第1話 真っ白い空間と神様

突然に視界が真っ白になった

(ってそんな馬鹿な…あれ?どういう事なんだ)

一度に色んな事が起こりすぎて何も考えられない


(幻覚か?裏切られた事がショックすぎて脳がおかしくなったのか?)

真っ白で何もない空間を見つめる。手で何となく探ってみても何にも触れない。


「聞こえますか?」

(!!?)

頭に響くような、まるでイヤホンで聴いているかのように女性の声が聞こえた。

「起きたようですね。」

「え…?」

「では説明をさせていただきます。」

「いやあの!待ってください。」

「何でしょうか。」

「いや…あの、な…何ですかこれは?」

訳がわからなすぎてまともな質問すら出来なかったが、声は呆れたような様子を出すこともなく淡々と続ける。

「それを今から説明いたします。」

「はい…」

「まず、あなたにはある仕事をしていただきます。」

「…仕事ですか」

(あのヤクザも金を稼ぐって言ってたしな…)


「はい、ある人物を殺していただきます。」

「ころ…え?は?…無理ですよ!」

「拒否する権利は今のところありません。この顔をしっかり覚えてください。」

目の前に黒髪の少年の顔が浮かび上がる。かなりのイケメンだ…じゃない!

「人を殺すなんて無理ですよ!ましてやこんな…子供じゃないですか!!」

「拒否する事は出来ません。あなたにはこれからある世界に向かって貰います。そこでこの人間を殺すのです。」

「い、いやだ、僕にはそんなこと」

「拒否する事は出来ません。一年分の食料とナイフ、衣服を一組与えます。それ以外は現地にて調達してください。」

「ある世界ってなんだ、それに食料?ナイフ?」

「隠密性を維持するため、こちらへの連絡は1年に1度、その必要があると判断された場合のみに限ります。それでは転送を開始します。3…2…1…」


「待って!!待ってくれ!!!まって




あてもなく伸ばした手はそのままに

視界が一瞬で塗り変わり、僕は森の中にいた。

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