第10話
思案橋周辺にはカラオケが付いている飲み屋や小さなバーがたくさんある。飲むついでに友人たちとカラオケを楽しむ人が多い。(ガールズバーも多い・・・)
麻衣と船乗りたち三人もカラオケが付いているバーに入った。
このバーは立ち飲み屋を出て、細い路地を5分ほど歩いたところにある雑居ビルの中にある。薄暗い店内に、ソファーや机が置いてあった。バーカウンターには2人店員がおり、お客さんは麻衣達以外誰もいなかった。
麻衣はjudy and maryのblue tearsという曲を入れた。麻衣が歌い始めると、三人は「お~!」などと言って盛り上げてくる。24歳の男はタンバリンなんか持っちゃっている。三人は曲に合わせて合いの手を入れてくれたりノッたりしてくれるので歌っていると楽しい。
35歳の男は中島みゆきの「糸」という曲を歌っていた。麻衣はあまり知らなかったが、みんなが盛り上げてくれて嬉しかったので麻衣も一緒に盛り上げた。
30歳の男はjudy and maryのファンのようで、麻衣が入れた曲に「over driveだ、懐かしい~」とコメントしたり、一緒に歌ったりしている。しかし、麻衣が「小さな頃から」という曲を入れたら「どんな曲だっけ?」とポカンとしていた。(しかし、途中から一緒に歌っていた。)
24歳の男は麻衣がグラスに手が当たりそうになるとグラスを移動させたり、テーブルをたまに拭いたりしている。彼ははいじられキャラのように見えて意外と気が回るタイプなのかもしれない。目が合うと細い目をさらに細くしてニコニコ笑っている。麻衣は24歳の男に「名前はなんていうの?」ときいた。(麻衣の名前は、立ち飲み屋で教えていた。)彼は「門松だよ。」と言った。麻衣は「かどまつっていうの?珍しい名前だね。」と言った。門松くんは「よく言われる。地元には結構いるんだけどね。門松っていう苗字の人。」と言った。
船乗りたち三人は年が違うのに穏やかに笑い合っている感じも良かったし、楽しい雰囲気で麻衣は嬉しかった。
船乗りたちはあまり歌わず、麻衣がほとんど歌っていた。judy and mary に飽きた麻衣は得意な安室奈美恵の歌も歌った。
一時間ほど歌って麻衣たちは店を出た。四人は電車通りに出た。時刻は11時頃で、酔っぱらったような人たちが通り過ぎて行った。船乗りたちはホテルが近いので、いつも飲み終わるとみんなで歩いて帰るようだった。
麻衣は三人と一緒に大通りを歩いていた。船乗りたちは麻衣のことを心配して、「もう帰った方が良いよ。タクシー探そう。」と言った。しかし麻衣には帰る気が無かったので4人で歩き続けた。
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