第2話

  そもそも、ローズとクレアが初めて出会ったのは今から約2年前。魔王を倒せる聖剣に選ばれた勇者ローラが現れたのをきっかけに、トアール王国の国王様と勇者共に旅に出るに相応しい仲間を招集した。それが、ローズとクレアである。


  ローズはマジックアカデミアをぶっちぎりのトップ成績で卒業した優秀な魔術師で、魔術師協会でもトップの戦績を上げでいる実力者。

  そして、クレアは聖クロス十字教会が育て上げた聖女の中でも、1番の聖属性魔法の使い手である。そんな2人が勇者パーティーの一員に選ばれるのは必然である。


  それで、招集の為に呼ばれた謁見の間で出会った2人は、雷魔法を食らったような衝撃を受けた。


(何!?なんなの!?この娘!?無茶苦茶可愛いんですけど!!?守ってあげたくなるような愛らしい顔に!?プラチナブロンドの長い髪はリアルに天使!?しかも!シスター服越しでも分かるその豊かな胸は母性まで感じて……とにかく破壊力が高すぎるぐらい可愛いッ!!?)


(この人!?何て綺麗な人なの!?真紅の髪に、ちょっとキツ目の瞳は、この人の美貌を引き立てている!?それに!女性が理想とする体型……こんな人に迫られて……!私……!抱かれたいッ……!!)


((どうしよう私!この娘〈人〉に惚れた〈惚れたてしまいました〉!?))


お互い出会った恋に落ちた2人はすぐに恋人同士になった……とはいかず、様々な妨害や障害もあり、2人が無事恋人になるのに1年かかりました。

  やっと恋人同士になった2人はこれで恋人らしくイチャイチャ出来ると思ったらそうは問屋が卸しませんでした。


  2人は国が定めし勇者パーティーの一員。街を歩けば人々から注目されてしまうので、なかなかデート気分を味わう事が出来ません。

  ならば、人気のない森などで逢瀬を重ねようとすれば、魔族に操られた魔物や、魔族達が襲ってくる始末。

  それ以外にも、ローズやクレアを悩ます様々な障害や妨害があり、2人はデートした回数は両手の指で数えられる程度。キスに至っては片手の指で事足り、エッチな事なんて一回も出来ていないのです。

  それで、とうとう堪忍袋の尾が切れたローズはクレアに告げました。


「クレア!!この魔王討伐を終えたら!誰も邪魔してこないような秘境の地で2人だけで一緒にイチャイチャ過ごそう!!」


「ローズ……!?はい!不束者ですが!よろしくお願いします!!」


こうして、2人は勇者並……勇者以上の活躍で魔王を討伐に貢献しました。そして、世界の脅威でもっと数年の年月がかかるかもしれないと思われた魔王討伐は、僅か2年で成し遂げられたのでした。

  そして、ローズとクレアは魔王討伐で報酬を貰えると聞いて、国王様に自分達の願いを叶えて貰おうと思い今に至る訳です。


  ローズとクレアの事情を聞いた国王様と王妃様は何故かいい笑顔で親指をグッと立てて2人の願いを聞き入れてくれました。

  と言うのも、このトアール王国の国王様と王妃様は百合百合な世界観が大好きな2人で、その好きがこうじて、女性同士の同性婚をトアール王国で広めた2人である。当然2人の話を聞いて協力しない訳がなかった。


  こうして、ローズとクレアは王様と王妃様に紹介され、辺境地の更に辺境にある普通の人が立ち入れないような山奥へと向かったのだった。



  

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