第4話 素敵な髪形の事件簿

私たちがアルバイトをしていたのは冬休み。

冬休みには年末年始という楽しいダラダラしてもいい日がある。

でも、私とさゆりんは毎日身を粉にして働いた。

ギターのエフェクターを買いたい!という新しい物欲が湧き出したからだ。


おばちゃん達は交代でお休みを取っていたのだが、一人のオカッパ頭のおばちゃんは

(以降オカッパちゃんと呼ぶ)休み明けに素晴らしい髪型をして出勤された。


サイドをアップしてそこには上品なラメ、それにお正月にちょうど良い髪飾りを

素敵に付けていた。

お正月のために美容院でセットをしてもらったそうだ。


「あいつさー、男と暮らしてんだよ。だからあんな頭して飾ってるんだよ。」


と、その他の萎れたおばちゃんが私に教えてくれた。

私はとても素敵だと思ったので、オカッパちゃんの髪型を褒めちぎった。

彼女は嬉しそうだった。


それから一週間以上、、彼女は同じ髪形をしていた。


「あいつ、きったねーなぁ。ずっと頭洗ってねえんだよ」

萎れたおばちゃんが私につぶやいた。


なんだか私は悲しかった。


オカッパちゃんは綺麗な自分、褒めてもらった美しさを失いたくなかったんだ。

彼氏と暮らしているならなおさらだ。

それをそんな風に言う萎れババアが嫌いだった。


しばらくすると、おかっぱちゃんは仕事に来なくなってしまった。

萎れたおばちゃんが言うことには

「あいつの娘の子(お孫さん)が死んじゃったんだってさ。それがショックで

来なくなったんだよ。」と言っていた。

萎れたおばちゃんは少し悲しい口調だった。


まだ赤ちゃんだったそうだ。


私はショックだった。


今は幸せだろうか。





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