第8話
立ち飲み屋に行ってみることにした。(コロナ前の設定です。良い子は飲みに行ったらだめだぞ。)一応雫にもラインをしてみたが、難しいようだった。雫は自分の時間を大切にするタイプで、たまに断られる。思案橋には小さな飲み屋がたくさん並んでいる場所があり、女性一人でも入りやすいお店がある。細い道を歩きながら、雰囲気が良さそうなところを探した。色んなお店があって見ているだけで楽しい。
ガララッ
「いらっしゃい~」
中には店員が2人と、スーツのおじさんが2人、ワンピースをきた女性のお客さんが一人いた。
店長らしき人が、「何飲む?」ときいてきた。
私は「えっと、梅酒お願いします。」
と答えた。
「ここにくるのはじめて?」
ときかれたので、「はい。」と答えた。女の人が「一人で来る女の子、珍しいんじゃない?」と言った。彼女はその店の店長と親しげで、常連のようだった。
壁には小さなテレビがついていて、店長はたまにテレビを見ながら、お客さんと話している。
女の人はミニスカートのワンピースだったので若い人かとおもったけど、よく見ると30代か40代くらいに見えた。テレビに向かって「千鳥の大悟良いわ~。私の好みだわ。」と言った。スーツを着たおじさんがノブは?ときいた。女の人は「ノブは微妙~。」と言った。おじさんは「ノブの方が良い男そうだけどねえ。」と言う。店長は「最近よく出るようになったよね、千鳥。」と言った。店長が、スーツを着たおじさんに「若い子がいるからって楽しくなってんじゃないの。」と言った。スーツのおじさんは酔っているのか、顔が少し赤い。ははっと笑って「いや~、初めて立ち飲みに来るのにこの店ってすごいねえ、」と言って笑いかけた。「何か奢ってあげるよー。」と話しかけてきた。話しやすい雰囲気のお店で良かった。私は嬉しくなった。ビールを奢ってもらい、私は「ありがとうございます。」と言った。もう一人のスーツのおじさんが「じゃ、もうおじさんたち出るから。」と言って出て行った。店長によると、向かいのお店で飲みなおすらしい。お店の中には店長と女の人と私の三人になった。女の人は私と目が合うと、ニコッと笑った。これを飲み終わったら、私も帰ろう、と思いながらビールを飲んでいた。立ち飲み屋さんは初めてだったけど、優しい人たちに会えて来てよかった。その時、がららっとドアが開いて、三人組の男の人が入ってきた。
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