第22話

「おはようございます!」

「お、おはよう!」「望月さん、おはよう!」「今日も一日みんなで楽しく仲良く頑張ろうな!!」

「はい!」


理想の職場は、こんな感じ。


だけど、現実は、、


あ、平田さんだ(上司の30代男性)

「お疲れさまです!」

「・・・うす。」

うすって何?!毎度毎度。挨拶返さないな、この人。


「あ、今日新しい人くるから。大学生。いろいろ教えてあげて。」

いろいろって、、テキトーだなー。


新しく入ってきたのは、バイトの大学生だ。目がキリッとしていて鼻が高く、ハーフっぽい顔立ちだ。


彼は「藤井です。よろしくお願いします。」と言った。

麻衣も「望月です。よろしくお願いします。」と言った。藤井くんは会釈をして前髪をかき上げた。なんか存在感凄いな、この人。イケメンで高身長だからだろうか。


電話がかかってきた。

「あ、僕出て良いっすか。」「あ、うん・・・。」大丈夫かな。

「もしもし、・・・あ、はい。あー、平田さんっすね。」藤井くんはそういうと、平田さんに代った。

「あの、藤井くん。」

「はい。なんすか。」

「えーっと、、、電話出るときは、名前をまず言った方が良いかな。あと、もうちょっと丁寧に話した方が良いかも。」

「あー、分かりました。」

藤井君は不服そうな顔をしてそう答えた。


「おーい。望月ー、」

平田さんだ。

「はい、、」

「君ももう教える立場になるんだから。ぼーっとせずに。しっかり電話の対応の仕方とか分かるように説明しろよ?」

「はあ、、」

私ってそんなにぼーっとしてるかなあ?


「望月さん、これコピーしてくれませんか?」と牧田さん。

牧田さんは自然に頼み事をしてくる。きっとラクしたいのだろう。しかし、はっきり言って私だってラクしたい。

「良いけど、、自分でできない?」

「えー、、忙しいんで今。」

「私も忙しいですけど。」

くだらない仕事の押し付け合いである。どちらも一歩も引かない。


こういう細かいことが積もって疲労感が溜まっていく。


小声で「麻衣ちゃん、」と呼ぶ声がきこえたので顔をあげると、雫がいた。いつも麻衣のデスクの上をトントン、と叩くのだ。

雫は小声で「もうすぐランチだね。」と付け足した。


あー、天使。


この会社でまともなのは雫くらいなのではないだろうか。

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