第4話

上司の平田さんが「望月さん、ちょっと来てー。」と呼んでくる。麻衣は「はい!」と元気良く返事をしたが、その返事とは反対に不安だった。「この資料作ったの望月さんだよね。これ、桁が一桁間違ってるよ。」「あっ・・・すみません~。」「すみません~じゃなくてさ、前もあったよね。君さあ、一回言ったこと覚えないよね。」「はい・・・すみません。」「はあ。」こういうことはよくある。始めの頃は平田さんの言葉にかなり落ち込んでいた麻衣だったが、最近は慣れてきている自分がいる。頑張っても怒られるときは怒られるし、半ばもう諦めている。みんなも、同じようにミスをして怒られている。しかし、なぜか麻衣は他の人よりも注意される回数が多い。それが麻衣には不満だった。休憩時間になったので麻衣と雫は外に出た。「また注意されちゃった。」「なんか言われてたね。」「なんで私ばっかり怒られるの。もうほんとに嫌だ。」「えー、麻衣ちゃんだけじゃないよ~。私なんて、重要書類シュレッダーにかけちゃってめっちゃ怒られたもん。笑」そうなのだ。実は雫も、麻衣と同じくらい平田さんに怒られている。「そうだね。笑」「平田、ほんとムカつく。言い方に悪意あるくない?」雫は珍しく怒った様子だったが、怒っているのにどこかふんわりとしている。「わかる。私たちばっかり言ってくるよね。」「そうそう。喋ってる女子にはあんまり注意しないのにさ。」「あー、もうやめたいなー、会社。」「わかる~。なんかさ、2人でカフェとかやりたい。」「それめっちゃ良いね!古民家風のカフェとか。」雫と2人でカフェをやっているところを想像する。雫とだったら、素敵なカフェが出来そうだと思った。

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