彼女の骨

彼女の骨

 僕はホストで、今日は飛び込みで来た客の対応をしていた。その客は自分の身体の骨を一個ずつ落としていく。僕はその客とアフターに行く。

 アフターでの道行でも彼女は骨を一つずつ落としていく。僕はそのたびに彼女の骨を拾い、彼女に手渡す。

 彼女は翌日も店に来る。店に来て、骨を落とす。僕は彼女の骨を拾って席に案内する。

「ありがとう」

 彼女は恥ずかしそうに、いたたまれないように骨を手に取る。お酒を飲ませる。彼女はあまりお酒が強くない。彼女は僕に会いに来ていた。僕は彼女の骨を拾うので精いっぱいだ。彼女は革張りのソファに座り、立つたびに骨を落とす。僕は拾う。彼女はいたたまれない顔で骨を手に取る。骨を身体にくっつける。彼女が会計をして店を出る。店を出ると、彼女はまた骨を落とす。僕は骨を拾う。彼女に渡す。彼女は骨を身体に戻す。彼女は帰る。


 僕と彼女の関係―それはつまりホストと客の関係だが―は一年後も続いていた。


 僕は僕の店がある歓楽街から徒歩で三十分かかる彼女の家まで彼女を送り届けた。彼女は道中、彼女自身の身体の骨を落としていく。そのたび、僕は彼女の骨を拾う。彼女が先を歩く。僕は骨を拾いながら彼女の後を追う。彼女のアパートの前に着く。「コーポ ラッキー」。

 アパートの前で彼女に両手いっぱいの骨を手渡す。彼女はうつむく。僕は泣いている。


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彼女の骨 @McDsUSSR1st

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