/18

 フランスのリモーネがアルツァフの独立を認めた。前のミラノが認めた件よりも大きく取り上げられ、また驚かれていた。ただし、少なくとも欧米諸国ではよくあることのようだ。


 現地時間零時、日本時間で午前五時に二度目の停戦合意が行われたが、四分で破られた。アルメニアが、アゼルバイジャンはナゴルノカラバフに5:04~7:45に北側に、7:20~7:45に南側にロケット弾を発射したと主張した。

 アルメニア軍は潰走状態に陥り、アゼルバイジャン軍は、特にイラン国境沿いは抵抗なく進行しているようだった。


 二度も停戦が破られたことに、怒りたいやら情けないやらといった感情が渦巻いた。一回目はただ驚くだけで次の情報に押し流されたのだが、今回は違った。

 バカバカしくて実況をやめてやろうかとも思ったが、それが許される状況はとっくの昔に終わっていた。

 私は二度目の停戦破棄という情報がフェイクでないことを確認するためにツイッターの画面を何度もスクロールし、そのうち諦めて次の情報を集める作業に移った。





 10/19

 ハドルートとフュズーリーを占領したアゼルバイジャン軍が合流、包囲されたアルメニア軍は消滅したとされた。

 また、アゼルバイジャンが大攻勢をかけ、南部を西側に前進。この時点で少なくともナゴルノカラバフの7.9%を占領した。


 アルメニアのサッカー選手がまた戦闘で死亡した。これに反応した顔ぶれは依然と似ているように思えた。

 アルメニアが女性のみで構成される部隊を構築した。士気の上昇には役立ちそうではあるが、戦争犯罪が蔓延していると思われる状況で投入するのは避けるべきだという意見が多かった。


 イランは「国境でイランに対する攻撃があれば、たとえ間違いであったとしても応える準備ができている」とけん制した。

 パリの市長が「カラバフの独立を認めることがア・ア戦争の唯一の解決策ならば、承認を躊躇するべきでない」と発言した。


 先日トルコ領空通過を拒否された、人道支援物資100トンを積んだアメリカの飛行機がアルメニアに到着した。

 ギリシャがS-300長距離防空システムの試験を発表。トルコのS-400試験に対抗してのことだと思われる。面白いことに、どちらもロシア製の対空ミサイルだ。


 アゼルバイジャンは夜までに、ステパナケルトまで32kmの距離に接近した。


 アルメニアは潰走中と見られた。トルコは着実にNATOから離れる動きを取っているが、実際には追い出されなかった。

 戦地では放し飼いの豚が遺体を食べてしまっている。画像や動画も流れた。早急な停戦が必要であった。





 10/20

 この日は、アルメニアの首相とアゼルバイジャンの大統領がモスクワで会談をする予定である。


 トルコをNATOから追放する決議が米国下院に提出された。黒幕であることはほぼ確定していたため、ツイッター上では全面的にこれが支持された。

 アルメニアのCOVID-19感染者数が一日当たり1200人を突破した。マスクをしないうえ、砲撃を避けるために地下へ避難する生活が長引いているからだと推測された。


 日本時間で午前中まではアゼルバイジャンが快進撃を続け、アルメニアが残していった大量の弾薬や兵器を鹵獲していった。ナゴルノカラバフとイランをつなぐ回廊も占領し、ナゴルノカラバフ地域はロシアからの直接の支援を完全に受けられなくなった。

 しかし車両が入っていけない場所を徒歩で進軍しているようで、今後は補給の問題が顕著になってくると思われた。


 アゼルバイジャンがゼンギラン市に到達との報があった。これが本当なら、ナゴルノカラバフのイラン国境沿いはほとんど占領したことになる。


 アルメニア軍の反撃が成功、アゼルバイジャン軍を分断したと発表された。しかし真偽は不明であった。

 事実であれば、ある程度持ち直したものとみられる。





 10/21

 アルメニア外相がロシア外相と会談した。時刻は不明。

 ナゴルノカラバフとアルメニア本国との間にロシア国旗が掲げられた。ロシアによるけん制である。


 アルメニア駐留ロシア軍が、クラスハ4対ドローンシステムによってアゼルバイジャンのバイラクタルTB2無人攻撃機を48時間で9機撃墜したと明かされた。

 ロシアの爆撃機がシリア傭兵育成キャンプに大規模な爆撃を行った。

 そのほかにも、アルメニアの空軍基地にロシアのMig-29が13機、駐機していることが衛星画像から判明した。この日はロシアの動きが激しかった。


 アルメニア、アゼルバイジャン両政府がモスクワで和平会談を行う意思を示し、戦争解決の為にアメリカのワシントンにて双方が駐米大使と10/23に会談することも決定した。

