第77話 油断して風邪をひいてしまった。-4

「あ…朝の日差しが暑い。」


 部屋の窓から入る暖かい日差しに目が覚めてぼーっとして天井を見ていた。そうか、もう朝になったのか…眠い目を擦りながら起きた俺はあくびとともに背筋を伸ばした。


「もう…朝か。」

 

 そして再びベッドに横たわる。目を閉じてちょっとだけ寝ようとしたら、ふっと昨日のことが思い浮かんでまた目が覚めてしまった。


 朝…だよな。なら隣には先輩が寝ているはずだよな…

 と、考えている時に先輩が俺に抱きついて来た。右側ですやすや寝ている先輩の顔がすぐ前にいるけど、肌布団を骨盤までかけた先輩の細くて白い上半身に目を取られた。


「かわいい…」


 肩を触って先輩を抱きしめてあげた。


「もう…朝なの?」


 体が触れている感覚が伝わったのか、ぐっすり寝ているように見えた先輩を起こしてしまった。


「うん。ごめん、起こしちゃった?」

「ハルの温もりが感じられて覚めちゃった。まだ眠い…」

「昨日いつ寝た?」

「ハルが全然寝かせてくれなかったから…」

「え…?」

「本当に気持ちよかった…」


 先輩…何言ってます?え…?なに…?

 そう言えば下半身から肌布団の感触がよく感じられているような気がするけど…そっと肌布団の中を見たらなぜか全裸になっていた。


「何を見てるの?」

「せ…先輩?俺はなんで裸になってますか…」

「なんで急に敬語?そして裸って?あ!そうなんだ!」


 先輩は布団の中から俺の左手を握って自分の尻を触らせてくれた。こんな時、生で女の子の尻を触るなんて…その感触がとてもショックだった俺は朝から欲を堪えるのができなくて目を閉じていた。

 そして先輩から布みたなものをもらった。柔らかくて小さい…これってなんだろう。


「これって…」

「私も裸なの。それって昨日ハルが私を襲う時に脱がせたものだよ?」

「え…」


 目を開けて先輩からもらったものを見た。


「…恥ずかしくないのか!春日!」


 黒色のパンツ…だった。

 わー生まれてから初めてこんなものを女性からもらった。記念にしないとな、あはは…だんだん自分の思考が崩壊しているのが感じられる。


「でも…私が力でハルに勝てるわけないでしょー?昨日の夜は本当に盛り上がって最後まで行っちゃったー!恥ずかしい…」

「…俺、やった…?春日とやった…?」

「え!覚えてないの?激しくぶつかる体と体の感触を忘れたの?本当に?」

「やめて…もうやめて…」


 全く記憶に残ってないのになぜ先輩はそれを知っているんだ。もしかして本当にやったのか…やったら絶対忘れるはずがない、よく考えれば昨日は確かに先輩の体を触って服を脱がせて…その後はよく覚えてない…寝ちゃった気がする。

 思い出すだけで恥ずかしくなって来た。


「どうするー?これどうするー?」

「な…にを…」

「痛かったよ?痛い…痛い…言っても全然止まらなかったよ?」

「俺が…?」

「うん。昨日は泣きながらハルに抱かれた。激しかったよ…?1時間も続いた気がする。」

「もういい!そこまで…!ストップ!朝からそんなことを聞いたら…」


 布団の中から熱くて長い何かの感触を感じる春日。


「え!何これ…朝からやるのは無理…だよ…勘弁して…」

「いやいやいやいや…そんなんじゃない!」

「うん!」


 先輩が俺の上に乗って耳元に囁く。


「私の初めてをハルにあげたからちゃんと責任を取ってね?」

「…初めて。」


 布団の中には全裸の二人が絡み合っていた。先輩の囁く声が耳に残って堪らなかった俺は話で事実を否定しようとしたけど、体は正直だったから全然説得力がなかった。


「体の調子はどう?熱は?」

「熱は完全に下がって36くらい…でもちょっと休ん…」


 目を閉じて唇を見せる先輩。


「しないー」

「して!」

「しないー」

「して!!!」

「えー聞こえない何も聞こえないー」

「もう…!私の話を聞かないってことだよね!ハル!」

「知らない…」


 拗ねる顔で俺の横腹から太腿まで手を動かして、ある物を握った。


「…何…を握ってる?」

「私のものに手を出しても問題ないでしょう?」

「うっ…」

「このまま握り締めたらハルも少しは私の話を聞いてくれるかなー?」

「分かったよ…」

「素直に答えても体は握り締めてほしくて我慢できないね?ハルのものがだんだん硬くなってる!かわいいよーハル。」

「うるさいな…」


 しばらく先輩の目を見つめた。唇をつけて先輩を抱きしめたままベッドで寝転がる、先と違って先輩を俺の下の置いて舌を舐めた。

 ちょっと口を離して大胆に先輩の胸を揉む、そして先輩が感じる瞬間にまたキスを仕掛ける。昨日は知らなかったけど、こうしてくっついていると先輩からいい匂いがすることが分かった。


「気持ちいい…」

「てか春日…まだ週末じゃないよ?学校は行かない?」

「あ…!!そう!学校!」

「残りはまた今度にしようね。春日。」

「うん。」


 ベッドから起きた先輩が床に散らかっている制服を着ていた。学校に行く準備を済ませて再び部屋に入った、家を出る前の先輩はベッドに座ってギリギリまで俺を抱きついていた。


「楽しかった!看病!」

「看病ってより普通にエロいことをしただけじゃん。」

「昨日の変態ハルは一生忘れないねー!」

「うるさい!時間ないから早く学校に行けよ!」


 チュー。

 

「うん。」


 頬に口を軽くつけた先輩は学校に向かった。

 結局、指輪のことを聞けなかった…もういいか、また今度にしよう。先輩と過ごした一晩のおかげで熱が下がった。まだ微熱があるけど今ぐっすり寝たら明日は学校に行けそうだ。


 そして昼寝をする前に先輩に一つのメールを送った。


『ありがとう、春日。』って。

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