03 α ENDmarker.

 仕事で、ちょっとしくじった。

 おなか。じわじわと血が拡がっていく。生きる力が、抜けていくみたいな感じ。

 わるくない。これでいい。やっと、この絡まった何かから、解放される。

 この複雑で、よくわからないものが。世界の形なのだと、考えていて最近気づいた。これが世界。そしてこれが、私と世界の形のありかた。


「いてて」


 いたくない。感覚はない。それでも、なんとなく声が出てしまう。誰も聞いてないのに。


「はあ。つかれたなあ」


 正義の味方みたいなことして。仕事を受けて。そこそこ、生ききった感じはある。私にしかわからない何かは、結局、わからないまま。


「あれ」


 倒れてた。いつ倒れたのか、いつから地面に。私は。


「そっか」


 死ぬのか。たまたま死ぬ直前に、なんとなく意識が戻っただけか。身体の力は、入らない。起き上がることもない。最期の景色。半分が朱い地面で。半分はビルか何かの窓とか壁とか。

 いきどまりか。


「いいね。私にぴったりの」


 死に場所。

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