 停戦への期待が高まったが、またすぐに停戦破棄するとの見方も強かった。


 町に落ちたスメルチロケットの尾部を車に乗せて遊んでる市民の姿が撮影されていた。

 アルメニアでは昨日から偽装網作りが行われていた。赤外線暗視装置などを持つ無人機にどの程度有効かは分からなかったが、少なくとも発見されにくくはなると思われる。





 10/22

 アルメニアとステパナケルトを結ぶ高速道路まで25kmの位置にアゼルバイジャンが進軍、ナゴルノカラバフの9.5%を占領した。

 トルコがアゼルバイジャンへ正規軍派遣を示唆した。また、アゼルバイジャン軍はアルメニア国境まで3kmの地点まで進行したものと思われる。


 アルメニア、アゼルバイジャン両国の駐日大使が記者会見、双方非難し合った。

 オーストラリアのニューサウスウェールズ州、カリフォルニア州ファウラー市がそれぞれナゴルノカラバフ(アルツァフ)の独立を認めた。


 明日明後日にはアルメニアとステパナケルトを結ぶラチン回廊が占領されるだろうと、私は予測した。

 ロシアは昨日から引き続き活発に動いていた。






 10/23

 アゼルバイジャンはラチン回廊から10kmの地点まで進出した。

 アルメニア軍は地理的優位を取れる森林の中へ後退、アゼルバイジャン軍はアルメニア軍のいない平地を進んでいた。

 しかしこの後は山岳地帯や森など攻撃の難しい地形へと進まなければならない。ここ三日、森林地帯では無人機の攻撃も上手くいっておらず、どころか落とされ始めていた。


 アゼルバイジャン軍に対ゲリラ戦の知識や経験があるかは分からなかったが、アルメニア兵は元々山岳地帯での戦闘が得意であり、アゼルバイジャンが手打ちにしないのであれば、この戦争は長引く可能性もあるとされた。


 プーチンは「我々の分析によると死者数は合計5000人近い」と発表した。


 アルメニアの学生達が、街頭で柿を売って集めたお金を前線の兵士のために募金していた。一方アゼルバイジャンでは100万円を軍に寄付した人がバズっていた。





 10/24

 10/24から27日まで、15人のフランス代表団がアルメニアとナゴルノカラバフを訪問するとされた。


 南方前線において突出したアゼルバイジャン軍の分断が成功した結果、アゼルバイジャン側の大隊一つと9つの軍用機器を破壊した。とアルメニアが主張した。

 あり得なくはなかったが、どことなく戦果を過大に発表しているように思えた。よしんば事実だとしても、巻き返す力が残っていないのは明らかであった。


 アルメニアは虎の子のSu-30戦闘機を限定的ながら投入しはじめたが、あまりにも遅いというのが大多数の意見であった。

 戦後分かったことだが、この時アルメニアにはSu-30に搭載できるミサイルを購入できておらず、張子の虎であった。そのうち買う予定だったのだろうが、身の丈に合わない装備であるのは確かだ。


 トランプがアルメニア支援の発言を行った。「われわれはアルメニアと連携している。アルメニアと非常に良好な関係にある。とても献身的で素晴らしい人々だ。状況を見守ろう」「米国にはアルメニアからやってきた人たち、アルメニア出身の人たちが大勢いる。偉大な人々だ。われわれは彼らを支援する」

 もう一度アメリカを含めた停戦が期待された。


 トルコの町ジャラブルスで爆発。ロシアの戦闘機もしくは弾道ミサイルによる攻撃ではないかとのうわさだった。


 イランがけん制の声明を発表した。「アルメニアとアゼルバイジャンは対話を通じて問題を解決し、イランのレッドラインを超えてはならない。さもなければ、間違いなく後悔するだろう」

 アゼルバイジャンのアリエフ大統領が「アルメニアが停戦するならば」敵対行為を止める用意があると表明、これには非難が相次いだ。


 ナゴルノカラバフとアルメニア国境南端にロシア軍が出現。アゼルバイジャン軍をけん制するものと見られた。

 ロシア軍が出張ってきたことで、驚くツイートが多くみられた。


 10/9に攻撃を受けた聖ガザンチェトソッツ大聖堂でナゴルノカラバフの兵士が結婚式を挙げた。天井が崩れているので青空結婚式である。

 正直パフォーマンス以外のなにものでもなかったが、暗澹たる気持ちになるニュースが連なる中でこのような情報はオアシスのような存在だった。笑顔が見れると安心する。


 カナダがバイラクタルTB2に使われているエンジンの輸出をストップした。これでアルメニアが持ち直すことが期待されたが、特攻用ドローンではないため損耗は少なく、先にナゴルノカラバフが陥落すると思われた。


 アゼルバイジャン軍はラチン回廊を前にして進めておらず、苦戦していた。前線を下げたアルメニアが防衛網を構築し直したと思われた。ただし、アルメニア軍が瓦解するのは時間の問題であった。

