第28話
「ご馳走様。」
「いえいえ。でも良かった望月さん、元気そうで。」
「どういう意味?笑」
「いや、平田さんが言い過ぎたかなとか言って悩んでたから。」
「はー?悩みたいのはこっちだよ。笑」
「そうだよね。・・・まあ、前向きに頑張っていこうよ。」
「うん。」
「僕もいるし、ほら、いざとなったら相談とかしてくれても良いし。」
「うん、ありがとう。」
気づいたことがある。福山くんと話すのは楽しい。っていうこと。
そしてきっと福山くんも同じように思っている。
そんな気がする。
「もしさ、私が福山くんのこと好きだって言ったらどうする?」
「え?いやいや、そんなこと言わないでしょ、望月さんは。えっ言わないよね?」
福山くんはそう言って笑った。
「言わないよ。」
言えないよ。
告白なんかしたら、それこそ噂になるだろう。
私は社内恋愛なんてする度胸はない。
福山くんを杉本さんから奪うような、そんなこともできない。
麻衣はビビリな子でもあるのだ。
朝、エレベーターの前で会ったのは、藤井君だった。
藤井君は「お疲れ様でーす。」というといつものように前髪をかき上げた。
「いつ東京いくんですか。」と、麻衣。
「・・・いまのところ、もうちょっとここにいようかなって思ってます。」
麻衣は早くどこかに行ってほしいという気持ちを込めて「早くやめられたら良いですね。」と言った。
うんざりするような、安心するような日常は続いていく。藤井くんが会社をやめる気配は今のところ全くないし、相変わらず麻衣は平田さんに怒られている。だけど、いつも麻衣のほうが藤井くんよりも怒られているのは納得ができない。
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