第8話 なぜか部活の内容が変わった。

 先輩を生徒会に送り、俺も自分の教室に入った。

 一日あの人と関わったら精神的に疲れる。

 窓側で眺めた外は爽やかな空気や晴れた天気がとても心地よい、今日は薬も持った来たし余裕を持って部活をしようと思った。

 授業が終わって部室に行く道、4階の壁によっている康二の姿が見えた。


「康二?」

「や〜春木だね。」

「4階になんの用があったのか?」

「部活ってことさ。」


 ほほ笑む康二だけど中は複雑のようだ。長い付き合いでその表情が読める。


「そうか。じゃ頑張れよ。」

「春木。」

「ん?」

「いや、なんでもない。」

「そうか、何かあったら連絡しろよ。」


 康二が何を言いたかったのか気になるけど、俺から出来るのはあんまりないから後で話でも聞いてあげるつもりだ。

 俺はそのまま部室に入った。中にはお茶を入れている武藤と前に座った木上がいた。


「加藤〜来たね。」

「加藤さん!」


 武藤が入れたお茶を机の上に置いて俺のところに来た。心配したそうな顔で見上げる武藤になんかすまない気持ちがした。

 昨日は言いすぎたかな…


 それと同時に武藤の顔から先輩の姿が浮かんでいた。


「加藤さん大丈夫ですか?体は?」

「大丈夫、心配してくれてありがとう武藤。」

「はい!」


 そう言って自分の席に戻った武藤が俺に隣の席を譲ってくれた。


「ここでいいですよ。」

「あ、ありがとう。」


 しばらく本を読むこの時間、静かで何よりだ。

 湯気が立つお茶と好きな本、外には運動部の声が聞こえる普通の学校生活。部室のみんなが静かに本を読んでいた。

 そのうち武藤が本を閉じて俺たちに話した。


「もうすぐ時間ですよ。」

「時間?」


 今、来てから2時間も経っていない。

 なんか用があるそうで急に立ち上がる武藤は部室の扉を開けて廊下を見回した、誰かを待っている様子だった。

 それを見ている木上が言った。


「恵、あの先輩はまだ?」

「そうですね?」


 人がもっと増えるのは気になるから俺はお茶を一口飲んで木上に聞いた。


「誰か入部するのか?」

「違う、昨日の先輩のこと。相談しに来たよね?」

「あ、あの人。先輩だったか。」


 相談部なのか…


「来ました!」


 武藤が外で先輩を見つかる。


 部室の扉を閉じて席についた武藤は先輩が来るのを待つ、そして外からノックをする先輩が部室に入った。


「こんにちは。」

「こんにちは!佐々木先輩!」

「うん…」


 本を読んでいた木上が立ち上がって先輩に聞いた。


「先輩、どうなりました!」

「まだ…話をかけてない…」


 3人の話に構わず本を読んでいたら武藤が話をかけてきた。


「加藤さんはどう思います〜?」

「ん?」

「佐々木先輩は告白したいって言いました。」

「え、好きな人?」

「はい!それでどうすればいいのか分からないようです。」

「普通にすればいいじゃないのか?告白。」


 こう言っても俺は恋愛経験ゼロなんだけど…

 そんなことなら相談ではなくすぐに言った方がいいと思う、100%成功するとは保証できないけどそれが一番楽だ。


「でも、でもね!」


 俺のところにくる佐々木先輩は切な顔で話した。


「は、はい。」

「断れたら…本当に寂しくなるから…」

「相手が受けてくれない可能性を考えていますね、先輩は。」

「うん…だから…」

「言ってくださいよ。あんたが好きって付き合ってくださいと。」

「それは…」


 先輩の顔が少し固まっていた。その下ろした視線は先輩の自信感を表していた、見れば分かる。

 どうせ告白なんか出来るわけない、でも悩んでいるのは手伝ってほしいことなんだ。

 入学したばっかりの俺たちにそんな恋話なんか出来るわけがない、2年と3年の先輩は全然知らないし、話しかけるのも無理だから俺は1年の中にその相手がいると類推した。

 

「先輩、その相手は?」


 俺は何も言わない先輩に再び話しかけた。


「…」

「そうそう!先輩その相手は!」


 木上が後ろで盛り上がっている。

 先輩は話をためらって俺たちの視線を避けていた。


「それは…うえはらこうじ…」

「えええええええー!」


 前で叫ぶ木上の声が響いた。


「おい…そこまで驚くのか…」

「あ!ごめん。」

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