 アルメニアの偽装は下手とされたが、無人機からの確認を遅らせることで攻撃を遅らせたり、撃墜する確率を上げたりしている。森林の中に陣取っているのも大きい。





 10/25

 トルコの無人偵察機がギリシャ及びアルメニア駐留ロシア軍の周りを飛行していた。


 フランスがトルコから大使を呼び戻した。両国はかなり険悪な関係に陥った。

 返す刀で、トルコがフランスを批判している。


 アルメニア砲兵部隊に少年兵が参加しているとと疑いがもたれた。筆者が見る限りは青年に思えたが、日本人の感覚なので見方を誤っている可能性があった。


 アゼルバイジャン兵が負傷したアルメニア兵の頭を撃って殺す動画が出回った。これが本当なら条約違反、戦争犯罪であると強烈に批判されていた。

 このころになると政治や軍事に興味が無い人にも周知されるようになっており、そこへ特別嫌悪感の強い動画が流れてきたため批判する人の数も多かった。


 アルメニアが無人機に苦戦している理由が明らかになった。

 アルメニア側の防空網は古く、低速低高度を飛ぶアゼルバイジャンの無人機をノイズと誤認してしまい撃破され、低高度に弱いS-300が丸裸になり(S-300にも低高度用のレーダーがあるがアルメニアは装備していない)撃破されてしまったとのこと。ソフトウェアをアップデートしていなかったとみられる。

 その点、2020/1/8にイランで発生したウクライナ国際航空752便撃墜事件でも関わった9K330トール短距離防空システムは、アルメニアのはM2KMの新しい型で、他の防空システムに比べて被害が少なく済んでいた。


 ラチン回廊の近くのテグ村にロシア軍が展開。なぜかアルメニア本国国境を越えている。ロシア軍が参戦するという噂まで流れた。

 アゼルバイジャンはグバドル市を陥落させたと主張した。本当であれば南部の大半がアゼルバイジャン占領下に入ったことになる。


 アゼルバイジャンのアリエフ大統領が「アゼルバイジャンは停戦の用意がある。ただしアルメニア側はアメリカ、ロシア、フランスによって決定される方針を支持すると宣言する必要がある」と発言した。


 ステパナケルトでは市民は地下に避難していたが、そのせいでCOVID-19の罹患率が急速に悪化していた。





 10/26

 アメリカはアゼルバイジャンにアルメニアとの停戦体制を受け入れるように促していた。


 アルメニアは自国製の新型無人機をテスト中という報が入った。無人機から送られる画像はかなり鮮明だが、赤外線暗視装置があるのかは定かでなかった。


 フランスに大規模なサイバー攻撃が行われた。トルコの仕業だとする噂が流れた。

 平和的かつ交渉による解決を促進するためのOSCEと、アルメニア・アゼルバイジャン両国との会合が29日に予定された。


 午前五時、アメリカの調停により日本時間で午後一時から停戦合意とされた。アメリカによる停戦ということで非常に大きな期待が寄せられたが、もはやネタとなった高速停戦破棄を予想する声や、アメリカの影響かではないためアメリカだから期待する意味はないとする声もあった。

 アゼルバイジャンはこの時点でナゴルノカラバフの15.2%を占領したとされた。


 13:00、停戦した。


 13:03にアゼルバイジャンが、13:05にアルメニアが攻撃したと主張。要は嘘を吐こうとしてフライングしている。トルコ大統領がアルメニアは停戦を守ってると発表した途端に削除した上、昨日も間違って投稿していたことが判明。13:18に再投稿しているが信頼性は無い。

 当然、散々にこき下ろされ侮辱とバカにする声、または呆れと苦笑の見える反応が多方面から寄せられていた。これには筆者も苦笑いするしかなかった。


 13:45、アゼルバイジャンによる砲撃が行われているとの報告があった。また14:10には、攻撃再開とアルメニアが主張している。

 アルメニアとアゼルバイジャンは、停戦を破ったとしてお互いを非難していたが、今回もアゼルバイジャンからしかけたのは明らかであった。

 ただアルメニア側は挑発に乗らず静かにしていたこともあり、20:00ごろまでは再度停戦状態が維持された。


 アゼルバイジャンはトルコのF-16戦闘機を使用する用意ができていると、アゼルバイジャンのアリエフ大統領が主張した。この発言でF-16が待機していることが明らかになり、今更ではあるが重要な情報として扱われた。


 トルコの支援を受けているシリアの過激派グループに対し、ロシアのSu-24が大規模な空爆を行った。100人以上死亡したとされた。

 トルコリラは暴落中で、トルコが欧米諸国から信用を無くしていた。






 10/27

 アルメニアの首相夫人が、新しく編成された軍の女性部隊に志願した。これは話題になったが、パフォーマンスでしかないとしてアルメニアの劣勢を表すものであると結論付けられていた。


