第2話

麻衣は会社の前で、雫と待ち合わせをしていた。雫は会社の同僚の中でよく話す友達だ。ここは大通りに面してはいるが、人通りが少ない。まばらに歩く人たち。ただ空を見つめて歩き、すれ違っていくおじいさん。また、ふと不安になった。ああ、どうしよう。そのとき。「麻衣ちゃん、遅くなってごめんね。」雫だった。雫はいつものワンピースを着ていた。茶色に花柄模様のワンピース。雫はいつもワンピースを着ている。二、三種類くらいのワンピースをローテーションで着ているのだ。お母さんが買ってくるので、雫が自分で服を買うことはほとんどないらしい。雫は麻衣の様子がおかしかったのか、ふふっと笑った。麻衣はパーカーのフードを深くまでかぶっていた。目と鼻だけを出していた。「雫・・・良かった。」今日は町へ買い物に行く。バスの一番後ろの広い席に並んで座った。麻衣はスマホを取り出し、インスタを見る。長崎は田舎だが、一応、インスタやツイッターなどのsnsは普及しているのだった。いや、むしろ田舎で娯楽があまりないからこそ、スマホの中の世界に没頭してしまうのだ。麻衣はインスタを開いた。「雫ー、こっち見て~」「え~恥ずかしいよ。」雫はそういうと笑った。インスタストーリーを載せるのだ。ストーリーを見ると、雫が笑いながら手で顔を隠している映像が流れた。友達とのこういう瞬間は楽しい。「中央橋」についた。2人の行先は浜町アーケードの中にあるカフェだ。浜町は「中央橋」から降りてすぐのところにある。長崎市の中でいうと都会な場所で、中心部だ。中心部とはいえ、最新のお店や流行のものが売っているわけではない。他の場所よりも少しだけ店が多く並んでいたり、デパートがあるくらいだろう。しかし、長崎に住んでいると浜町に遊びに来るだけで十分楽しむことはできる。私たちはBgカフェに入った。Bgカフェは雫に教えてもらったカフェで、アーケードをずーっと真直ぐ歩いて行ったところにある。麻衣と違って長崎生まれ長崎育ちの雫は長崎の隠れスポットを知っていて、教えてくれるので嬉しい。私たちは2人ともドリンクセットを頼んだ。麻衣のはカフオレとシフォンケーキのセットだ。シフォンケーキの上には生クリームが乗っている。お盆を持って、椅子に座った。田舎な長崎にいると、かわいいカフェにいるだけでも気分が上がってくる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る