鶯と老夫婦
(ある春の日の鶯)
ホオーーー、ホケキョ……!
訳:「彼女募集中!! とにかくこれ聴いて! 俺の声すげえいいじゃん? 甘くて情熱的で……もう最高だろ?この声を君だけに捧げる……だから俺のヨメさんになって!!! 実は俺、最高にうまい食材が採れる秘密の場所も知ってんだよな〜結婚後も君に不自由はさせないから!!
……ハアハアハア。なんでうまくいかねーんだよこんなに頑張ってんのに!? 何が悪いのかわからねえ……明日ボイトレの先生んとこもっかい行ってレクチャー受け直してこよっかな……」
縁側でお茶を飲む老夫婦
「おとうさん。今年も裏山で鶯がさえずる季節になりましたね……」
「ああ、そうだねえ。それにしても、なんと美しい声なんだろう。いつ聴いても心がホッと癒されるよ」
(それから約2ヶ月後の鶯)
ホー、ホケキョ……ケキョケキョケキョ…………!!
訳:「オラオラオラここは俺と可愛いハニーの子育ての聖域じゃゴルア!!! 俺もハニーも大事なベビーたちを育てんのにナイーブになっとんじゃ、ガアガア鳴くなおいそこのカラス!!! それ以上入ってくんじゃねーよ血を見るぞオラ!!!」
縁側でお茶を飲む老夫婦
「おお。かあさん、ほら聴いてみろ。鶯の谷渡りの声だ」
「ああ、なんて澄んだ声でしょうね……思わず深呼吸をしたくなる、爽やかなさえずり。これを聴くと初夏が来たなあって思いますね」
鶯
「ハアハアっ……おとうさんおかあさん、俺的には癒されるとか爽やかとかそういうやつじゃないんっすけどね……ハアハアゼエゼエ!!!」
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