第128話 全てが夢のように。−4
それからずいぶん時間が経っていた。いつもの病室、変わらない景色を眺めるだけの日々、その日常の中から先輩は毎日俺の見舞いに来てくれた。
「リンゴ!リンゴ…!」
「何…リンゴって…」
急いで落ちたリンゴを拾った先輩が頬を膨らまして俺を睨む。
「ハル?何をぼーっとしてる?」
「え…別に…」
「じゃ…私、無視されたの?」
「いや…ちょっと外を眺めるのが癖になっちゃって…」
「目の前に彼女がいるのに…それより外の景色が美しいんですかー?へえーそうですかー?」
「え?怒った…?」
体が完全に治ったら学校の授業にも追いつかないといけないし、今日は先輩に勉強を教えてもらっている。でも、先輩ってすごく頭がいいから聞くのも大変だった。
少しの休み時間、外を眺めていたら先輩のことをすっかり忘れていた。いきなり多い文字を頭に入れるのは数ヶ月間眠れていた俺には無理だった。
でも、これはこれでいいかも…
ベッドの上で背もたれに寄りかかる二人、その前に置いている小さいテーブルの上には果物とゼリーそして教科書が置いていた。
「ねえー先生ー」
背もたれに寄りかかっている先輩を抱きしめた。
「今日はいい匂いがしますねー先生…」
「もう…仕方ないね、今度は許してあげる…」
「やったー!」
「ハル、リンゴ食べる?」
「うん、食べる!」
皿のリンゴを一つ取って口にくわえる先輩が目を閉じてこっちを向いている。顔をあげて近寄る先輩のおでこにデコピンをして、やっと堪えた。最近…先輩の方がすっごく積極的に仕掛けるから、俺もたびたび衝動的になるから距離を置かないと。
「勉強中にエロいことは禁止!」
「え…!あんえ…?」
「なんでじゃないー普通に食べるから。」
「…」
小さいリンゴを一つ食べながらペンを握る、でも勉強に集中するのはできなかった。むしろこんな状況で勉強ができるのが変だ。そばに先輩がいるから頭の中に変な考えがますます増えている、スキンシップってこんなに怖いものなのか。
今までスキンシップの9割くらいは先輩から仕掛けて来たから別に気にしていなかったけど、それを意識した時からなんとなく俺から先輩を抱きたい気持ちになる。
いや…集中、集中するんだ。
「…」
そばにいる先輩が静かにこっちを向いていた。何も喋らない先輩をちらっと見るとそのままじっとして俺の袖を掴んでいる、待ってるってことだ。
「春日?」
「…」
目をパチパチしている先輩が期待しているのは…やはり。
「もう…欲しいなら言えよ…」
くわえているリンゴを取ってテーブルに置いた。
顔が近寄るのを感じた先輩が目を閉じて、俺は口付けをする。やはり先輩が欲しかったのはただのスキンシップじゃなくて俺からやってくるのを欲しかっていた。いつも先輩からいろんなことをやってくれたから、最近の先輩は俺からやりたい気持ちを出せるような雰囲気を作る。
「ううん…」
先輩とのキスがうまくできているのかはその反応でわかる。今考えても先輩の喘ぎ声で見分けができるなんて、恥ずかしいな。でも、それほど先輩の気持ちと満足感を満たしてあげたかった。
やり方はしっかり覚えている。だって先輩から教わったから…ここは優しく先輩の舌と絡み合って、約7秒間息を止める。
目を閉じて感じられるのは舌の感触と先輩の喘ぎ声だけだ。そして唇を離したら我慢して来た息ができる、その一瞬だけ…先輩と目を合わせれば分かる。
『足りない』『もっとしたい』『唇、離したくない』みたいなことを言っているように見える。だから俺はここから先輩の顎を持ち上げてこう言ってからかうんだ。
「これでお終い…」
「え…?」
一番盛り上がってる瞬間に終わらせると、びっくりする先輩の顔が見られる。先輩には本当に悪いけど俺はこの表情が好きなんだ…『まだやりたいのになぜここで終わる?』って顔が堪らないほど可愛くてからかうのを辞められない。
「ウッソだよー姿勢がちょっと…不便だから。」
「そう…?」
「真正面に来て膝に乗ってみる?」
「うん…」
こうしてみると小さい先輩との背が同じくらいになる。俺を抱きしめながら目を合わせる先輩を見て再び口付けをする。こんな流れが好きだ。
「はあ…春日、好きだよ。」
ちょっと唇を離して、自分の気持ちはちゃんと伝えないといけない。これも大事、そして途切れたキスを続ける。
口の中はほぼ同じだけど、先輩とキスしている時はなんとなく甘い味がする。なんでだろう…舌と舌しかいないし、中から絡み合って感じられるのはお互いの唾液だけなのに、それでもすごく甘い。
「はあ…好きだよ。ハル…」
「うん。俺もそうだよ…」
先輩はなかなか辞められなかった。次は服の中に手を入れる選択をして、ますます入ってくる先輩の小さい手は横腹から胸までなでさする。これはちょっとやばいかもしれない…手が体を触るのはマジでやばい。
やつが目覚める…
「…っ。」
「どうしたのー?」
「いや…なんか…触れるのが慣れてないと…言うか。」
「そうなの?」
今更分かった。先輩って制服を着ているから…膝から感じられるこの温もりはお尻ってこと…唇を離した先輩が体を撫でながら耳たぶを軽く噛んだ。
「どうしたの…先の偉いハルはどこに行っちゃった?」
「…知らない。」
「ねえ、ハル…気持ちいいでしょう?」
「…知らな…い。」
その笑顔には俺の中から変な欲求を掻き立てるような魅力があった。先輩は俺を簡単に触るけど俺にはそう簡単に先輩の体を触ることができないんだ。もしそうなったら前とは違って本当にやってしまうかもしれない…
前に家で一緒にやった覚えはあるけど、それはやる直前に気絶してよく分からない…だから我慢するんだ。とにかく我慢、我慢だ。
「ねえーハル。」
「う、うん…?」
「ハルは我慢上手だよね?」
「いきなり何を言う…」
「じゃー私のお尻の下からますます硬くなるこれはなんでしょうかー?」
「…」
「なんで答えられないんですかー?もしかして恥ずかしい?彼女の前で立ったのが恥ずかしいー?」
「あ…もう…そうよ。恥ずかしい…」
「えへへーバレちゃったね。エッチなハル!」
その満足した顔としたりげな口ぶり…うわ…これを直接に言われて本当に恥ずかしくなった。どうしよう…
やはり先輩には敵わないな…
「ねえーハル、知ってる?」
「何を…」
右側の髪を耳にかける先輩が俺の右耳にこう囁く。
「ハルのモノと私のアソコがくっついてるよ…」
「…」
「とても…気持ちいいんだよ?どうする…?」
アソコでゆっくりモノを撫でる先輩が俺と目を合わせる。
「どうするって…」
軽く口付けをして俺の肩に頭を乗せる先輩は耳元から囁いた。
「ねえ、ハル…やる?」
その手が骨盤まで下がってゆっくりモノに近づいている。しばらくの静寂が流れている時、俺は人生最大の難関とぶつかっている。頭が真っ白でこんな状況をどうするのか、先輩の目を逸らして考えた。
「あ、あ…」
でも先輩は俺に考える時間をくれない。一人で悩んでいる時、先輩の手はすでにパンツの中に入って俺のモノをぎゅっと握っていた。
「答えが遅い…服…脱いで…」
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