 トランプは「両国停戦を順守している」と語った。情報が遅れているとは考えにくいので、何らかの意図があっての発言に思われた。

 トルコが支援するイスラム過激派集団がフランスを標的にした。ヒートアップが危惧された。


 ナゴルノカラバフの国防大臣が攻撃された。死傷の程度は不明、かつ情報の正確性も不明であったため嘘と断定する人も多かった。また、後日発表された車両の破損具合や攻撃時の映像から、生きてはいないだろうとする声が圧倒的多数を占めた。

 実際には、確かに攻撃されており車両の破損具合も映像・画像の通りひどいものだったが、戦後すぐに復帰する程度であった。


 アルメニア・アゼルバイジャン両国は攻撃し続けられる条件の停戦にのみ合意すると発表した。それは停戦と言わないと、呆れる声が多かった。


 アルメニアの初代首相にして国軍の創設者マヌキャン氏が、パシニャン政権の退陣と軍への権力の全面移譲を要求した。軍事面だけでなく、政治的な面もガタが来ているようだった。

 アメリカが両国に戦闘をやめるよう再度警告した。これはトランプからの発言ではない。


 アゼルバイジャンがアルメニア本国に入ったかは分からなかったが、攻撃を加えているのが半確実的となった。次第に証言や動画が上がり始めていた。ただしファクトチェック済みではないことに注意するべきだと、たしなめる声もあった。

 また、流れ弾が本国に落ちただけという可能性は十分にありえた。実際には、この通りであった。


 フランスは静かだったが、これはCOVID-19に加えてテロの脅威もあり、国外にまで目を向けている余裕はなかったのだと思われた。





 10/28

 アゼルバイジャンは、アルメニアに対するトルコのF-16の使用の開始を発表したとされた。これが本当であれば、トルコ軍が公式に介入することを意味した。


 米下院議員のジミー・ゴメスが、アゼルバイジャンに対するマグニツキー法の制裁を求めた。その後すぐトランプが、停戦が失敗したのは残念だと語った。

 ロシアのプーチン大統領はトルコのエルドアン大統領と会談した。また、イランの副外相はアルメニア、アゼルバイジャン、トルコ、ロシアを訪問する予定だと明かされた。


 トルコがロシアを非難した。アゼルバイジャン大統領は「ロシアの紛争への介入は深刻な結果をもたらす可能性がある」とした。かなり挑発的な態度であったため、ロシアとトルコからの第三次世界大戦までささやかれた。


 アゼルバイジャンがトルコ製自爆ドローンKARGUを使い始めているという報告があった。動画もあり、確定的な情報であった。

 トルコ製ドローンKARUGは、群体で飛行し顔認証により人を見分けて攻撃する自爆ドローンである。小型で破壊力は低いが、生身の兵士たちには大きな脅威となりえる。


 ロシアの動きはほとんどなかった。COVID-19がぶり返してきているため、その対応に迫られている可能性があると言われていた。





 10/29

 28日未明から29日の朝にかけて、フランスでアルメニア人とトルコ・アゼルバイジャン人の対立が激化した。これ以上のヒートアップを危惧する声が見られた。

 アゼルバイジャンが、奪取した地域にトルコがバックアップする武装集団又はテロリストグループのベースを作ろうとしているとされた。これは今後コーカサス地方のテロの脅威を大幅に引き上げることに繋がりかねない。

 トルコはあまりにも無責任だと、非難の嵐であった。


 バイデンはトランプに対し、アルメニアとアゼルバイジャンの指導者と直接交渉するように忠告した。また、アゼルバイジャン軍のナゴルノカラバフへの進出を阻止し、第907条を施行し、アゼルバイジャンへの軍事装備の供給を停止し、トルコとロシアに紛争の煽りを止めるよう求めた。

 バイデンは選挙での不正疑惑の件が記憶に新しい時期であったため揶揄されたが、大方はバイデンとトランプの共闘姿勢ともいえる動きに注目していた。

 らなかったが

 フランスで立て続けにテロが発生した。どこが主導したものか分からなかったが、トルコの可能性が高いと見られていた。


 アルメニア軍が昨夜、反撃に成功してクバドル、サナザール市を奪還したという報告がなされた。しかし、ほとんどの人は疑念を抱いていたようだ。


 アゼルバイジャンがロシアの国境警備隊に4発の迫撃砲を発射したとの報告があり、にわかには信じがたい情報でざわついた。ロシア軍の実力介入も考えられたが、死傷者なしと分かるとみなある程度は落ち着いた。


 アルメニアがアジアおよび周辺地域の中で、COVID-19百万人当たり死亡者数が最も高い国になった。疫病は戦争に関係ないのだと、一部の人は感傷的になっていた。


 山岳・森林地帯でゲリラ戦を展開するアルメニア軍に対し、アゼルバイジャンは特殊部隊を投入、戦果を上げていた。

 しかし全体的に進行は停滞しており、戦線は膠着状態に陥っていると見られていた。進行するにはかなり厳しい地形であることが、要因の一つに挙げられた。






 10/30

 アゼルバイジャン軍はナゴルノカラバフのシュシ市から5kmの位置にいると、ナゴルノカラバフの大統領が主張した。

 シュシの占領はステパナケルトがラチン回廊と切断されることを意味する。また、シュシはナゴルノカラバフ民の精神の拠り所にもなっているため、シュシが陥落したと同時に戦争が終わると予測する声は多くみられた。


