第65話 体育祭。
「あああああ!テスト終わった!」
「なんか解放された感じ!」
長かった中間テストもこれで終わり、数日後は体育祭が始まる予定だ。高校1年の体育祭か、席についた生徒たちは委員長の話を聞こうとした。
委員長は試験が終わった後、体育祭に関した情報をみんなに話していた。
「高山の体育祭はクラスを分けて1年から3年までチームになって点数を稼ぐ形で行っている。要するにABEFがチーム『北』、残ったCDGHがチーム『南』になる。」
委員長の話によると相手が3年になる可能性もあるってことか…てか、チーム南は先輩のクラスも含めているってことだな。
先輩と同じチームか…
「じゃ3年や2年の先輩たちが相手になる可能性もあるってわけ?」
「実際は個人、ペア、団体競技全部同じ学年で行う予定だけど、そこから種目別2チームを選び1年から3年の総決戦をするつもりよね。」
「なんかトーナメントみたいな気がするね。」
「そして走りの種目が多すぎ…」
委員長が配ってくれた紙には自分の好みの種目を書けるように空欄があった。今のところではリレーと100メートルくらいかな、障害物競走もやってみたかったけどこの脚じゃダメだよな…
紙に100メートル競走と書いて提出する時、康二が後ろから話をかけて来た。
「春木、リレー出る?」
「リレーか…考えてるところなんだけど、今は100メートルだけかな?」
「え?リレー出ないかい?」
「うちのクラスには速い人が多いから別に俺が出なくてもいいじゃない?」
「それはー!いけない!」
紙に掴めたまま俺と康二の間を遮る夕。
「おう…夕か、夕は何に出る?」
「ん…今は騎馬戦かな?」
「それはいいなー騎馬戦。」
体育祭の話でにぎやかになった教室を委員長が黒板を叩いてみんなを注目させた。
「はい。みんな紙を提出して自由行動してもいいよ。」
いよいよ、ここまで来た。俺がまた走ればあいつと会えるだろう…そのために高山体育祭で証明する。
待ってろ、
「加藤くん?」
教室を出るタイミングで委員長に呼ばれた。
「この紙を先生に渡してくれない?」
「あ、うん。いいよ。」
珍しいなー委員長から頼まれるなんて、確かに委員長いろいろやってるから今の時期は忙しいかもな…
「お前、どこに出る。」
教務室についた俺はすぐ先生に叱られた。いや、正確には叱られてないけどなんか先生の雰囲気が俺を叱る雰囲気だった。
「え…」
「早く答えろ!」
「ひゃ、100メートルです。」
「リレーはどうした!食っちまったのか!」
「もっと優しく…香ちゃん…」
「先生をちゃん付けで呼ぶな!」
「あっ!」
先生は教科書の角で俺の頭を殴って次の話を続けた。
「お前、本気でやるつもりなのか。」
「何をですか?」
「走りって決まってるだろう!」
「もう諦めようとしましたけど、ある人のおかげで再びやってみようと思ってます。」
「そうか、久良も以前より速くなったからお前が速くならないとな…」
「…それはそうですね。」
先輩は少し深刻な顔をして話した。桜木のことを気にしすぎたせいか、先渡した紙を見ながら今度は別の話をした。
「なんで言わなかった。」
「え?」
「川田正樹のこと!お前はどこまで鈍感なのかマジで分からない。」
「あ、そうですね…」
「そいつ今日、警察が連れて行った。」
「本当ですか?」
「あ、誰が教務室に証拠写真が入った封筒をこっそり入れて置いたからな。」
「ほっとしまし…あっ!」
また教科書の角に殴られた。
「先生、俺の頭を壊す気ですか…」
「このバカが!次は早く言いなさいー!戻れー!」
「うん!香ちゃん!」
と言いながら右手でVを作ってすぐ教務室から逃げ出した。
「お前ぇー!殺すぞ!!!」
先生が立ち上がる姿まで見たけど、これ1秒でも遅れたらマジで殺されるとこだった。
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