転 大好き
夜空としていてわかった。
「どうしたの……優斗?」
気づけば、俺は泣いていた。
情けない……大人になってもこんなことで泣くのかよ……。
「うんうん、なんだろう……」
そっか……俺、やっぱり玲が好きなんだ……。
それもそうだ。
俺が玲を好きになったのは保育園の頃だった。
そして、夜空を好きになったのは高校生であり玲のことが好きだった期間の方が長い。
やっぱり……俺には玲なのかな……。
「優斗……?」
「私ね優斗、大好き」
でも……俺には夜空が……。
俺は笑顔で「俺もだよ」と言った。
二人と結婚したい。
でも、そんなのは無理だ。
だったら……俺は……。
○
『明日さ夜空帰って来ないし、来れる? 泊まりで』
『うん……いいよ♪。でも、優斗どうしよう……』
『連れてくればいいよ』
『りょーかい_φ( ̄ー ̄ )』
ふふ、楽しみだなぁ……朝までコースかぁ……。
もっと、もっーと!! 優斗を落とさなきゃ!!
よーし、がんばるぞ!!
そして、次の日。
私はインターホンを鳴らした。
「はーい」と扉を開けて出て来たのは翔悟と夜空の子供だった。
「こんにちは、玲ちゃん」と私と優斗は玄関に入った。
自分で自分の名前をちゃん付けで言うのは少し抵抗があるけど、それは優斗も変わらないことだ……。
「ママ、この子だれ?」
「私だよ」
? と少し困った顔をしている優斗。
「来たか……」と玄関に駆けつける優斗。
「パパ、この人誰?」
「ん? ……
優斗は私の耳元で「今日の夜、大事な話がある」と言った。
「そう、わかった!!」と私は返事をして、リビングへ向かった。
リビングに着くと、私はテレビを観た。
その後は、みんなで夕ご飯を食べてお風呂に入った。
そして……二十一時を回った頃……。
私はまだ、ソファーでスマホをいじっていると……。
「玲……」と優斗が背後から抱きついて来た。
「どうしたの? まだ、子供達が……」
「うんうん、寝かせて来たよ」と優しい声で言う優斗。
そっか……もう少し遅くからだと思ったけど、案外早くからするんだなぁ……。
っと、その前に……。
「大事な話って何?」
「ここじゃ言えないからさ、ちょっと、外に出よう」
ここで言えないこと……なんだろ……。
楽しみだなぁ。
そして、私と優斗は外へ出て私は優斗についていった。
○
優斗は海辺で足を止めた。
七月なだけあって海風がとても気持ちいい。
なんだろ……少し、緊張してきたんだけど……。
「俺さ……ここしばらくずっと、悩んでたことがあるんだ……」
なんだろ……。
そして、優斗はこちらを向いて笑顔で。
「俺さ、やっぱり玲……玲のことが好きだ!!」と言った。
その瞬間、私の目からは大量の涙が溢れ出た。
優斗も同様だ。
やった……やった、やった……優斗が私に落ちた……。
その嬉しさでたまらなかった。
「ひどいかぉ……」
「うるせぇ、お前こそ……」
「ふふ……」
「ははは……」
やっぱり、諦めなくてよかった。
そんな思いでいっぱいだ。
「私ね、あの時のこと後悔してる。なんで私、翔悟だったって……」
「俺もだよ。もっと早くに気づいてやれなくてごめんな。気づけば気づいたらなんかあったかもしれなかったけど……」
「なんで、謝るの? 謝るなら私の方だよぉ……」
今でも後悔している。
もし、私が翔悟としていなければ今頃優斗と子供を作って楽しく過ごしていたのに……。
「それでもさ、俺はやっぱり玲……お前しか愛せないみたいなんだ……」
どうしてだろうか、海辺効果なのかそんなキザなセリフがカッコよく聞こえた。
「ダサ……」とぼそっと呟く私。
「な──ッ!!」
「ふふ、うそうそ!! かっこいー(棒読み)」
「んだとぉ〜!!」
私と優斗は一時間ほど海辺で遊んだ。
まるで、夢のような時間だった。
ずっーとずっーと、この時間が続いて欲しい。
だから……。
『夜空? 久しぶり……少し優斗の家に用事があってさ……優斗からは今日は帰って来れないって聞いたけど、もしあれなら来て欲しい。そうしないと、私が優斗を取っちゃうから』
そうLINEを送った。
よし、これで私の勝ち❤️。
「何ニヤけてんだよ……」
どうやら、顔に出ていたらしい。
「別にー♪」
「気になるじゃん」
「後でわかるから……お、た、の、し、み!!」
「ほんとか? わかったよ、楽しみにしてる」
「それより、優斗?」
「ん?」
「夜空にはどう説明するの?」
「たしかに……まぁ、今はそんなのどうでもいいや」
良かった……多分、優斗じゃ優し過ぎて言えないもんね……だから、代わりに私がね。
待っててね夜空。
あなたから全てを奪ってあげるから。
「優斗……」
「ん?」
「大好き!! 帰ったらたーくさんしよ!!」
私は笑顔でそう言った──。
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