 フランスではトルコ系移民が、アルメニア人やアルメニア人の商店などを探して襲撃していた。早く終わらせなければ、民間人によるジェノサイドを引き起こす恐れがあると危惧する声もあった。


 イスラエルで国の半分が停電した。ロシアの仕業とする声が多かったが、イスラエルの停電はイランのサイバー攻撃によるものだとイスラエルが主張した。これにイスラエル電力公社は反論し、過負荷が原因だとした。


 ロシアは、ナゴルノカラバフの周辺の土地を、北側の自治及びアルメニア本国との連絡路の保証を条件にアゼルバイジャンへ返還する用意があると表明した。アゼルバイジャン側に立ったとも言えるこの表明に、アルメニア派は動揺が隠せないようだった。


 トルコ沿岸部でマグニチュード7クラスの地震が発生し、トルコ、ギリシャ両国に大きな被害がでた。民間人を心配する声の方が大きかったが、これを機にトルコが手を引き、連鎖的に停戦へと至ることを期待する声も多かった。


 OSCE、アルメニア外相、アゼルバイジャン外相の会談がジュネーブで開始された。


 アゼルバイジャンは山岳部隊を先頭に進撃を続けているようだった。アルメニア側はシュシとラチン回廊全体で防衛していた。戦線はゆっくりと、アゼルバイジャンが押しているように見えた。

 フランスではテロ攻撃が継続して行われていた。





 10/31

 アゼルバイジャン軍は白リン弾を使用を使用したとアルメニアが主張した。森林地帯でゲリラ戦を繰り広げるアルメニア軍を中々排除できないことに業を煮やしたと見られ、空中で拡散させ大規模な森林火災を誘発していた。

 ただしアルメニアとアゼルバイジャンの武器体系で、空中で拡散するタイプの白リン弾は存在せず、実際にはBM-21グラート多連装ロケットのテルミット焼夷弾だと、有識者が訂正していた。

 白リン弾よりもテルミット焼夷弾の方が国際法に抵触する恐れは高く、なおかつ火傷の度合いはテルミット焼夷弾の方が酷くなりやすい。

 アルメニアが白リン弾だとした理由についてはツイッター上で議論が交わされたが、知名度の高い白リン弾を持ち出すことによりアゼルバイジャンが悪だとする国際世論を作りたかったのだという意見が多数を占めた。


 アルメニアの囚人(凶悪犯ではない)20人が、戦場ボランティアのために釈放を前倒しされた。アルメニアはそこまで戦力が不足しているのかと、嘆いたり呆れたりする声が見られた。


 10/30から行われていたジュネーブでの会議が、日本時間で5時頃に終了した。市民や民間施設を狙った攻撃はしない事などの人道的合意が行われた。しかし、同じく日本時間12:07以降に破られている。

 アゼルバイジャン軍特殊部隊員により二名の老人が処刑される動画が出回った。民間人の可能性もあり、国連によって調査が進められていると発表された。


 アルメニアの首相が、1997年に署名された合意を元に、ロシアによる支援を決定するための協議を即刻開始するようロシアに求めた。

 これに対しロシアは、戦闘がアルメニアの領内に達した場合は必要な支援をすると表明した。


 アルメニアのハッカー集団がアゼルバイジャン政府のメールをハッキングして、同政府の文書へのアクセスに成功したとの情報が入った。現代的だと興味を持つ人もいれば、国としての動きでは無いことに結局は小国同士の戦争だと位置づける人もいた。


 アルメニア軍は森林を使い上手く反撃しているように見えた。アゼルバイジャンは撃って隠れるを繰り返す多連装ロケット砲を追跡し、隠れた先にある支援車両等ごと攻撃する手法を使った。






 11/1

 アルメニアはいくつかの陣地を取り返したと主張したが、プロパガンダだと切り捨てる人もいた。


 アゼルバイジャンのサッカークラブ代表が「私たちはすべてのアルメニア人を殺さなければならない」と発言した。民間人が過激な発言を行ったことに対する驚きの声は大きく、改めて民族問題の深さを感じる声が多くみられた。


