第9話 なぜか部活の内容が変わった。−2
先輩が言う名前、上原康二。
そうか、だから部室に入る前に4階で康二と会ったのか、それが確かなことかは分からないけど1年生ってことは当てた。
佐々木先輩は康二のことが好きだったのか、あいつモテるな…
「上原さんは加藤さんのお友達…」
武藤が佐々木先輩に席を譲る。
「ありがとう。」
「って私たちが何を手伝えばいいんですか?」
話を遠回しにするのが苦手だから直接先輩に問う、俺たちが康二と友達ってことを先輩はすでに知っていた。
「え…」
またためらう先輩、それを見ている木上が言った。
「先輩はどうしたいんですか?一応、私たちは康二と友達だから話くらいはできます!」
「じゃこの場であいつに電話します。」
ポケットから携帯を出したら画面に不在着信が2つあった。電話を出せる俺を見た先輩が急いで俺を止めた。
「ス、ストップ!」
「いや、他の人です。ちょっと電話してきますから。」
電話をするために部室から出て携帯を確認した。
画面
不在着信、「春日ちゃん」
「…?これ俺の携帯?」
画面に出ている変な名前を押した、しばらく待っていたら電話の向こうから先輩の声が聞こえた。
武藤春日…か。
「ハロー!春木〜」
「先輩…」
「うん!何〜?」
「なんで俺の携帯にちゃんとか書いてます?」
「ん〜それは私が可愛いから!」
「何を堂々と言ってます…」
先輩の笑い声が聞こえた。
「なんで電話しましたか。」
「私、生徒会の仕事が終わったからね〜帰る!」
「はい、お疲れさまです。じゃ切りますから。」
「ちょっと、待っ…」
わざわざ歩いて2分の距離を電話するのか、ある意味ですごいな…
電話を切って階段から部室に戻る時、後ろの生徒会室から全力で走り出す先輩が見えた。
「春木のバカー!!」
「お疲れさまです。先輩。」
「そうじゃない!なんで勝手に電話を切るの?」
俺を見上がる先輩の視線とその拗ねた顔。壁まで押された俺はなぜか先輩に叱られていた。
「だけど…もう話すこともないし…」
「そんな時は私が切る前に切るんじゃないよ!」
「は、はい…」
なんで俺が壁にくっついて先輩に叱られているのか分からなかった、ただその場でモクモクと先輩の話を聞いていた。
「もう!」
「わかりました…次は…」
「うるさい!反省しなさい!」
「はい…」
何も言えない…
外で叱られる先輩の声が廊下に響く、この声が部室まで届いたのか中から武藤が出て来た。
「お姉さん…?」
どんどん近づく武藤を見てほほ笑む、先輩。
「うん!恵〜」
「生徒会は?」
「終わったの〜」
「そうですか。」
俺は壁にくっついて密かに先輩から離れようとした。少しずつ逃げる人けに気づいた先輩は後ろに手を伸ばして俺の袖をしっかり掴む。
「…」
掴まれた袖を軽く振っても先輩に逃す気はなさそう、話が終わるまで待つしかないか…
「ところで加藤さんはここで何をしていましたか?」
「あ、俺は生徒会長に叱られ…アッ!」
急に腕を抓る先輩。
「で、電話していた…康二に…」
「そうですか?」
「まぁー先輩の悩みだし一応は康二に聞くつもりだった。」
無表情で答えるうちに「先輩」って言葉に反応した武藤先輩が俺に向いて怖い笑顔を見せた。
「どんな先輩〜?ん~?」
いや、なんで怒ってるんですか…
これは優しく言っているように聞こえるんだけど中には「他の先輩と何をやってるかな?」って感じがした。
俺が武藤先輩の物でもないのになぜか罪悪感を感じていた。
「なんかの相談で…」
「相談〜?」
先輩の顔を見て言葉を失った。眠い時はとても可愛かったけど、普段は何を考えているか考えを読めないから怖いな…
武藤が困っている俺の表情に気づいて先輩に話した。
「お姉さん!加藤さんをいじめないでください!」
「ん?なんだ〜恵、もしかして春木のこと好きなの?」
予想外の質問で慌てる武藤、先輩はさりげなく言った。
「冗談よ〜それでなんの相談なの?まだ聞いてない、康二って言ったよね?」
「はい!そうです。」
「康二…康二…どこで聞き覚えが…」
「お姉さん、知っていますか?」
何か思い出したように拍手をする先輩はすぐにその名前を言い出した。
「上原康二ね?」
「お、先輩なぜ康二の名前を知っていますか?」
「うん。先、生徒会に入部した1年の名前なんだけど?それが何か?」
何か思いついた先輩が武藤に言った。
「あの人、上原康二のことが好きとかそんな問題だね?」
「女の直感か、怖い…」
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