第5話 やっぱり私はドS上司が好き

気がついたら私はあの部屋のあのベットじゃなく見知らぬベットの上にいた…。


頭が少し重かったがゆっくり起きあがりひと呼吸おいて横に目をやると…

そこには部長が椅子に座りうとうとしていた!


「部、部長!」


部長は私の声で目を覚ました…


「お、目さめたか?気分は?」


といいながら私に水を差し出してくれた…


「あ、ありがとうございます…大丈夫です…」


私は部長の顔をまともに見ることもできないままに水を一口飲むとスーッと気持ちが落ち着いていった…。


そしてグラスを返すや否や…いきなり…


「ここは俺の部屋だ!それよりお前は何やってんだ!あれほど気にするなといったはずだ!しかもあの社長と一緒とはどうゆうつもりだ!説明しろ!」


と一喝!


いつもの私なら動揺ししょげていてもいいはずなのに…今はこの怒鳴り声がとても心地いい…。自然と笑みがこぼれていた…。


「何笑ってる?笑うとこじゃないだろ…」


部長が少し動揺してる!ちょっと可愛い!


「あっそうだ…社長は?社長どこです?」


私は当たりを見渡したが社長の姿はなかった…。


「その社長から俺に電話があった…。お前が酒に酔って暴れて手がつけられないから迎えに来いってな!着いたらお前はすやすや寝てたけどな!」


社長…どうして…そんなうそを…?


「あと社長は自分から強引に誘ってみたがこの始末だ…困った…とも言っていたが?そうなのか?まさか…お前…自分から?」


「いえ…それは…」


私はどう答えればわからなかったがそれ以上はもう何も言わなかった…。


「心配した…もうお前をあの社長に近づけたくはなかったはずなのに…すまない…。」


そんな部長は悪くないのに…


「もとはといえば私のミスですし…部長は悪くありません…あの部長…私…会社辞めます…。」


「なぜ…なぜだ…なぜそんなことをゆう…」


と部長は頭を抱えている…。


「俺はお前が近くにいることが当たり前になってて気づかなかったが…お前はいつもさりげなく俺に寄り添っててくれたよな…。」


「えっ!部長…気づいてたんですか?」


「当たり前だろ!朝いつもデスクを拭いてくれたり…かわいい花を飾ってくれたり…ほしいときにコーヒーを持ってきてくれたりな!」


私は顔がカァと熱く赤くなるのを感じた!

部長はそんなこと気づかないとばかり…


「ほんと…天然なとこはあのときからかわんねぇな!」


「えっ!もしかしてあの面接の日のことも覚えててくれたんですか?」


部長って…いつも怒ってるけど…ほんとは周りのことに気を配れる繊細な人なんだ…

私…やっぱり部長が…好き…好きになって良かった…ただただ…うれしい!


私の顔がほころんでいたのを知ってか知らずか…部長がベットに腰かけ至近距離で…


「なぁ…俺はお前が気になって仕方ない!何やらかすか心配で仕方ない!だから…これからは俺のそばにいろ!」


これって部長からの…告白…?

うそ!うそー!


「え…あの……はい!」


部長は今までにないすごく穏やかな笑顔を私にむけながら私の頭を優しく撫でた…



「それよりお前…あのエロ社長に何もされてないんだろうな?」


「あっそういえば私…社長に…キス…されて…」


「はぁ!あのクソエロ社長!何もしてないような顔しやがって…やっぱり!」


「違うんです!あ…違わないのかな…たぶん社長はキスだけしかしてないと思います…」



そこへ部長のスマホがなった。

社長だ!


部長はすかさずスマホをとった!

そして社長と話をしている部長の顔がみるみる赤くこわばっていくのがわかった…。


電話を切った部長が私に…


「そろそろ起きる頃って…?何…薬使われてんだよ!それとお前…俺に片想いだって?お前が初めてだから優しくしろだの…とりもってやった私に感謝しろ…だの言ってるがどういうことだ?なんであの社長がそんなことを知ってる?お前…あの社長と何を話したんだ?」



といつものごとく一方的に怒鳴られた!


うすれゆく意識の中で…なんか…そんなことを言ったような…言ってないような…

って…薬?だったんだ…どおりで…



「えーと…何って…あまり覚えてなくて…すみません…」


「まぁ…酔って薬使われりゃ仕方ないか…。しかもあのエロ社長…とりもってやったお礼にお前の唇だけはいただいたと…」


「すみません…」


「やはりほんとなんだな…くそ…」


といいながら部長は私をベットに押し付け私の頬に手を添えながら…


「ならその唇…俺の唇で上書きしてやる!もう俺以外のやつに心を許すな!わかったな…」


返事をする間もなく部長は強く唇を重ねてきた…


お互いの息づかいの中…



「なぁ…今お前をどうしようもなく…抱きたいんだが…」


「はい…」


私に迷いなんてなかった…

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