 アルメニア側の消防車が無人機に攻撃され、非難する声が散見された。


 アゼルバイジャンは昨日に引き続き森を焼いていた。

 嘘か誠かは分からなかったが、ステパナケルトでは避難所にパンを届けるため、24時間パンを焼き続けるパン屋があるという話を見た。





 11/2

 アゼルバイジャンがザンギラン県の金鉱山を占領した。こちらは欧米にも経済的な影響があるため良い判断だとされなかったが、欧米からの反応は特になかった。


 アゼルバイジャン兵が死んだアルメニア兵の耳を切り落とす動画が出回った。強い非難の言葉が公式アカウントに浴びせられていた。


 アルメニア人のディアスポラ(元の国家や民族の居住地から別の場所に離散して暮らす人々)がアルメニアに戻り、戦う準備をしているとの報があった。

 戦況が逆転することまでは望まれなかったが、これによって停戦が早まることを望む声は多かった。


 アゼルバイジャンがテルミット焼夷弾で森を燃やす範囲が、シュシの南方から北東に変化した。包囲網ができつつあるとされた。


 ナゴルノカラバフでジェット機が撃墜され、双方が敵のSu-25を撃墜したと主張した。





 11/3

 ロシアの副大臣は、1997年の合意で規定されたすべての必要な行動が実行されていると述べた。


 アゼルバイジャン人が、地方自治体が亡くなった兵士の葬儀を許可してくれないと不満を述べていた。これについて考察を交わす人たちもいた。

 ナゴルノカラバフでの継続的な砲撃は戦争犯罪と見なすことができると、国連人権高等弁務官は声明を出した。国連の介入が望まれたが、これまでの実績と照らし合わせ、介入はないだろうとする見方も強かった。


 トルコがアララト山(ノアの箱舟の聖地)のアルメニア側にトルコ国旗をライトアップする計画を進めていとされた。士気には効果があるのっだろうが、多くは呆れの声を上げていた。

 アゼルバイジャンはアルメニアの防衛網に苦慮していると思われた。ドローンが森の中に潜むアルメニア兵を見つけられず、攻撃頻度が下がっていた。


 プーチンがアルメニア、アゼルバイジャンと電話会談を行った。その後、戦闘に関する情報が一時途絶えた。実質的に停戦していたものだと見られた。

 前提が正しければ、戦争中最も長い停戦時間である。


 トルコの動きは鈍いように見えた。





 11/4

 ロシア外務大臣は、シリア傭兵2000人がアゼルバイジャン側で戦っていると主張した。その人数の多さに驚く人や、予想済みであった人、逆に少ないととらえる人もいた。

 10/31にハッキングによって盗まれた文書から、アゼルバイジャンにはプロパガンダ専用の部署があることが判明した。


 アディダスはアゼルバイジャンのサッカーチームが「全てのアルメニア人を殺すべきだ」との発言を受けて協力を終了した。よくやった、当たり前だという声が見られた。


 戦闘は全時間帯にわたって続いたが、激しいようには見えなかった。




 11/5

 アゼルバイジャンはシュシの南2kmまで迫っているとされた。

 アゼルバイジャンのサッカーチーム広報が処罰された。


 アメリカのGPS/GNSS機器メーカーGarminがバイラクタルTB2に使われている自社製機器について声明を出した。軍事製品のために作っているわけではないと抗議していた。


 アルメニア兵がアゼルバイジャン兵の遺体を執拗に射撃している動画が出回った。強い非難の言葉がでた。


 イランは戦車などの軍事装備をアゼルバイジャンとの国境に移動中とされた。国境沿いの軍は戦争初期から強化され続けていた。

 イランの介入を半ば望む声も聞かれた。


 アゼルバイジャン軍はシュシに詰めていたが、まだ取れてはいないとする見方がほとんどだった。





 11/6

 ドイツの外務省は、トルコへの旅行を一時的にキャンセルすることを推奨した。


 直近の戦闘でバイラクタルTB2が確認されていないという報告があった。天気が悪いからだと思われた。少なくとも11/9まで無人機が使えないとされた。

 アゼルバイジャン軍の一部がラチン回廊に到達、またシュシ外縁部にも到達したとされた。ラチン回廊は分断されつつあると言われたが、占領はこの時点では確認できなかった。私は主に特殊部隊の浸透なのではと考えた。

 実際にはこの時点でシュシは陥落に近い状態に陥っており、特殊部隊の浸透が先んじて行われていたのは確かであるが、SNSに上がってくる情報は二日から三日ほど遅れていた。


 アルメニア側の残虐行為が確認され始め、心配する声が上がった。





 11/7

 フランス国民議会の40人の議員がマクロン大統領にナゴルノカラバフ独立を認めるよう書簡を出した。


 アゼルバイジャンは無人機が使いにくいことで攻めきれず、多数の損害を出して一部地域で後退したとされた。ただし特殊部隊の浸透は続いているものと思われた。

 また、空中の脅威が減ったため、アルメニア側が装甲車両を再び使い始めていた。


 過去48時間でアゼルバイジャンは9機のドローンを失ったとアルメニアは主張。ロシア製の対ドローンシステムによるものだとした。

 ナゴルノカラバフの一部地域では雪が降り始めた。


 アルメニアがナゴルノカラバフのモスクを豚小屋にしていたとの情報が次々と出てきた。牛なども飼っていたようである。

 留飲を下げるためにやっていたわけではないのだが、アゼルバイジャンの人々は激怒した。


 雪が降り始めると兵士自体への負担も大きくなるが、それ以上に兵站や装甲車両に制限がかかるため、戦争の泥沼化や死者数の増大が懸念された。アゼルバイジャンはここから数週間でシュシやラチン回廊を取らないと停戦、あるいは大きな後退を余儀なくされるとの見方も多かった。

 逆にアルメニアも、ラチン回廊の完全な確保ができなければ、シュシとステパナケルトが危機に見舞われると考えられた。





 11/8

 プーチンとエルドアンはナゴルノカラバフに電話をかけた。エルドアン首相は、アルメニアは「占領されたアゼルバイジャンの領土」から軍隊を撤退させるべきだと述べ、アゼルバイジャンの作戦は自国の領土に限定されているとした。

 プーチンが何を言ったかは分からなかった。


 アゼルバイジャン軍がシュシに突入した。バイラクタルTB2のMAMミサイルか、イスラエル製のスパイクNLOS対戦車ミサイルによる攻撃も確認されている。

 戦争初期以来の激しい交戦が収められた動画が流れたため、多くの人が反応した。日本メディアでも報道されていたと記憶している。

 シュシはアゼルバイジャンに占領、もしくは占領間近であると思われた。


 バクーでは道行く車がクラクションを鳴らし、お祭り騒ぎになっていた。

 シュシ現地住民は戦闘が継続していると主張していたが、かなり怪しい動画であった。

 アゼルバイジャンは攻撃のためにドローンを低く飛ばしているのか、複数の撃墜報告があった。


 この時点で、ロシアとトルコが停戦の骨格を仕上げつつあった。アルメニア軍の撤収、本国との回廊の確保、両軍の平和維持部隊を置くのが条件とされた。

 次の日は多くの無人機が飛ぶと見られており、私はステパナケルトから北に避難した民間人の車列が無人機に攻撃されないことを祈った。





 11/9

 バイラクタルTB2無人攻撃機による戦果が2000億円相当に達したと、アゼルバイジャンは報告した。数字のインパクトと分かりやすさに多くの人が反応し、この時点でアルメニアの負けであると結論付ける意見がほとんどを占めた。私が見る限りは100%そうであった。

 カラバフ大統領府はシュシの陥落を事実上認める声明を発表した。シュシ陥落は動画でも裏が取れた。

 アゼルバイジャンは引き続きステパナケルトを落としにかかると思われた。戦闘が長期にわたると、ステパナケルト内は凍死と餓死に見舞われると予想され、一刻も早い停戦が望まれた。


 アリエフ大統領は、ナゴルノカラバフの存在は認めないが、もし独立を諦めるなら、ナゴルノカラバフのアルメニア人たちに領域的自治区域か文化的自治を認める用意があると表明。またアルメニア政府に対しては、占領により被った諸々の被害への賠償を請求するとした。

 アゼルバイジャンはロシアとトルコが決めた停戦の骨格に則って、更に細かいところを決めていた。


 晴れたためアゼルバイジャンの無人機が活発に飛んでいたが、民間人への無人機攻撃は報告されなかった。喜ばしいニュースであった。





 11/10

 この日は深夜に寝る直前に、目の覚めるニュースが飛び込んできた。


 ロシアのMi-24ハインド攻撃ヘリがアルメニア領内で撃墜された。2名死亡、1名負傷。ロシア国防省がヘリ撃墜を確認している。

 このニュースで大騒ぎになった。まずは誰が撃墜したのか、次になぜ撃墜されたのか、最後にロシアがどうするのか。


 撃墜したのはアゼルバイジャンと思われた。ロシアの第31旅団がナゴルノカラバフに向かっていた。ロシア外務省はより積極的に停戦に介入すると声明を発表した。

 その後、アゼルバイジャンがロシア軍ヘリへの誤射を認めた。これにより二つの疑問が残ったが、一部の人は何かがおかしいと思ったようだった。


 ロシアのヘリは一機で、レーダーに捕捉されない低空を、国境沿いに飛んでいた。そのためアゼルバイジャン側は敵味方の確認ができず、やむなく射撃したとのことだった。

 誤射からロシア軍の動き、アゼルバイジャンの謝罪と弁明、死亡した兵士の公表に至るまでの流れは異常に早く、また誤射された状況も異常と言えるものであった。

 ロシアが停戦になるよう、かつ権威の失墜とアルメニアの西欧化を防ぐために動いたのだと、多くの人が言った。著者もそう思った。

 少なくとも、何らかの準備がなされていたのは確実であった。


 アルメニアのパシニャン首相が停戦声明に署名した。この後首相は行方不明になった。停戦合意は一時間後に発効された。


 停戦合意がなされてからすぐ、アルメニア軍がイスカンデル戦術弾道ミサイルを発射した。最初は情報が入ってくる時間が前後したのかと思ったのだが、敗戦を認めない部隊による独断行動であった。バクーに着弾している。


 停戦合意からおよそ一時間半後、アルメニアの国会議事堂に、停戦に反対する市民が詰めかけた。

 また、後にアルメニア議会の議長がアルメニア市民らに車から引きずり降ろされ、暴行を受けている。さらに、パシニャン首相の事務室にも抗議者が詰めかける。

 アルメニア国内は抗議運動で荒れるだろうとの予測も多かった。


 停戦合意から数時間後には、ロシア軍の平和維持部隊がアルメニアのゴリスに到着した。

 アゼルバイジャンは戦勝パーティー状態であった。COVID-19の感染がしんぱいされた。


 行方不明になっていたアルメニアのパシニャン首相がリモートで「戦況を鑑みれば他に選択肢は無い。我が軍がアゼルバイジャン軍とトルコ、テロリストの連合軍に敗れたことを認めねばならない」と表明した。位置は不明。

 この後、ロシアが平和維持軍の配備を完了した。


 アルメニアの市民の一部が、パシニャン首相の自宅から物を盗んだという報道があった。

 アルメニア国会議事堂周辺の市民は半暴徒化しているとされた。


 ナゴルノカラバフの停戦ラインに平和維持軍として展開するのはロシア軍のみとの情報が入った。トルコ軍が入らないことに、アルメニア側からは安堵と賛同の声が、トルコやアゼルバイジャン側からは抗議の声が上がった。


 アルメニア国会議事堂内で抗議と説明が行われていた。抗議者は叫んだり叩いたり物を投げたりと暴れていた。

 これは数日間続いた。


 停戦条件

 1.戦闘は真夜中に停止

 2.アゼルバイジャンはアグダムを領地として10/20より回復

 3.1960人のロシア平和維持軍がナゴルノカラバフ(のアゼルバイジャンとの近接ポイント)とラチン回廊に配備

 4.ロシア部隊はアルメニア軍がこれら地域から撤退するのと同時に配備される

 5.ロシア平和維持軍はまず5年間配備される。その後、特に発表などがなければさらに5年間延長される。

 6.停戦監視センターが設立される

 7.アルメニアとアゼルバイジャン両サイドは、現在までに握っているポジション(領地)を維持する

 8.アルメニア軍はさらにKalbajarとLachinからも撤退し、ラチン周囲5kmをロシア部隊に渡す

 9.ラチン回廊を使ってナゴルノカラバフのアルメニア人がナゴルノカラバフ・アルメニア間で安全に暮らせる計画を3年以内に計画する

 10.アゼルバイジャンはラチン回廊を使った全ての往来に関して安全を保証する

 11.全ての避難民は故郷へ戻る権利を有する

 12.捕虜交換と帰還も保障される

 13.アゼルバイジャンによってコントロールされるエリア、及びアルメニア、ナヒチェバン間の経済活動を目的とした車両の安全な通行は保障される

 14.ナヒチェバン(アゼルバイジャンの飛び地)とアゼルバイジャン本国を陸路で繋ぐルートが作られる

 15.この条約の破棄には6ヶ月前に事前通告が必要


 私はこれをもって、通称第二次カラバフ紛争は終わったと判断した。

 パシニャン首相は英断を下し、アゼルバイジャンは予想をはるかに上回る寛大な処置を選んだとされた。虐殺続きであった両国の関係を正常に戻す第一歩になってほしいと願う声もあった。

 アリエフ大統領は気を良くしすぎて、無いことまで言ってしまっていた。ここから再燃する恐れもあったため、非難されていた。

 アルメニアは避難生活と本国に戻った時に住居が足りず雑魚寝となることで、アゼルバイジャンは戦勝のお祭りで密になり、COVID-19はこれまで以上に猛威を振るうと予測された。


 少しでも改善する方向に向かうよう、誰もが祈っていると、そう感じられた。





 忙しい、非常に忙しい日々だった。昼はスパナを持ってねじを締め、はんだごてを持って線を繋ぎ、コンクリートのひび割れを紙になぞりながら、夜は無数に流れてくるツイッターの情報をまとめたのだ。

 投稿まで行かず寝落ちしてしまったこともあったが、我ながらよくやったものだと思う。吐き気を催す画像や動画もあったが、真摯に受け止め、または見なかったことにして事実だけを記載したりと、精神状態をコントロールしつつできたのは運が良かった。


 改善点は多数あるが、一先ずは良しとしよう。なにせ一つの戦争をまとめあげたのだ。個人としては快挙だと思う。もちろん、SNSの発達が無ければここまではできなかった。感謝したい……投げ銭システムは無いのだろうか?


 私のまとめが誰かの役に立ち、巡り巡って平和に貢献されたら、それは至上の喜びである。

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私がいかにして第二次カラバフ紛争を観測することになったのか 扶桑のイーグル @FoEJ

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